奥さまは魔王女

奏 隼人

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それぞれの想い

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ガラガラガラガラ…

その時…脱衣室にまた誰かが入って来たような音がした…

ま、まずい…さっきナギさんが来たということは女性が入ってくる可能性が超特大だ!!

は、早くこの場から出ないと…

ふと脱衣室のドアのすりガラスに目をやるとシルエットが見える…ああ…もう下着を脱いでいるような…まずい…こ、こっちに来る…

「ナ、ナギさん…とりあえず、ここに二人きりはまずいですよ!!」

「あら…私は別に構わないですよ…ウフフ…」

「と、とりあえず僕はそこの岩場に隠れますね…」

ガラガラガラガラ…

「あら…ナギさんだったの?色々あったけど、本当に良い戴冠式になったわね…」


『あ、ありがとうございます…」


あ、愛ちゃんだ…

ザバーン!!カコーン!!

愛ちゃんは掛け湯をして湯船に浸かる…

「ナギさん…どうしたの?ゆっくりお湯に浸からないと身体が冷えちゃうわよ…」

「は、はい!!」

「それにしても…優也くん…大変よね…
ティナさんのご主人でナギさんの騎士…

実はね…

私も彼に大変な所を何度も救われているから…
ミラールでも彼に名誉親衛隊長をお願いしようと思ってるのよ…」


隣で聞いていたナギも岩場に隠れている優也もそれを聞いて驚いた…


「えっ…⁉︎」

「ナギさんは…好きなんでしょう…彼の事…」

「は…はい!!」

「はい!!正直でよろしい!!…ウフフッ…

私ね…昔、優也くんと学校のクラスメイトだったの…

その時はね、彼がティナさんと将来結婚するのが分かっていたから…将来、ミラールに協力してもらうためにお付き合いを始めたの…

でもね…だんだんあの人の優しさに私は惹かれていった…あの時はそれが怖かったわ…

自分の国や親も捨てて人間界で暮らしたくなる自分が…」

ナギはアイの想いを自分の気持ちに重ね合わせる…

「…分かります…何となく…」

「だからね、知らんふりをしてお付き合いしてたら良かったのに、私…自分で別れを切り出しちゃった…

本当は大好きなのにね…ウフフッ…

私…これまで未来を見てその通りになるように頑張って来た…

でも優也くんとティナさんに未来は自分で好きなように描くものだと言われて気が付いたの…

私もやっぱり今でも…

ナギさんと同じように彼が…優也くんが大好き!!

私も同じようにティナさんと結婚していても構わないわ!!勝手に私が好きなだけだから…

良いわよね…?ねえ…優也くん!!」


優也は突然呼びかけられて驚いた…

「あ、愛ちゃん…何でここにいるって分かったの?」

「もう…パルテ様の力を受け継いだ私の未来眼で分からないと思うの…?

ちなみに女風呂に変えたのはムラサメ君のイタズラよ…」


「そ…そうだったんだ…でも、何で僕がいるって分かっていて君は入ってきたの…?」

「あら…それはナギさんと同じよ。
大好きな貴方がいた方が嬉しいもの…

ナギさん…お互い好きな人が同じ者同士…頑張りましょう!!」


ナギは笑顔でアイの言葉に頷いた…

「はい!!」


「と、とにかく僕は上がらせてもらいます…」

タオルで前を隠しながら脱衣室へ走る…焦る僕をナギさんと愛ちゃんは笑いながら見送った…



脱衣室にたどり着いた僕は少しホッとして引き戸を開けた…

ガラガラガラガラ…

すると同時にドアを開けようとしていたティナにバッタリ出くわしてしまった…


「テ、ティナ…あの…これは…その…」

「ダーリン…⁉︎」

ティナは僕を抱きしめて脱衣室の中に引き入れた…

「ダ、ダメじゃない…今、ナギさんとアイさんが入ってるみたいよ…

私と一緒に入りたくて来てくれたんでしょ…

私…ダーリンをずっと探してたのよ…手を怪我してるから医務室を覗いても誰もいないから…心配で心配で…

今日は着替えからずっと別々だったもんね…ゴメンね…寂しい思いをさせてしまって…

帰ったらずっと一緒にいて大切にするから…待ってて…ね!!」

「う…うん…」

僕は着替えて…誰にも見られていないか確認して浴場を飛び出した。


「モテる男は大変じゃのう…いっそ、全員を嫁に娶ったらどうじゃの?」

「もう…勘弁してよ…ヴァル…」



美しくて広い豪華なお風呂だったが、残念ながら…僕の疲れを癒すことは出来なかった。
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