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浮かんだアイデア

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「その…このじゅうたんは水分を含むと重さで高くは飛べないんです…砂漠など雨が降ってないところでは重宝するんやけど…

因子が含まれた特殊な糸で編まれとるっちゅーても糸は糸…やはり重うなると…」



「そうか…うーん…せっかくこれで海を渡れると思ったのになぁ…」

僕とジーナさんの話のやりとりを聞いたみんなの表情が曇った…


その時にお義母さん…シルヴァさんがミスとリルを連れて部屋に入って来た…


「やあ…シルヴァさん…お久しぶりです…」


「失礼しております…ソーディア王…

あっ…今はもうご勇退されたのでしたね…失礼しました…」

「はっはっはっ…こんな老いぼれに気を遣ってくださる方は少なくなりましたからな…嬉しいですわい!」

「シルヴァ…どうしたのじゃ…?」


走って自分の方に向かってくるリルを受け止めながらお義父さんはお義母さんに尋ねられた。


「あなた…ごめんなさい…ミスとリルがみんなに会いたいってかなくて…」



「こりゃ?大人しく待ってないとダメじゃないか?」ダメと言いつつ、リルが可愛くて仕方がないように他の人には見えるのか皆さん笑みを浮かべている…


「あっ…」


リルがつまづいた瞬間、持っていたジュースが僕の靴に掛かった…


「ダーリン…大丈夫…?」


「パパ…ゴメンなさい…」



「大丈夫…濡れてないよ。
撥水加工の靴だから……あっ!!」




突然、ある考えが頭に浮かんだ僕はジーナさんの元へ駆け寄る…


「ジーナさん…魔法のじゅうたんはどれくらいのスピードなの…?」


「…ウチも全速力は出した事は無いんやけど速駆けの馬くらいかな?」


「…取り敢えず行ける所まで行ってみようか?」



「ダーリン…危険だわ…」


「婿殿…今度ばかりはワシも反対じゃ…海に落ちても誰も助けに行く術がない…」



「大丈夫です!もしもの時の命綱の事は考えています…」


僕は愛ちゃんの方をチラッと見ながら言った。

愛ちゃんは不思議そうな顔で僕を見つめ返した…




「なるほど…そういう事ね!優也くん…頭良いじゃない!高校の時より数段ね…」


そう言って笑う愛ちゃんに「茶化さないでよ…」とおどけて見せた。



「じゃあ…ティナ…早速、人間界に帰って準備しないと…その後、王宮の人達にも手伝ってもらわないとね…愛ちゃんは例の物を用意してね…」



「はい!」

「了解よ…直ぐに用意するわね…!」
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