sweet sweet pain〜幸せになるためのstory〜

奏 隼人

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大正琴

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花魁風の衣装を着た優花さんがステージに登壇し、着物の裾を黒子に扮したトモヤが引きずらないように持って歩く。

これだけは貴重な借り物の着物だから気をつけないと…

真っ赤な着物に金色のかんざしや飾り物が優花さんを更に美しく魅せていて、また優花さんの美しい黒髪を活かしたヘアメイクも本当に素晴らしい。

実はステージ裏には着替え用のタープテントを用意してあって、曲が終わったと同時にステージ裏に待機していた結衣が早着替えを担当。

結真の夜の仕事の時にヘアメイクを担当していた美容師の方に特別に来てもらい、優花さんは見事に変身したというカラクリである。

優花さんはステージ上で桜の精のような艶やかさを見せている。千花さんが優花さんを見て涙を浮かべる。

「優花…あの子…いつの間にかこんな綺麗になって…」

陽子さんが「本日は海外から特別なお客様をお迎えしております。私たちは日本人として心より歓迎させて頂きます。そのしるしと致しましてこの曲をお送り致します。」

結真もギターを持ってステージ上に上がる。
そして緊張した面持ちでギターを弾く。

ミュラー会長や若い社員の人達が目を見張る。
これは…タッピングプレイ!
結真はギターを両手を使ってまるで琴を弾いているように美しい曲を奏でる。

その時、会場でフリードリンクやフードの給仕を手伝いに来てくれていたポニーテールの女性の手が少し止まり、しばらく結真のギターの演奏に見入った…

いつもは力強くドラムを叩く優花さんがギターに合わせて唄い始めた…

さくら さくら
Sakura Sakura

やよいの空は見渡す限り
Have you seen the old cherry tree
Blossoming so breathtakingly

霞か雲か 匂いぞ出ずる
It's a very glorious thing
Fragrant flowers seem to sing

いざや いざや 見に行かん…
Come and see, come and see
See what joy they bring…



会場が更に盛り上がった時、アンクのマスターが僕の耳元で囁《ささや》いた。

「兄ちゃん、やっぱり凄い奴だな!大正琴とは恐れ入ったよ!」
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