奥さまは魔王女

奏 隼人

文字の大きさ
63 / 105

もう一人の自分

しおりを挟む
「ヴァル…」

彼女が開けたドアの後ろから照らす明かりで薄いシルクのようなローブが透けて身体のラインがくっきり浮かび上がる…

可愛い顔に似合わない美しくグラマーなボディに僕は目を逸らした…そして彼女に背中を向けた…

恥ずかしい気持ちもあったが彼女を見ているとやはりティナの事を思い出してしまう…

僕の表情からヴァルは気持ちを察したのか「優也…側にいてもよいか?」と訊いてきた…

僕は気持ちを彼女に見透かされた恥ずかしさから黙って頷いた…

背中越しに彼女がベッドに入って来たのを感じる…

そしてヴァルはしばらく話難はなしにくそうにしていたがゆっくりと口を開いた…

「その…昼間は済まなかったのう…あんな事を言うつもりは無かったのじゃ…許してはくれぬか…」

「怒ってはいないです…でも、あなたのような優しい人がやっぱり世界を征服するだなんて…やめてほしいと思います…」

「すまぬ…わらわはそれを止めることは出来んのじゃ…」

ヴァルは昼間、空を見上げた時と同じ目をしている…

「何故ですか…理由わけを教えて下さい…」

「優也…わらわをしっかりと抱きしめてはくれぬか…頼む!!」

僕はヴァルの方に向き直り彼女を見つめた…

お義父さんの師匠と言われて恐縮していたが、見た目は出会った頃のティナのように若くてとても愛らしい女性である…

僕も男だからやはりドキドキしてしまう…僕は目をつぶって言われるように彼女を抱きしめた…彼女はゆっくりと語り始めた…

「のう、優也よ…わらわはこの世に生を受けてから今までそなたのように純粋な気持ちの寵愛ちょうあいを受けた事がないのじゃ…

だからお主のようにわらわに妻や恋人への愛情を注いでくれる者も誰一人として居なかった故、どう接して良いのかも分からん…」

「どうしてですか?貴女にも両親や友人達が…」

「…おらんのじゃ…わらわには…実はわらわはの…」






同じ時刻…ミスとリルを寝かしつけながらプラティナはベッドで昼間のヴァルプルガの言葉を思い出していた…



「あやつは…ヴァルプルギスはもう一人の私なのじゃ…私の欲望が実体化して生まれた私そのもの…だから私が修道院で修行した力であやつを封印することにした…

あやつはその時にジュエラ、ソーディア、ミラールの史上最強魔法使いの骸を生き返らせてこの世界を乗っ取ろうとした…しかし、私も命と引き換えにあやつら全員を封印したのじゃが…」

「欲望が実体化?では肉体は無いのですか…」

「いや、あやつは封印される時に私の肉体を奪って行きおった…だから私の墓は何も入っておらぬ…今、お前達と話している魂が眠っておるだけじゃ…あやつのとてつもない魔法力で肉体は若返っておると思うが…
 
あやつが欲望を達成するか…またはその欲望を失った時、その肉体はこの世に留まることが出来ずに崩れ去るであろう。敵として闘ったとはいえ、あやつは自分自身じゃ…早く土に還してやりたいと思う…」







「ダーリン…待っててね…すぐに助けに行くから…」

プラティナは口唇を真一文字に結んで決意を固めた…
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

いいえ、望んでいません

わらびもち
恋愛
「お前を愛することはない!」 結婚初日、お決まりの台詞を吐かれ、別邸へと押し込まれた新妻ジュリエッタ。 だが彼女はそんな扱いに傷つくこともない。 なぜなら彼女は―――

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

処理中です...