sweet sweet pain〜幸せになるためのstory〜

奏 隼人

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温もり

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ライブの日の朝、京都駅のホームに結真の姿があった。ギターとスーツケースを持って電車を待っている。



「黙って何処へ行かれるのですか…女王様。」



振り向くとそこには翔の姿があった。



「……バカ!!」



我慢出来ずに結真は翔の胸に飛び込む。
涙が止めどなく流れる。二人は口唇を重ねた。



「もう…結衣が言ったの?」

「いや、昨日のキスで分かっちゃったよ。」

「なんだよ…バレちゃったか…!!」


結真と二人で笑い合う。


電車がホームに入ってくる…

「行ってらっしゃい。」

そっと頷いた結真は荷物を持って電車に乗る。


「翔…愛してる!!」

結真の言葉に僕は頷く。



電車のドアは閉まり…結真を乗せてどんどん遠ざかって行く。涙で前が見えにくい。


でも僕は行かなくてはならない…

結真の温もりを胸に抱いてホームを後にした。







…steedのライブ会場に雪が姿を見せた。

陽子が、雪を見つけて声をかける。

そして雪を前室に案内した。




「結真がね、あなたに渡して欲しいって。」

陽子は彼女に一通の手紙を手渡した。





「雪さん、今日は行けなくてゴメン!

あたしがいると雪さん遠慮して弾けないでしょ。

もうsteedのメンバーはあたしじゃなくて…
あなたを必要としている。

あたしはこれからNYで勝負する。

だからあなたはその場所であたしを待ってて。
いつかまた絶対あなたと勝負しに帰るから。

P.S   翔のこともあたしは絶対に負けないよ。」



「私、ここにいても良いんですかね?」

雪は呟くように陽子に尋ねた。


「勿論よ…」

陽子は笑顔で頷くと雪を舞台袖に連れていった。客席の方を見て雪は目を疑った。




「あれは…会場の隅にいるのは…

間違いない!!

翔くんと…父さん!!」


「さあ、私達も結真に負けないように全力で行くよ!」

陽子の言葉に雪が力強く頷く。



雪のギターは前のライブより更に輝きを増し、
会場は熱気と興奮につつまれた……







ライブが終わり、雪さんは僕と親父さんの所へ来た。

「翔くん…父さん…」

「よっと。」

親父さんは耳栓を外した。


「ロックってのはうるさくていけねえなあ。

おい。雪…これからは、音楽の練習やライブ…って言ったっけ。

それがある日は、店は俺と翔でやる。これからは自分の好きなこともやるんだ。」

「でも…父さん…」

「翔にな、特別賞をもらった褒美をやるって言ったんだよ。そしたら自分が客席係もやるからお前にギターを弾かせてやってくれってさ。

全く…この男はどこまで優しいんだ?

男はもっとビシッとな…」


親父さんがそう言いかけた時、雪は泣きながら親父さんを抱きしめた。

「ありがとう。父さん。」

そして…翔の胸に飛び込んだ。

「ありがとう…翔くん。」

親父さんは困った顔で笑っていた。



ピロロン♪


両親と一緒に空港に見送りに行った結衣から
メッセージが届いた。




《お姉ちゃん、無事にNYに発ちました。》
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