sweet sweet pain〜幸せになるためのstory〜

奏 隼人

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女王と王様

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結果が発表され……


steedは見事にオーディションを制した。





メンバーがみんな抱き合って泣いている姿に
僕も結衣ももらい泣きした。

受賞式の後、アンクのマスターと一緒に僕らはsteedのメンバーの所へ向かった…のだったが…


メンバーは見に来ていたファンの子達から離してもらえず…それどころか…


会場にいたバンドマンはほとんどアンクのマスターを知っていて、

「アンクのマスターですよね。はじめまして。一度音を聴いていただきたくて…」

「おう。また店に来いや…!!」


マスターの周りには大勢の取り巻きが……



ああ…

普通の楽器屋さんだと思っていた僕はマスターの存在がそんなカリスマだとはつゆ知らず…とんだご無礼を…


少し場違いなような僕だったが…しかし、マスターを慕うバンドマン達の熱量が少しだけど嬉しく感じられて…


結衣と少し離れた場所で様子を見守っていた。




そんな時…

マスターがおられるのに気付いた陽子さんが慌てて彼の元へ駆け寄られた。


「まあ…マスター。見に来てくださったの?」


「まあな…でも本当はあの兄ちゃんに用があってな…」


「ああ…結衣ちゃんのボーイフレンドですね。」


「ああ…それと…優花の大事な人らしいぜ。」



陽子さんは微妙な表情をして、

「そ、そうなんですか…⁉︎

それより結真の音、聴いておられました?」



「ああ…見事に化けたな。」



「私もビックリしました。 マスターがアドバイスを?」



「いや…全部アイツだよ。

あの兄ちゃんが結真の目を覚ましたのさ…


結真は…今まで薄いティアドロップではじく様に弦を弾いていたんだ。
ピックのしなりを使ってな。

ところが結真は色々な経験をして、何曲もさらってるうちにテクニックばかり身について、自分がギターを初めて弾いた楽しさやギターを弾く意味を見失ってしまっていたのさ…



速弾きで左手ばかり意識して、薄いティアドロップに力を込めて弾こうとする。

そのスピードにしなりがついていかず、力を入れ過ぎてティアドロップは砕ける。



つまり…

結真は昔と弾くスタイルが変わったのさ。

アイツはそれに気づいて、俺に厚い…弦に負けない強いピックを持って来させた。


でも…ピックを変えただけじゃダメだ。
ここからはアイツしか出来なかった。


結真の失った自信をたった一言で取り戻したんだよ…

女王様クイーンプライドを蘇らせたのさ。」



「まぁ。あの子が…

マスターにそこまで言わせるなんて。

彼…本当は何者なんですか⁉︎」



「決まってるじゃないか。アイツは王様キングだよ…」


「キング…⁉︎」


「そうだ。みんな女王が家来ギターに命令を出すことを待っている事しか出来なかった。

王様だけが女王に意見したのさ。〝早く目を覚ませ〟ってな!」
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