sweet sweet pain〜幸せになるためのstory〜

奏 隼人

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「じゃあな!優勝おめでとう。そろそろ店に戻るわ。」

「本当に…ありがとうございました。」


陽子さんが深々と頭を下げた。


その様子に気づいた僕も急いでマスターに駆け寄った。


「マスター、なんてお礼を言ったらいいか…
今日は本当にありがとうございました。」


「俺は何もしちゃいないさ。王様にちょいと貢ぎ物をしただけだ。

アイツはもう大丈夫…女王様によろしくな。

兄ちゃんが店にこないと寂しいから…また顔出しなよ!!じゃあな…」



僕は頭を下げながら「王様?」と言葉の意味を考えてみた。

結局…全く分からなかったが…



「翔くん…」

結衣が涙を浮かべて僕に、

「お姉ちゃんのこと、本当にありがとう。
翔くんが一生懸命力になってくれたからだよ。」



「本当に良かったね。」

僕も本当に嬉しくて貰い泣きをしそうになった…




すると……

「とうっ!」

「キャー!」


優花さんが結衣を押しのけて僕に迫ってきた。 


「ああ~ん。翔ちゃん。ウチの晴れ舞台見ててくれたやろ。今日はお祝いに二人で秘密のこと…し・よ・な!」



結衣が押し返す。

「えいっ!」

「キャー!」



「何が〝し・よ・な〟よ!翔くんは私のカ・レ・シ!このエロババア!」


「何やて!」

「何よ!」



この光景が日常化していることが僕は怖い。



その時…

突然、陽子さんが僕の顔を覗き込んで…




「翔くん…だったわね。

マスターから聞いたわ。本当にありがとう。

私、思い出したわ…

結真…あの子……小さな時にね、近所の石段の上のステージで〝ギターの女王だ~〟ってオモチャのギターを本当に楽しそうに弾いてた。

ウフフ…ビックリしたわ。

さっきの結真、あの時と同じ顔…

とっても楽しそうな…」




「え、じゃあ、結真にギターを聴かせた近所のお姉ちゃんて…」



「そうよ…ウフフッ…

こっちで再会して結真をスカウトしたの。
正解だったわ…ね、結真。」


陽子さんの視線の先の結真と目が合う。







言葉はお互いにかけない…


もう全て分かっている…



…ファサッ…




結真は僕の首に自分のタオルをかけて、ロッカールームの方に歩いていった。





そして……

暗いロッカールームでひとり…




結真はいつか優花に言った言葉を思い出していた。



〝妹や親友の大好きな男に手を出したら地獄に堕ちるよ〟



結真は翔のくれたピックをギュッと握りしめる……




「あたし…地獄に堕ちるのかな…」
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