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パーフェクト・クイーン
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思わず僕はシズカさんとミキに駆け寄る…
リカも同じように階段を上って来た…
彼女が脱いだトレーニングウェアを手渡す…
「はい…」
「ありがとう…ダイちゃん…」
「凄いよ…ミキ…」
「…当たり前よ…私を誰だと思ってるの?私がナンバーワンなんだからね…分かった…?」
「うん…うん…」
自然と涙が浮かんでくる…
そんな僕を見てシズカさんとミキとリカは顔を見合わせて微笑んだ。
ミヤはミキの演技に心を奪われていたが、やがて自分を取り戻した…
「こ、このままじゃ…私、跳べない…勝てない…」
ミヤはスタンド席の階段を駆け上がり、彼女は控え室に戻った…
「これしか…無いわ…」
ロッカーの自分のバッグから練習用のブレードを持ってまたリンクに戻って来た…
そして彼女は僕の横をすれ違ってまた階段を駆け降りていく…その時だった…!
…バチッ!!
「わっ!」
僕のすぐ横の金属製の手すりが一瞬だけ青白く光った…
しかし…リンクのすぐ横でブレードを装着して次に滑走するミヤに全ての視線は注がれていて手すりの光に気づいた者はダイスケ以外に一人もいなかった…
僕はミキに駆け寄って「ミキ…滑走中にブレードのバッテリーが切れたらどうなるんだ?」と訊く…
「そうねぇ…ブレードは体重移動による磁力の反発力を利用して滑走を推進しているわ…滑りやすい樹脂を使用しているとはいえ、推進力はゼロになってブレードはそこで停止するでしょうね…」
「て、停止…危険じゃないか?」
ミヤはスタンバイを終えてブレードの感触を確かめながらリンクの中央へ向かって滑り出した…
ミキは続けた…
「でも大丈夫よ…ブレードにはバッテリーの消費警告をするアラームが付いているし、リンクにも滑走者のブレードの磁力を検知して一定の磁力に満たないとアナウンスが流れるようになっているわ…
よっぽどボロボロの壊れたブレードをわざわざ使わない限りは心配いらないわ…」
「なるほど…取り越し苦労か…」
僕はミキの言葉に少し安心したが、心の何処かで不安が消えなかった…
ミヤはゆっくりと演技を始めた…
そしてミキと同じ滑らかな動きから安定した滑りを見せた…
みんなよりも少し年上の彼女は大人っぽい黒い衣装が彼女の白い肌を引き立ててよく似合っている。
彼女はミキと同じように後ろを向くと右足のトゥで踏み切り逆回転を付けるために左足も地面を思い切り蹴った…
ヴェガのエースの意地が彼女を空中《うえ》に押し上げる…
彼女はいつも通り…練習通りに四回転を舞って着地した…
美しい彼女の完璧な演技の裏で足元のブレードからピシッという悲鳴にも似た音がしていたこと以外は…
「か、彼女も…四回転《クワッド》!!」みんながミヤの演技に魅了されている時、突然、リンクにブザー音とアナウンスが鳴り響いた…
「危険です!!直ちに滑走を中止してください!!」
僕の頭の中の不安が今、現実の事となろうとしていた…
「まずい!」
僕は近くに床運動用のマットが置いてあるのを見て、それを肩に担いでスタンドの階段を駆け降りた…
「ブレードのバッテリーが危険レベルです…今、滑走を行っている選手は直ちに滑走をお止めください…」
アナウンスを聞いてみんなが驚いた…
当然、ミヤもアナウンスを聞いて「あっ!」という表情を見せたが…その時には遅かった…
酷使により、漏電していたバッテリーはジャンプの衝撃によって液漏れを起こして一瞬にして充電レベルはゼロになってしまった…
ガクガクガク…ガクン!!
ストレートを滑走していたミヤは前につんのめって倒れた…
「ああっ!!」
このままの勢いで倒れたまま…真っ直ぐ滑っていけばミヤはコーナーの壁に激突してしまう…
リカも同じように階段を上って来た…
彼女が脱いだトレーニングウェアを手渡す…
「はい…」
「ありがとう…ダイちゃん…」
「凄いよ…ミキ…」
「…当たり前よ…私を誰だと思ってるの?私がナンバーワンなんだからね…分かった…?」
「うん…うん…」
自然と涙が浮かんでくる…
そんな僕を見てシズカさんとミキとリカは顔を見合わせて微笑んだ。
ミヤはミキの演技に心を奪われていたが、やがて自分を取り戻した…
「こ、このままじゃ…私、跳べない…勝てない…」
ミヤはスタンド席の階段を駆け上がり、彼女は控え室に戻った…
「これしか…無いわ…」
ロッカーの自分のバッグから練習用のブレードを持ってまたリンクに戻って来た…
そして彼女は僕の横をすれ違ってまた階段を駆け降りていく…その時だった…!
…バチッ!!
「わっ!」
僕のすぐ横の金属製の手すりが一瞬だけ青白く光った…
しかし…リンクのすぐ横でブレードを装着して次に滑走するミヤに全ての視線は注がれていて手すりの光に気づいた者はダイスケ以外に一人もいなかった…
僕はミキに駆け寄って「ミキ…滑走中にブレードのバッテリーが切れたらどうなるんだ?」と訊く…
「そうねぇ…ブレードは体重移動による磁力の反発力を利用して滑走を推進しているわ…滑りやすい樹脂を使用しているとはいえ、推進力はゼロになってブレードはそこで停止するでしょうね…」
「て、停止…危険じゃないか?」
ミヤはスタンバイを終えてブレードの感触を確かめながらリンクの中央へ向かって滑り出した…
ミキは続けた…
「でも大丈夫よ…ブレードにはバッテリーの消費警告をするアラームが付いているし、リンクにも滑走者のブレードの磁力を検知して一定の磁力に満たないとアナウンスが流れるようになっているわ…
よっぽどボロボロの壊れたブレードをわざわざ使わない限りは心配いらないわ…」
「なるほど…取り越し苦労か…」
僕はミキの言葉に少し安心したが、心の何処かで不安が消えなかった…
ミヤはゆっくりと演技を始めた…
そしてミキと同じ滑らかな動きから安定した滑りを見せた…
みんなよりも少し年上の彼女は大人っぽい黒い衣装が彼女の白い肌を引き立ててよく似合っている。
彼女はミキと同じように後ろを向くと右足のトゥで踏み切り逆回転を付けるために左足も地面を思い切り蹴った…
ヴェガのエースの意地が彼女を空中《うえ》に押し上げる…
彼女はいつも通り…練習通りに四回転を舞って着地した…
美しい彼女の完璧な演技の裏で足元のブレードからピシッという悲鳴にも似た音がしていたこと以外は…
「か、彼女も…四回転《クワッド》!!」みんながミヤの演技に魅了されている時、突然、リンクにブザー音とアナウンスが鳴り響いた…
「危険です!!直ちに滑走を中止してください!!」
僕の頭の中の不安が今、現実の事となろうとしていた…
「まずい!」
僕は近くに床運動用のマットが置いてあるのを見て、それを肩に担いでスタンドの階段を駆け降りた…
「ブレードのバッテリーが危険レベルです…今、滑走を行っている選手は直ちに滑走をお止めください…」
アナウンスを聞いてみんなが驚いた…
当然、ミヤもアナウンスを聞いて「あっ!」という表情を見せたが…その時には遅かった…
酷使により、漏電していたバッテリーはジャンプの衝撃によって液漏れを起こして一瞬にして充電レベルはゼロになってしまった…
ガクガクガク…ガクン!!
ストレートを滑走していたミヤは前につんのめって倒れた…
「ああっ!!」
このままの勢いで倒れたまま…真っ直ぐ滑っていけばミヤはコーナーの壁に激突してしまう…
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