フィギュアな彼女

奏 隼人

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不死鳥

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カオリは薄ら笑いを浮かべる…

「フン…これはこれは…元アルタイルの女王様…中堅で悪かったなぁ…

でも、すぐにウチがヴェガナンバーワン…いえ、銀河ナンバーワンスケーターになるわ…

それにしても痛々しいなぁ…車椅子の上からしか私達に文句が言えへんなんて…ウチらは練習するだけやったのにミヤさんをライバル視してそうなったのを忘れたんか?

スケートはな、結果が全てやねん…外野は黙ってて頂戴!」カオリは強く言い放った…

「あははは…」突然ミキは笑い始める…

「何がおかしいんや!!」

「いえ…ゴメンなさい…あなたの言うとおりだわ…」

「何や!!はは~ん!!ウチらに敵わへんから仲良くやろうってワケやな⁉︎」

カオリとマイはニヤリと笑う…


ミキもニヤリと笑って

「残念だけど違うわよ!!スケートは結果が全て!!外野は黙っておけって話…」

「なっ…!!」

カオリは言葉を失った…



ミキはシズカの目を見て頷く…

そして僕達の目の前で信じ難い事が起こった…

彼女が車椅子から立ち上がってスタンドからリンクの側まで歩いて降りてきた。

「ミ、ミキ…」


僕もリカも驚いた。

まさか…彼女はまだ車椅子か松葉杖がないと歩く事も難しい筈…



そんな僕達の心配をよそにミキはブレードのスイッチを入れた。

トレーニングウェアを脱ぎ捨てて赤とオレンジの燃えるような衣装でミキはリンク中央のスタートポジションについた…まさか…?

ミドリコーチは何も言わずに曲をスタートさせた。


僕とリカは顔を見合わせる…

…ぼ、僕は夢を見ているのだろうか?

曲に乗って演技を始めるミキ…


とても怪我をしているとは思えない…それどころか以前より力強いスケーティングにヴェガのメンバーも僕達も驚きを隠せない…

ジャンプの助走に入るミキ…まさか!だって彼女は二度と…


彼女は痛めている筈の右足で踏み切ると同時に左足も強く地面を蹴った…

「はっ!」

リカもワクワクした表情で彼女を見つめる…


その瞬間、新しいリンクの照明が空中に舞った彼女を映し出す…まるでリカのように…翼が生えたように彼女は翔んだ…

一回転…二回転…彼女は舞いながら今までの時間を噛み締める…

三回転…スケートを愛している気持ちをこの演技に全て乗せて…

四回転…彼女は着地して…そして未来《まえ》を向いた…

「よ、四回転ルッツ!」みんなが声を揃えて叫んだ…


「まだまだ行くわよ…借りていたモノを返さないとね…」」

ミキの演技後半の彼女のリカと同じ力強いバッククロスに僕は全てを悟った…


「そうか…!!ミキは…!!」



最後の決めポーズを決めた彼女はカオリを指差して…「これで何にも言えないわよね!」

「くっ!」カオリは拳を強く握りしめた…



そしてミキはリンクから階段を上がってまたスタンド席の車椅子へ戻った…





…おかえりなさい…




彼女だけに優しい女神のような声が聞こえた…




「ただいま…」
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