まともじゃない2人だけの関係。

メトロノーム

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〝ピリピリッピリピリ〟

睡魔に割って入る電子音。
アラームを止めて身体を起こすと、
あちらこちらが鉛のように重く、そして痛い。


腕にはキツく縛られ、痣となった紫色の縄の痕。

俺は悪夢みたいな昨日を思い出し、再び布団の中に潜り込んだ。


「行きたくねえーな」

昨日の〝あれ〟は人生の中で1番最悪な出来事だ。

服やバッグやらをそいつから奪い、すぐさまホテルを後にした。
頭の中で考えないようにと必死に走り続けていたら吐き気に襲われ道の端で思いっきりぶち撒けた。


〝うわ、きったねー。酔っ払いが〟

うるせえ。うるせえ。
横を通り過ぎる通行人に悪態を吐かれながらも、自分の腹を何度も叩いた。


「うっわ!お前なんでそんな厚着なんだよ!」

「うるせえほっとけ」

「辞めてくれよなそんな厚着されっと俺まで暑くなってくる」

「だー!うるっせえんだよ!仕方なかったんだから!」

「? 仕方ないって何がだよ」

「……別に。」

くっそ!なんでこんな暑い中わざわざ俺は長袖着て大学に行かなきゃ行けねーんだよ。

あんなことあったから正直あいつに会ったらやり過ごせる自信がねえし。
鉢合わせなければいいけど…

「あ!慶!」

向こうから舞の声がした。
ハッと上を見上げ、満面な笑みで手を振る舞に、少し恥ずかしいながらも笑顔で振り返した。

舞には振られちまったけど、これからもずっと仲のいい関係でいたい。
いや出来れば舞の周りに蔓延る脳内ち○こだらけの男は抹殺したいけど…

「ね、慶!慶にね。紹介したい相手がいるの…」


「…は?」

「あとちょっとで来ると思うんだけど…!
あっ!きたきた!こっちだよ玲!」

おいおいおいおいおい。
ふざけんなよ玲ってあの玲?

俺を挟んで後ろめがけて大きく手を振る舞の瞳は、
所謂期待と好意でキラキラしていた。

針が胸に刺さったようなそんな感覚を残しながら、俺は頑なに後ろを振り向かずその場を後にしようと歩き出したーーが。

「なーに逃げてようとしてんだよおまえ」

右手を掴まれ、耳元で呟かれた。
ああこの声は間違いなくあいつだ。

舞には俺の身体で後ろが見えていない。
ギリっとキツく腕を掴まれ顔が怯んだ。

「ごめん。舞お待たせ」

「遅いよ!玲くん!紹介するね。この人が友達の慶だよ」

「ふーん。〝友達〟ねえ」

小馬鹿にされたんだろうか…
〝友達〟舞の口からその言葉を聞いてまた胸が痛んだ。

「ねえ!今度よかったらみんなで遊ばない?
誰かの家でもいいからさ。親睦会ってことで!」

「えー!めっちゃ面白そうじゃないっすか!
慶お前もいいだろ?」 

大輔の言葉に反応できない。
ふざけんなよ。何で俺が舞とよりによって玲なんかと一緒に遊ばなきゃなんねーんだよ…

「へー。いいよ俺は賛成」

軽い口調でそう放ったのは玲だった。
何を企んでんだよこいつ…

「慶もくるだろ?」
「え…いや俺は「そうと決まれば日程ね!いつがいいかなー?」

俺の言葉に気づかず遮って話はじめる舞に、大輔も参加して事が転々と進んでいった。







「なー無視すんなよ、なあ?」

知らない知らないあんな奴俺は知らない。
その後すぐに俺はその場を離れて人気のないキャンパス内を歩いた。

まさか後ろからしつこく玲がついてくるなんて思わなかったけど。

「なあって」
「…!っいぃ!おま、えさあ!さっきからそうやって腕掴むのやめろよ!」

「は?なんで?」

「痛むんだよ腕が!」

さする腕をじーっと見つめた玲はニヤリと笑い出す。

「…あーね。俺がキツキツに縛っちゃったやつね。
でも大丈夫だったろ?あんなのほんの一瞬だし。最終的にはあんたが酷くかわいい喘ぎするから解いてやったんだろ」

「…な!?お前こんな公共の場で」

「なー。今度はいつ会ってくれんの?」
「…!会うわけねえだろお前なんかと」
「は?何言ってんの。約束通り次も会うんだろ?」

「い、たぁ…」

ギリっと腕を掴まれ、拘束された手にすりすりと頬擦りした。

その瞳ん中は真っ暗だ。


「な…んでこんなことすんだよ」

「は?」

「お前舞のこと好きじゃねえのかよ。

たしかに俺…舞に告ったし…でもそん時はお前が彼氏なんて知らなくて…だから…
俺のこと憎かったんだろ?」

「…」

「もう舞は諦めるよ。だからさもうこんなこと「あんたさっきから何言ってんの?」

その瞬間視界が揺らいで、両肩を思い切り壁に打ちつけられた。
衝撃で頭がぐらついたが、すぐに目の前の顔に向けると玲は不満そうに俺の瞳を見つめる。

「…な!」

「俺があんたを憎い?本気で言ってんのそれ。」

「え、な、だって!そうとしか…」

「あーそっか。俺下手なのかも」

わしゃわしゃと無造作な髪の毛を掻きむしり、苦笑しながら勢いよく俺の顎を掴んだ。

「俺はあんたを愛してるよ。この世界の誰よりも」

「な!?」

ガタガタと背中が壁にぶつかる音。
服同士が擦れる音、今ここには誰もいない。

「いた…おまえ手どけぇろよ」

下顎を掴まれ、そのせいでだらしなく口が開いてうまく話せない。

「はーあ。誰にも捕られないようにさあ、今すぐにでもあんたに挿れたい。」

「は!?この、気持ちわり…んぐ!?」

「ちょっと黙ってて」

開いた口に玲の空いた片方の指が侵入してくる。
人差し指と中指が舌の上を這って喉の奥に到達すると激しく動かした。

「!?ん、お、ぇえ」

吐き気に襲われ身体をバタつかせるが、びくともしない。
奥に入ったり、浅いところで舌の上を擦ったり、唾液が口の端からだらだらと出ていく。

「お、かっ…は…」

「エロい顔。あんた昨日もそうだったよそんな顔してた」

「…んぐ!て、めぇ…う、お…」

グチュグチュと卑猥な音が誰もいない廊下に響き渡り、奥で暴れる指に犯されて今すぐにでも吐いてしまいそうだ。

もう苦しい…この苦しさから逃れたい。

「なあ。今日俺ん家来てよ」

「ふ…んぐぅう、あ」

「そしたらこの指抜いてやるから」

今までで1番深い喉の奥を指先で刺激され、涙がボロボロと溢れていく。

「ほら、どーすんの?て、喋れないか」

「ふ…ぅ…ひ」

俺はとうとう負け、縦に頷くと玲はずるっと指を引き抜いた。

「お、ぇえ…あ、はあ…」

「はは、唾液きったね」

そう言って唾液でいっぱいの指を俺の頬に擦りつけると「じゃあ今日大学終わったら来いよ。住所送るから。」手をひらひらさせながらその場を後にした。



う、そ…だろ。
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