フィギュアな彼女

奏 隼人

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魅せた!!クアッドアクセル!!

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リカはリンクへと降りる扉へと手をかけた。
その時、後ろから彼女を呼ぶ声がした…



「リカ!」



名前を呼ばれただけで自分と一緒に闘ってくれる彼の不安や緊張も全部が伝わって来た…


人間らしい気持ちが芽生えてきた彼女にはそれがたまらなく嬉しくて、愛おしくて、自分を奮い立たせる励みになった…


ダイスケの方を見てニッコリ笑ったリカ…

「大丈夫です!私…一人じゃないから…
いつも一緒に滑ってますから…」


…そう言って彼女は前を向いた。

「うん…!」


ダイスケもまた…そのクリスタルのように透き通ったリカの純真な言葉に心を震わせた…



リンクに降りてブレードの調子を確かめる…


「よし!」


…軽くリンク内を流しながらリカは潜った…




自身の潜在意識の一番底…


そこにあるスイッチをそっと押して彼女は再び意識の水面へと浮上する…


「はぁっ!!」


バイオ・エメラルドグリーンの瞳が…

息吹が燃え盛る…



ゾーン状態に入ったリカはゆっくりとスタート地点に着いた…



会場が暗くなり、昨日の演技のようにリンクが満天の星空に…銀河に流れる星の河…ミルキーウェイのど真ん中に白い流星になった彼女が浮かびあがった…
 


曲が流れ…シューティング・スターは銀河を駆けていく…

観客が本物の彗星と見紛う程に…



競技者であるミヤでさえ、その尾を引く彗星に見惚れた…


「綺麗…昨日よりずっと…」



「…彼女の手袋とブーツに発光体を仕込んで
衣装と同じく手足の部分も発光させているのね…

まるで夜空で彗星が尾を引くように…

その仕掛けに合わせて演技を…

間違いない!これからはコーディネートがスケートの演技の一つのカギになるわ…」


隣にいるジュンの呟きにミヤはまた真っ直ぐ前を向いたまま頷いた。


「ダイスケさん…」



尾を引く彗星はミルキーウェイの上を滑り出す…

すると彼女を星々の輝きが包み込む…
彗星はミルキーウェイの中へと入って行った。

七色の輝きの中を彼女は笑顔で滑って行く…


そしてリカは最初のジャンプの体制に入った…

スピードスケートのスタートのようなあの構えからつま先で地面を蹴ると同時に上体の捻りを下半身に向かって加えていく…
 

一瞬の出来事だった…綺麗に宙へと舞い上がり…回転して着地した彼女に歓声が上がった…が、すぐにその歓声はどよめきに変わる…



「リカ選手!トリプルアクセルを綺麗に決め…た…!

い、いえ…トリプルアクセルではありません…VTRを見てみましょう…」


会場のビッグモニターにリカのジャンプが映し出された…すると、どよめきはざわめきに…ざわめきは歓喜の嵐へと変わっていった…



「一回転…二回転…三回転…よ、四回転…!!

な、な、なんという事でしょうか…!
これは…ク、クアッド…クアッドアクセルです…


前人未到のクアドアクセルを最初に飛んだのはなんとプロスケーターや社会人ではなく…アルタイルスクールの学生…リカ選手でした…」



「おめでとう…やったわね…」

「流石は私のライバルね…

でも…すぐに追いつくわよ…」



ミドリもミキも、リカの…アルタイルスクールの選手の躍進に惜しみない拍手を送る…
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