奥さまは魔王女 2nd season 〜ジーナは可愛い魔女〜

奏 隼人

文字の大きさ
47 / 103

その男の名は

しおりを挟む
「シーッ!声が大きいです…」

ジーナは口元に人差し指を当てた。



「ゴ、ゴメンよ…」

「魔法のランプか…それは興味深いのう…」

「ほら…ウチは殿にだけ秘密を共有して欲しかったのに、もう…チビっ子小悪魔に知られちゃったじゃないですか…」

ヴァルは紅い瞳でジーナを睨んだ…


「お前…次にわらわをその呼び方で呼んだら即死魔法であの世に送ってやるぞよ…」


「ベーッ!!残念ながらウチに魔法の類は効きませんわ…!!


「まあまあ…やっぱりここにいるみんなにはちゃんと全部訳を話しておいた方がいいよ…

そんなに大切なモノなら、尚更…侵略者から守らなきゃイケナイしね…」


「そ、それもそうですね…それでその男は次に街の人々を脅し始めたのです…

我はジュエラの王…我に従えばバビロナの再興に力を貸そうではないか…?

従わぬ者は石に変えてやる…と…


それから街の様子は一変し、人々は外に出ることも出来ず…昔のように隠れて棲む生活を強いられるようになったのです…


…彼に逆らった数名の者がヤツの化け物に本当に石に変えられました。


それを知った姉ちゃんはこれ以上被害を大きくしない為に彼を懐柔する策を取ったんだと思います…
 
するとあの男は美しい姉ちゃんに自分の妻になれと要求してきました…妻になればバビロナのその宝の事も見逃してやると…


国を守る為に姉ちゃんは自分さえ我慢して彼の言う通りにすればバビロナの者がみんな助かると…



でもウチや姉ちゃん、バビロナの人々が欲しかった幸せな日々はこんなんやない!!

姉ちゃんは今もまだシャブリヤール様の事を愛してんねん…!!

ウチの大切な姉ちゃん…絶対に幸せになって欲しい…



ジーナはまた目に涙を浮かべながら空を仰ぐように
姉の幸せを願った。




優也はそんなジーナの肩にポンと右手を置いた。

「大丈夫…僕達でバビロナの幸せを勝ち取ろうよ!」

「はい!」

優也の力強い言葉に彼女は大きな声で返事をして…涙を拭って悲しみを振り切るような笑顔を見せた…


「でも…ダーリン…これからどうするの…?
ジーニャさんは人質に取られているようなものだし…人間や精霊までもを石に変えてしまう怪物を操る男でしょ?得体が知れないわ…」



「さあて…と!!」

「どうしたの…愛ちゃん?」


「来たる最終決戦の為に私は準備をしに一先ずミラールへ帰るわ…

大丈夫…絶対に間に合わせるから…じゃあね!!」

とニヤリと微笑んで瞬間移動して帰って行った…


同じようにニヤリと笑ったヴァルは「ほう…ミラールの王女は未来眼で何かが見えたのか…考えがあるらしいぞよ…

優也…我々も一度ジュエラに帰ってあの馬鹿者をもう一度懲らしめる作戦を練らんとのう…」


「あの馬鹿者…?まさかヴァルはジュエラ王の名を騙る男の正体が分かったの?」



「何じゃ…お主…まだ分からんのか…?

この世に一人しかおらんじゃろう…

国を追われ…召喚獣を操り、他国の美しい王女を自分の妻にしようと目論み…自分の欲望の為に行動する大馬鹿者は…」




優也とプラティナは顔を見合わせる…

「ま、まさか……」







平野を見下ろす丘陵にそびえ立つバビロナ空中庭園の神殿…その緑に囲まれた屋上は雲にも到達する高さ…その中央の広場の噴水のほとりに腰掛けるジーニャ…

その美しい黒髪の娘…褐色の綺麗な肌の膝を枕に横たわる男…


「ジーニャ…僕は幸せだよ…ジュエラではロクな女が居なかったからね…君のように知的で優しさを兼ね備えた女性を妻にめとれて最高の気分さ…ムフフフフ…」


「はい…私は何処までもあなたについて行きますわ…」


優しい口調とは裏腹に彼女はとても哀しい眼をして彼の名を呼んだ…









「聡明なるイミテ様…」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。

彩世幻夜
ファンタジー
※ 2019年ファンタジー小説大賞 148 位! 読者の皆様、ありがとうございました! 裕福な商家の生まれながら身分は平民の悪役令嬢に転生したアンリが、ユニークスキル「クリエイト」を駆使してシナリオ改変に挑む、恋と冒険から始まる成り上がりの物語。 ※2019年10月23日 完結 新作 【あやかしたちのとまり木の日常】 連載開始しました

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜

O.T.I
ファンタジー
レティシア=モーリスは転生者である。 しかし、前世の鉄道オタク(乗り鉄)の記憶を持っているのに、この世界には鉄道が無いと絶望していた。 …無いんだったら私が作る! そう決意する彼女は如何にして異世界に鉄道を普及させるのか、その半生を綴る。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

処理中です...