sweet sweet pain〜幸せになるためのstory〜

奏 隼人

文字の大きさ
69 / 134

折り紙に願いをこめて

しおりを挟む
久しぶりだけど〝一旦整理しよう〟

今、優花さんが一緒に寝て欲しいと言う…

僕は優花さんと恋人同士ではない。
それどころか恋人の結衣が違う部屋とはいえ、同じ建物内で寝ている。

しかし、優花さんは通常の状態ではなく、
恐怖で寝ることさえ出来ず、辛そうである。

どう考えても間違いは起きないだろう!
ここは人助けだと思うのがBest!



結論が出た!僕は優花さんのベッドに入る。

「優花さん、横にいますよ。大丈夫ですか?」

「ん…翔ちゃん、しばらくウチをギュッとしといてくれへんか?」



僕は自分に言い聞かせた「人助け、人助け…」優花さんの身体を抱きしめる。

彼女の香りが僕の鼻をくすぐり、苦しそうな吐息を肌に感じる。

いつも強引さに引いているが、こんな大人の美人をベッドの中で抱きしめているって……!



その時、僕は気付いた。優花さん、ずっと震えている…

本当に辛いんだな…ああ!!変なこと考えていた僕は本当に馬鹿だ…と自己嫌悪に陥った。



「優花さん。僕がついているから大丈夫。
どうしたら楽になりますか?」

やっこさん…」

「えっ?」


「昔、お母はんが、折り紙折ってくれはった。奴さんが悪い鬼を退治してくれはるって。枕元に奴さん三つも置いてくれはった…」


そうか…優花さんのお母さんは優花さんが怖い思いした時に奴さんに優花さんを守ってもらったんだな。

僕はベッドから出て、椅子を寝ている優花さんの側に置いた。そして部屋付きの電話の横にあるメモ帳を持って来た。

僕は奴さんを折り始めた。奴さんに優花さんを守ってくださいと願いを込めてメッセージを書き添える……



そして優花さんの手を両手で包み込むように握った……











——窓から差し込む朝の光…

優花の顔が白く照らし出される。

彼女は目をそっと開いた。




彼女の眼前には椅子に座り、ちょうどベッドに倒れ込むように寝ている翔の姿があった。

翔の手はしっかりと優香の手を握りしめていた。


「ウフフッ……」


彼女は微笑んで…

そっと握られていた手をほどき、

翔の髪を撫でた…




『そうか!!昨夜…翔ちゃんが怯えていたウチを……』


優香は何気無く…

ふとベッドのシーツに目を向けた。



『ええっ!!』


  

驚く程の数の奴さんが彼女のベッドの上を埋め尽くすように置かれている。


その奴さん一つ一つに翔のメッセージが書かれていた。

優花は奴さんを一つ手に取りそれを見つめた…


「優花さんが怖い思いをしませんように」





……彼女の手の中の奴さんに涙が一粒落ちる。

後から後から沢山の涙の粒が手の中の奴さんを濡らしていく。



泣きながら彼女はつぶやいた。




「おおきに。

もう何にも怖いことおまへん。

ウチには…

翔ちゃんがいてくれるさかい…」




そして優花は心の中で恭一に話しかけた。




……恭一、ウチな、翔ちゃんと会うて決めたんや。


この人な、ウチのこと大事にしてくれるええ人やし、好きになろ!


あんたの事いつまでも考えてるのもあかんし、忘れるためにもってな…



そやけど…

やっと今、分かったわ。



ウチ、この人のこと、ホンマに愛してる…


これからはこの人についていきます。



そやけどな、ウチ…あんたの事絶対に忘れへんで。


そやから…ホンマに堪忍やで。


そして今までウチのこと大事にしてくれて…

おおきに…な…






「翔ちゃん……」



隣で寝ている翔の頬に優花は口づけた。

優花の想いのこもった…熱いくちづけだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

妖精王の住処

穴澤空
キャラ文芸
 一人暮らしの会社員葉月弥生は、庭付きの賃貸アパートに住んでいる。そこでガーデニングをするのが、彼女の楽しみだった。  ある日通販で購入したバラの苗に、手のひらサイズの妖精の王が昼寝をしているまま届いてしまう。その妖精王は目を覚ますと「妖精王オベロンの後継である、妖精王オールベロン」と名乗った。彼は弥生の作る庭とご飯を気に入り、弥生と生活を共にすると決めてしまう。そこから、二人の生活が始まり――。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

あやかしたちのとまりぎの日常

彩世幻夜
キャラ文芸
吉祥寺は井の頭公園界隈の一画で、ひっそりと営業するダイニング・バー【ペルシュ】に訪れるお客の大半はひとではないもの、いわゆるあやかしたち。 勿論店の店主や店員もまた人ではない。 そんな店でバイトをするとある専門学校生とあやかしたちが織りなす〝日常(?)〟物語

烏の王と宵の花嫁

水川サキ
キャラ文芸
吸血鬼の末裔として生まれた華族の娘、月夜は家族から虐げられ孤独に生きていた。 唯一の慰めは、年に一度届く〈からす〉からの手紙。 その送り主は太陽の化身と称される上級華族、縁樹だった。 ある日、姉の縁談相手を誤って傷つけた月夜は、父に遊郭へ売られそうになり屋敷を脱出するが、陽の下で倒れてしまう。 死を覚悟した瞬間〈からす〉の正体である縁樹が現れ、互いの思惑から契約結婚を結ぶことになる。 ※初出2024年7月

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

雨に濡れた桜 ~能面課長と最後の恋を~

國樹田 樹
恋愛
心に傷を抱えた大人達の、最後の恋。 桜の季節。二十七歳のお局OL、白沢茜(しろさわあかね)はいつも面倒な仕事を回してくる「能面課長」本庄に頭を悩ませていた。 休憩時間のベルが鳴ると決まって呼び止められ、雑用を言いつけられるのである。 そして誰も居なくなった食堂で、離れた席に座る本庄と食事する事になるのだ。 けれどある日、その本庄課長と苦手な地下倉庫で二人きりになり、能面と呼ばれるほど表情の無い彼の意外な一面を知ることに。次の日にはまさかの食事に誘われて―――? 無表情な顔の裏に隠されていた優しさと激情に、茜は癒やされ絆され、翻弄されていく。 ※他投稿サイトにも掲載しています。

曖昧な距離で愛している

山田森湖
恋愛
結婚4年目のアラサー夫婦、拓海と美咲。仲は悪くないが、ときめきは薄れ、日常は「作業」になっていた。夫には可愛い後輩が現れ、妻は昔の恋人と再会する。揺れる心、すれ違う想い。「恋人に戻りたい」――そう願った二人が辿り着いた答えは、意外なものだった。曖昧で、程よい距離。それが、私たちの愛の形。

処理中です...