奥さまは魔王女

奏 隼人

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ギフト

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「ティナ…」

僕は王宮へ走る途中でティナやミスやリルのことを思い浮かべた…


すると…突然頭の中にティナの声が…


「ダ、ダーリン⁉︎…今、何処にいるの?」

「パパ!」

「パパだ、パパだ!わーい!」



「今、エメラルダの森の入口に…それよりナギさんが大変なんだ!今、ムラサメが人を呼びに行ってる…人手が必要なんだ。」

「分かったわ…こっちもみんなを連れていく…お父様にも頼んでみるわ!」

「ありがとう…鍾乳洞の中にナギさんが…お医者さんが説明してくれるよ…場所はね…」





それから僕は森の中の岩肌をくまなく調べた。しかし、お医者さんから見せてもらった辞典の絵のような薬草が見つからない…

その時、ミスとリルの声が聞こえる…

「パパ!」

「いたいた!」


ミスとリルが突然目の前に現れた。


「お前達…テ、テレポートか?」

「あはは…」

「パパ見つけたよ!」



「パパ…今、薬草を探してるんだ!」

「じゃあ、僕らも一緒に探すよ!」

ミスとリルと三人で岩肌を探す…


しかし…いくら探しても薬草は見つからない…
時間が経つに連れみんなに疲労と焦りの色が出てきた。



優也は一旦ナギの様子を見に帰った…


「ナギ…私よ…プラティナよ…分かる…⁉︎」

そこにはお医者様と一緒にティナが付き添ってくれていた…帰って来た優也の顔を見てホッとするティナ…


「ゴホン!!ゴホッ…ゴホゴホッ…」

その時、急にナギが咳込んで吐血した…
朦朧としていた意識もあまりの苦しみでついには気を失ってしまった…

「いかん!毒の回りが早い!このままでは…」
 

「くっ…姉ちゃん…」


ムラサメもその場に立ち尽くすだけ…

優也は幼い頃、自分の祖母が亡くなる時に子供ながらに背中をさすってあげたことをふと思い出した。

ナギを横にして優也はナギの背中を一生懸命さする…


ダメだ…絶対死んだらダメだよ…ナギさん…


優也の頬を涙が伝う…


優也の優しい心にムラサメは自分の武力の意味の無さを痛感し、ティナはその博愛の精神に改めて自分の心の小ささを感じていた。



その時…みんなの目には優也の手が少しぼうっと白い炎のような光を帯びて…ナギの表情が心なしか楽になったような感じに見えた…


医者もその様子を見て驚きを隠せない…

「不思議だ…毒の回りが遅くなっている…こんなことが…しかし…時間を稼げても薬草が無いと…」


「もう一度…ダメかもしれないけど…」

優也は諦めたく無くてもう一度薬草を捜しに行くために立ち上がった…すると…

鍾乳洞の入口の光の中に小さな影が見えた…その影はこちらに向かってだんだん近づいてくる…優也達は身を寄せながらその影をじっと見つめた。




その影はいつも優也が仲良くしているオオカミだった…オオカミはナギの側に咥《くわ》えてきた物を置いた…

医者はそれを見て叫んだ…

「こ、これは…スクリュード!!し、信じられないが…早速すり潰して姫に…」






…それからしばらくしてナギは目を覚ました…



「こ…ここは…そうか…私、目眩がして…」


「姉ちゃん!良かった!ワイは…ワイは…」


横になっているナギに覆い被さるようにしてムラサメは泣き崩れた…



「もう少ししたら動いても大丈夫でしょう。
皆様…それでは私は先に失礼します。」

お医者様はニッコリと笑って先に帰って行かれた。



「優也さん…ゴメンなさい…私…」

「お礼はコイツに言ってくださいね…薬草を…

あれ?アイツ…」




……オオカミの姿はもうそこには無かった。

そこにいるみんながオオカミに心の中で感謝の言葉を浮かべていた…
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