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待たせてごめんな…
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──式典も終わりを迎え、いよいよ高校生活最後のホームルームが始まった。
これが本当に最後…
これで俺らの高校生活は終わりを迎える…
みんな、涙ながらに先公との別れや友達との一時的な別れを惜しみながらも、あっという間に時は流れ…俺たちの旅立ちの時間がやってきたんだ。
俺たち三人は、卒業証書が入った筒を手に取り、名残惜しくも一年を共にした教室を後にし、外の空気に触れていた。
裕翔は笑顔で天を仰ぎ、天国の父さんと母さんに卒業の報告を心で伝えているようだった。
裕翔…?父さんも母さんもきっと喜んでくれてるよ…?
清々しい春風に俺も深呼吸をして、春の温もりを感じていたその時だった。
「なぁなぁっ!三人で写真撮ろうぜ!ほらほらっ!」
「おおっ!?しゅ、駿!?」
駿がいつもと変わらず元気に声をかけてくれて、俺と裕翔の手を引き、卒業証書授与式と書かれた看板の前まで連れていってくれたんだ。
スマホを片手に俺たちは何枚も写真を撮った。
真面目に決めてみたり、駿が変顔をしたり、それを見て笑う俺たちの写真だったり…
そして、気の回る駿は、俺たちだけの写真も撮ってくれたんだ。
俺は微笑みながら裕翔の肩にそっと手を回し、優しく裕翔の身体を引き寄せてやった写真。
俺の大切な宝物のひとつになったんだぜ…?
◇ ◇
そして、駿とも別れの時…
「駿…本当に色々ありがとね…」
「お前がいなきゃ…俺たちはこうして隣にいれなかった…本当にありがとう…」
俺たちは駿との別れを惜しんだけれど、俺たちの言葉に駿はゲラゲラと笑いだしたんだ。
「うひひっ!ちょっと待て待てっ!永遠の別れみたいに言うなよっ!あれだろ、お互い落ち着いたら遊ぼうぜ!?ってか、定期的にダブルデートしようぜっ!」
「だ、ダブルデート…!?」
俺と裕翔の一声は、いつも通り綺麗にハモり、俺も裕翔も頬が赤くなる…そんな俺たちの姿に尚更ゲラゲラ笑い返してくる駿。
「おめぇら顔あっけぇ~なっ!ウブかよ、ウブ!でもさ、俺らはきっと…これからもいつでも会えるから、今日は笑顔で別れようぜっ?また連絡するしよっ!」
ここが一つのゴールだけれど、ゴールしたからといって、俺らの関係が終わったわけではない。
なら、ちゃんと笑顔で別れよう…
【親友の証】を持っている俺たちなら、また笑顔で会える…絶対にっ!!
「駿、またねっ!」
「親友、元気でやれよっ!」
「おう!お前らもなっ!」
俺たちは笑顔で挨拶を交し、同じスタートラインからそれぞれの道へと歩み出したんだ。
◇ ◇
──そして、裕翔との最後の帰り道
最後も俺は自転車の後ろで幸せな時を過ごしていた。
この時間もこれが最後だと感じていたその時、裕翔がそっと俺に問いかけてきたんだ。
「大和…?」
「…ん?なんだ?」
「僕の運転…怖くなかった?」
怖いわけないよ…
むしろ毎日、幸せだったんだから…
「…ああ…高級車より最高だったよ…」
いずれ愛している裕翔には、俺のもう一つの真実を伝えなければ行けない日が来る。
今すぐには言えないけれど、そんなものよりもお前には、俺の傍にずっといて欲しいんだ。
「大和…例えが分からない…」
「はははっ!いずれ分かるさ……なぁ裕翔…?」
「ん?なぁに?」
「………」
迎えに行くと心で決めていたのに、大事なところで恥ずかしさのあまり声が出ない…
俺のバカっ!ここで恥ずかしがってちゃ、示しがつかないだろっ…!
もう、弱虫な気持ちは、やめにするんだ…
ちゃんと裕翔を迎えに行くと決めたんだから…!!
「…今日…泊まりに行っていいか…?」
「ええっ!?ぼ、僕はいいけれど、せっかくの卒業式なのに親御さんは大丈夫なの…!?」
「…今日は帰らないって言ってきてるし…親も行ってこいって…」
俺の返答に裕翔は、どこか嬉しさと恥ずかしさが混じりながら『僕の傍にいて…?』と俺に返してくれた。
そんな裕翔の答えに安堵した俺は、いつも通り裕翔の背中にハリネズミを優しく添えて、嬉しさと恥ずかしさを滲ませてしまったんだ。
これが本当に最後…
これで俺らの高校生活は終わりを迎える…
みんな、涙ながらに先公との別れや友達との一時的な別れを惜しみながらも、あっという間に時は流れ…俺たちの旅立ちの時間がやってきたんだ。
俺たち三人は、卒業証書が入った筒を手に取り、名残惜しくも一年を共にした教室を後にし、外の空気に触れていた。
裕翔は笑顔で天を仰ぎ、天国の父さんと母さんに卒業の報告を心で伝えているようだった。
裕翔…?父さんも母さんもきっと喜んでくれてるよ…?
清々しい春風に俺も深呼吸をして、春の温もりを感じていたその時だった。
「なぁなぁっ!三人で写真撮ろうぜ!ほらほらっ!」
「おおっ!?しゅ、駿!?」
駿がいつもと変わらず元気に声をかけてくれて、俺と裕翔の手を引き、卒業証書授与式と書かれた看板の前まで連れていってくれたんだ。
スマホを片手に俺たちは何枚も写真を撮った。
真面目に決めてみたり、駿が変顔をしたり、それを見て笑う俺たちの写真だったり…
そして、気の回る駿は、俺たちだけの写真も撮ってくれたんだ。
俺は微笑みながら裕翔の肩にそっと手を回し、優しく裕翔の身体を引き寄せてやった写真。
俺の大切な宝物のひとつになったんだぜ…?
◇ ◇
そして、駿とも別れの時…
「駿…本当に色々ありがとね…」
「お前がいなきゃ…俺たちはこうして隣にいれなかった…本当にありがとう…」
俺たちは駿との別れを惜しんだけれど、俺たちの言葉に駿はゲラゲラと笑いだしたんだ。
「うひひっ!ちょっと待て待てっ!永遠の別れみたいに言うなよっ!あれだろ、お互い落ち着いたら遊ぼうぜ!?ってか、定期的にダブルデートしようぜっ!」
「だ、ダブルデート…!?」
俺と裕翔の一声は、いつも通り綺麗にハモり、俺も裕翔も頬が赤くなる…そんな俺たちの姿に尚更ゲラゲラ笑い返してくる駿。
「おめぇら顔あっけぇ~なっ!ウブかよ、ウブ!でもさ、俺らはきっと…これからもいつでも会えるから、今日は笑顔で別れようぜっ?また連絡するしよっ!」
ここが一つのゴールだけれど、ゴールしたからといって、俺らの関係が終わったわけではない。
なら、ちゃんと笑顔で別れよう…
【親友の証】を持っている俺たちなら、また笑顔で会える…絶対にっ!!
「駿、またねっ!」
「親友、元気でやれよっ!」
「おう!お前らもなっ!」
俺たちは笑顔で挨拶を交し、同じスタートラインからそれぞれの道へと歩み出したんだ。
◇ ◇
──そして、裕翔との最後の帰り道
最後も俺は自転車の後ろで幸せな時を過ごしていた。
この時間もこれが最後だと感じていたその時、裕翔がそっと俺に問いかけてきたんだ。
「大和…?」
「…ん?なんだ?」
「僕の運転…怖くなかった?」
怖いわけないよ…
むしろ毎日、幸せだったんだから…
「…ああ…高級車より最高だったよ…」
いずれ愛している裕翔には、俺のもう一つの真実を伝えなければ行けない日が来る。
今すぐには言えないけれど、そんなものよりもお前には、俺の傍にずっといて欲しいんだ。
「大和…例えが分からない…」
「はははっ!いずれ分かるさ……なぁ裕翔…?」
「ん?なぁに?」
「………」
迎えに行くと心で決めていたのに、大事なところで恥ずかしさのあまり声が出ない…
俺のバカっ!ここで恥ずかしがってちゃ、示しがつかないだろっ…!
もう、弱虫な気持ちは、やめにするんだ…
ちゃんと裕翔を迎えに行くと決めたんだから…!!
「…今日…泊まりに行っていいか…?」
「ええっ!?ぼ、僕はいいけれど、せっかくの卒業式なのに親御さんは大丈夫なの…!?」
「…今日は帰らないって言ってきてるし…親も行ってこいって…」
俺の返答に裕翔は、どこか嬉しさと恥ずかしさが混じりながら『僕の傍にいて…?』と俺に返してくれた。
そんな裕翔の答えに安堵した俺は、いつも通り裕翔の背中にハリネズミを優しく添えて、嬉しさと恥ずかしさを滲ませてしまったんだ。
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