sweet sweet pain〜幸せになるためのstory〜

奏 隼人

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私が守らないと…

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次の日、結衣とは三条駅で待ち合わせをして鴨川の河原に向かった。

彼女はもうメイクをしていない…

高校生の彼女にはやはり自然な可愛い素顔の方が似合っていて良いと僕は改めて思った。

河面を揺らす風が心地良く頬を撫でる…

ふと結衣に目を遣ると三条大橋から見える景色にはしゃぐいつもの元気な彼女ではなく、やっぱりまだ昨日のことを気にしている様子だ。




河原に腰を下ろして僕は結衣に昨日の夜のことを話し始めた…

「…昨日、帰りが遅くなったのは実は結衣のお姉ちゃんと夕食を食べながらお話をしていたんだ。

結衣は僕のことが大好きだから大切にしてあげてって言われたよ。」


結衣は少し驚いた表情を見せた後、心配そうに…

「そう…

お姉ちゃん…翔くんに私の事…何か言った?」


「きっとお姉ちゃんは結衣が高校生だと僕が知って、二人の間に何かあったらと気にしてくれたんだと思う。いいお姉ちゃんだね。僕は兄弟がいないから…うらやましいなぁ。

そして結衣が僕のことを好きになってくれたきっかけも話してくれようとしたんだ。」

「翔くん、聞いちゃった?」

「いや、結衣の口から直接聞いた方がいいから断ったよ。結衣と僕のことだからね。」





「…大雨の日…」

「え…?」


彼女は俯き加減のまま、ゆっくりと話し始めた……





「大雨の日に友達と一緒に駅から帰る時にね…鞄の中の折り畳みを探してた…

私…その時、うっかりペンケースを落として、拾おうとして逆に慌てちゃってそのペンケース…自分で蹴飛ばしちゃって…

傘も差せないくらいの激しい土砂降りの雨の中にペンケースが…




どうしよう……

そう思った時、その男の人は躊躇いも無く、ずぶ濡れになるのに雨の中に私のペンケースを取りに…」



「………」




「ずぶ濡れで私のペンケースを…

ニコッと笑って隣にいた私の友達に渡して…

人混みの中へ…」



「…ペンケース…あの子のじゃなかったんだ…」



「私も友達もお礼も何も言えないくらいビックリして…知らない私のために…あんなになって…」



僕の隣で結衣の大きな瞳から今にも涙が溢れ落ちようとしている…




「友達は優しい人がいて良かったね…と言ったけど、私はそうは思えなかった。

もし…知らない人のために心の優しい純粋なあなたがまた酷い目に合うことがあるかもしれないなんて…私、耐えられないよ…

私があなたを守らないと…

ずっと一緒にいて守ってあげないと!!




でも…私は高校生。あなたは…多分、大学生だと思って、私のような子供が相手にされないかなと思ったんだ。

だから…何度も何度も考えて、あなたを探し出して…手紙を渡したの…

もしもあなたとお付き合いすることが出来たなら…

ずっと一緒にいれると思って…




…大学生の男の人って合コンしたり、バイトで出会った綺麗な女の子と付き合ったりするんでしょ?

どうしても…あなたを他の人に渡したくなくて…焦っちゃった!!

お姉ちゃんに教えて貰って…

似合わないお化粧なんかして…

バカだね…私…」



結衣はそこまで言うと人目もはばからず、目から大粒の涙を流した。

「結衣…」

僕も人目を気にせず…

いや、彼女しか目に入らずに強く結衣を抱きしめた…。
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