70 / 92
残酷な神様
しおりを挟む
四回転を成功させたミキは勢いに乗る…
力強く…速いステップシークエンスからまたミキは右足で踏み切って宙に駆け上がる…炎を纏い身体をひねり回転しながら大空を駆ける不死鳥は更に輝きを増した…
「は、速い!以前の技術、表現力に加えて抜群の身体能力に磨きをかけた!トリプルフリップ、トリプルトゥループのコンビネーションジャンプを成功させた!」
後、一つのコンビネーションジャンプを成功させれば表彰台の一番高い所へのチケットが手に届く!ミキが手ごたえを感じたその時だった…
…クラッ…
「ああっ!」
目の前の景色がボヤけて見える…自分の身長がいつもより高くなったような足元がフワフワした感覚に襲われた…
「も、もう…?早すぎる…神様…もう少しだけ私に時間を…」
彼女はみんなが水泳や感触を確かめる為のスケーティングで調整を行っている間もいつも以上に過酷なトレーニングメニューを自分に課していて蓄積された疲労はピークをとうに超えていた。
「はぁ…はぁ…私にこんな素晴らしいプレゼントを渡しておいて…神様ってホント、残酷よ…」
彼女は与えられた強靭な下半身を燃料切れの状態で動かしていた。
「ねえ…ちょっと彼女…おかしくない?」
「うん…なんかスピードも無くなって…あんなに燃え盛っていた炎もまるで風前の灯のように乏しくなって…」
スタンドの観客も明らかに変わったミキの様子にザワつく…
その時だった…
「頑張れ!」
「ミキちゃん!頑張って!」
ミキへのエールが会場を包む…
僕は溢れてくる涙を拭う事無く一緒にミキへエールを送った…
手拍子に乗っておぼつかない足取りのステップでストレートに入る…後ろを向いて地面を蹴る足にもう力は残っていなかった…
観客はミキに惜しみない拍手を送る…
その目に涙を浮かべる人も少なくない…
笑顔無く観客に手を振りミキはミドリの元に帰って来た…
俯き加減の彼女をミドリはありったけの愛情をこめた抱擁で迎えた。
「はぁ…はぁ…ゴメンなさい…コーチ!」
「何言ってんのよ…立派だったわ!!
胸を張りなさい!」
鳴り止まない拍手の中、身体を引きずるようにロッカールームへ向かうミキの前にカオリとマイが現れた…
ミキを真正面から見つめるカオリ…
「何よ…また元エースって言いたいの…」
「そんな事…もう言えへんわ…」
カオリは目に涙を浮かべている…
「あんたは正真正銘のエースやった。エースっていうものはずっとミヤさんのような華麗に舞ってどんなに苦しくても涼しい顔して一位を取るもんやと思ってた…でも今日のアンタの滑りを見て思った…ウチが間違ってたわ…堪忍して…」
「な、何言ってんのよ…これじゃアンタの事…もう悪く言えないじゃない…」
「ウチ…アンタの事…応援する!そやから明日絶対に優勝して!ホンマやったらミヤさんを応援しなアカンのかもしれん…そやけどな…ウチ…ウチ…アンタの事…」
カオリは溢れてくる涙を止められない…
ミキは困った表情で笑った…そして黙って両手を広げた…
幼い頃…母親に全てを委ねて胸に飛び込んだ…あの時のようにカオリはミキの胸に抱かれた…
マイも天井を見上げて必死に涙を堪えたが熱い物が頬を伝っていくのを感じていた…
力強く…速いステップシークエンスからまたミキは右足で踏み切って宙に駆け上がる…炎を纏い身体をひねり回転しながら大空を駆ける不死鳥は更に輝きを増した…
「は、速い!以前の技術、表現力に加えて抜群の身体能力に磨きをかけた!トリプルフリップ、トリプルトゥループのコンビネーションジャンプを成功させた!」
後、一つのコンビネーションジャンプを成功させれば表彰台の一番高い所へのチケットが手に届く!ミキが手ごたえを感じたその時だった…
…クラッ…
「ああっ!」
目の前の景色がボヤけて見える…自分の身長がいつもより高くなったような足元がフワフワした感覚に襲われた…
「も、もう…?早すぎる…神様…もう少しだけ私に時間を…」
彼女はみんなが水泳や感触を確かめる為のスケーティングで調整を行っている間もいつも以上に過酷なトレーニングメニューを自分に課していて蓄積された疲労はピークをとうに超えていた。
「はぁ…はぁ…私にこんな素晴らしいプレゼントを渡しておいて…神様ってホント、残酷よ…」
彼女は与えられた強靭な下半身を燃料切れの状態で動かしていた。
「ねえ…ちょっと彼女…おかしくない?」
「うん…なんかスピードも無くなって…あんなに燃え盛っていた炎もまるで風前の灯のように乏しくなって…」
スタンドの観客も明らかに変わったミキの様子にザワつく…
その時だった…
「頑張れ!」
「ミキちゃん!頑張って!」
ミキへのエールが会場を包む…
僕は溢れてくる涙を拭う事無く一緒にミキへエールを送った…
手拍子に乗っておぼつかない足取りのステップでストレートに入る…後ろを向いて地面を蹴る足にもう力は残っていなかった…
観客はミキに惜しみない拍手を送る…
その目に涙を浮かべる人も少なくない…
笑顔無く観客に手を振りミキはミドリの元に帰って来た…
俯き加減の彼女をミドリはありったけの愛情をこめた抱擁で迎えた。
「はぁ…はぁ…ゴメンなさい…コーチ!」
「何言ってんのよ…立派だったわ!!
胸を張りなさい!」
鳴り止まない拍手の中、身体を引きずるようにロッカールームへ向かうミキの前にカオリとマイが現れた…
ミキを真正面から見つめるカオリ…
「何よ…また元エースって言いたいの…」
「そんな事…もう言えへんわ…」
カオリは目に涙を浮かべている…
「あんたは正真正銘のエースやった。エースっていうものはずっとミヤさんのような華麗に舞ってどんなに苦しくても涼しい顔して一位を取るもんやと思ってた…でも今日のアンタの滑りを見て思った…ウチが間違ってたわ…堪忍して…」
「な、何言ってんのよ…これじゃアンタの事…もう悪く言えないじゃない…」
「ウチ…アンタの事…応援する!そやから明日絶対に優勝して!ホンマやったらミヤさんを応援しなアカンのかもしれん…そやけどな…ウチ…ウチ…アンタの事…」
カオリは溢れてくる涙を止められない…
ミキは困った表情で笑った…そして黙って両手を広げた…
幼い頃…母親に全てを委ねて胸に飛び込んだ…あの時のようにカオリはミキの胸に抱かれた…
マイも天井を見上げて必死に涙を堪えたが熱い物が頬を伝っていくのを感じていた…
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる