sweet sweet pain〜幸せになるためのstory〜

奏 隼人

文字の大きさ
113 / 134

運命の輪

しおりを挟む
陽子はアンクのマスターの話に驚いて立ち上がった。

「そんな、急な話で…私一人では決められないし、みんなで話し合わないと…第一に本人がまだ知らないでしょう。」

「落ち着けよ。俺だって驚いているんだ。今朝、神社長から連絡もらってな。まあ、まだ詳細は分かっていないらしいから…」

「そう…ですか…」

重い空気が二人の間に漂う…






僕はコンクールに出せる料理を試行錯誤していた。

〝洋食のミヤサキ〟という看板を背負う以上、下手なものは出せない。シンプルだけど、ダイナミックな味、それでいて僕のオリジナル性が出せるものを考えないと…

僕はミヤサキに来た理由は親父さんの料理に感動したからだ。その料理を自分で作ってみたい。

でもそれでは僕の料理ではない。親父さんを超えないと…とてつもない目標だが、将来…僕が一人の料理人としてやって行くにはその覚悟が必要だという事だ。

親父さんが言った壁を越えないとと言ったのはこういうことなのか…僕の眼前にまるで巨大な岩山がそびえ立つくらいに大変な目標に僕は押し潰されそうになっていた。




雪は神社の石段の一番上でギターを弾く。
月に雲ががかる。まるで雪の心の悲しみを見ていられず、お月様が手で顔を覆っているようだった。

「母さん…」

雪の頬に涙がつたう。
いつからこんなに悲しい音になってしまったのだろう…楽しくないギターを弾く自分に雪の心はヒビが入ったガラスのように今にも壊れてしまいそうだった。





「アイツ、今また料理に夢中なのかな?」

以前、翔からもらった歌詞に曲をつけている結真。
翔の事を想いながら紡ぎ出される音は雪のギターの音とは正反対の全く違うものだった…




海外のとあるオフィスでミュラー会長のイベントを配信した動画をずっと見つめる一人の女性がいた。

何度も結真のギターの音を繰り返し聴いている。

「…very good…!!」


みんなの運命の輪はゆっくりと回り始めようとしていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

妖精王の住処

穴澤空
キャラ文芸
 一人暮らしの会社員葉月弥生は、庭付きの賃貸アパートに住んでいる。そこでガーデニングをするのが、彼女の楽しみだった。  ある日通販で購入したバラの苗に、手のひらサイズの妖精の王が昼寝をしているまま届いてしまう。その妖精王は目を覚ますと「妖精王オベロンの後継である、妖精王オールベロン」と名乗った。彼は弥生の作る庭とご飯を気に入り、弥生と生活を共にすると決めてしまう。そこから、二人の生活が始まり――。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あやかしたちのとまりぎの日常

彩世幻夜
キャラ文芸
吉祥寺は井の頭公園界隈の一画で、ひっそりと営業するダイニング・バー【ペルシュ】に訪れるお客の大半はひとではないもの、いわゆるあやかしたち。 勿論店の店主や店員もまた人ではない。 そんな店でバイトをするとある専門学校生とあやかしたちが織りなす〝日常(?)〟物語

烏の王と宵の花嫁

水川サキ
キャラ文芸
吸血鬼の末裔として生まれた華族の娘、月夜は家族から虐げられ孤独に生きていた。 唯一の慰めは、年に一度届く〈からす〉からの手紙。 その送り主は太陽の化身と称される上級華族、縁樹だった。 ある日、姉の縁談相手を誤って傷つけた月夜は、父に遊郭へ売られそうになり屋敷を脱出するが、陽の下で倒れてしまう。 死を覚悟した瞬間〈からす〉の正体である縁樹が現れ、互いの思惑から契約結婚を結ぶことになる。 ※初出2024年7月

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...