フィギュアな彼女

奏 隼人

文字の大きさ
35 / 92

真っ赤に染まったリンク

しおりを挟む
リンクのすぐ側に降りて来た僕はマットを持ったままリンクに入る…

向こうからミヤ…彼女がうつ伏せに転んだまま滑ってくるのが見えた…

「くそっ!!間に合うか…!!」

僕は彼女の進路の延長線上にマットを置くために滑って足がもつれながらも全力で走った…

運良く僕の方が彼女より先にリンクの壁に着いた…マットを持って彼女を受け止める… 

…ドォーン!

鈍い音が辺りに響き渡った…


一瞬の事に周りは何が起こっているのか良く分からなかった…

リカは気が付くとダイスケがスタンドからリンクの方に降りて行くのが見えた…

急いで彼女は彼を追いかけた…階段を降りた中程の所で鈍い音がした…リカは進路を変えて鈍い音がした辺りのスタンド席に向かう…

リカはスタンド席の手すりを握って下を覗き込んだ…「……!?」真っ白のリンクに鮮血が飛び散って真っ赤になっている…

「嫌ぁぁぁぁぁ!」思わずリカは叫んだと同時に手すりを乗り越えて下に降りた…そこで彼女が見たのは…

ミヤもダイスケも脳しんとうを起こしたのだろうか?気を失っているがミヤのブレード部分がダイスケの左肩に刺さってそこから出血しているようだ…

みんな状況をようやく理解してリンクへと降りて来た…

リカはダイスケをおぶってリンクの外へ連れ出した…

「ダイスケさん…ダイスケさん…しっかり!!」

リンクの側でミドリがリカに向かって叫んだ…

「いいわ…リカさん!次はミヤさんをここに連れて来て!」

「でも…ダイスケさんが…」

「いいから彼女を早く連れて来なさい…!!
二人共頭を打ってるかもしれないわ!!

救急車ならシズカがもう呼んでるわ…さあ…急いで!」


リカがミヤをリンクの外へと連れて来た時…サイレンを鳴らした救急車が到着した…


リカがダイスケに、コーチのジュンがミヤに付き添って救急車に乗った…

その救急車をシズカの車が追いかける…

「ダイスケさん…」

リカは目を閉じてダイスケの手をギュッと握りしめる…

「あなた身内の方ですか…?」

「えっ?あっ…はい!」

「彼の名前と住所を教えて貰えますか?それからIDを確認しますので彼のブレスフォンをお借りできますでしょうか?」


リカはダイスケの手首のブレスフォンを外しながら答えた。

「は、はい…名前はダイスケ…住所は……職業?…アルタイルスクールの学生です…すみません!ダイスケさんは…ダイスケさんは…大丈夫ですよね?」

「…もう病院に着きます…頭の検査もきちんとしますからあなたが側で彼の治療が終わるのを待っていてあげてください…」

「はい…」

リカは無力な自分を恨んだ…自分自身よりも大切なダイスケが大変な時に自分は待っていることしか出来ないのか…


やがて救急車が病院に着いてダイスケが集中治療室へ運びこまれた…

リカは待合室でずっと俯いている…
後から来たシズカが彼女の横にそっと座った…

「大丈夫…彼を信じましょう…このままあなたを一人になんて私がさせない…兄弟でそんな事…」

シズカは口唇を噛んだ…
俯いたリカの目から涙が落ちる…



その時、看護師さんが「ダイスケさんのご家族の方ですか?」とシズカに呼びかけた…

「は、はい…」

「彼…意識が戻りました…こちらへどうぞ…」

シズカとリカは目を合わせる…リカは両手で顔を覆って思いきり泣いた…

シズカは左の掌《てのひら》を右手のグーで思いっきり殴って言った…




「あの野郎…私の娘を不安にさせた罪は重いぞ…!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

N -Revolution

フロイライン
ライト文芸
プロレスラーを目指す桐生珀は、何度も入門試験をクリアできず、ひょんな事からニューハーフプロレスの団体への参加を持ちかけられるが…

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

処理中です...