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どんな事があっても、お前は俺のもの
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──身支度をした俺たちは自転車に乗り、いつも俺を迎えに来てくれていた駅へと向かったんだ。
ただ一つだけいつもとは違った…
そう、今日は俺が自転車のサドルに跨り、俺の後ろにちょこんと裕翔が座っている。
たまにはこんな風にスタイルを変えてみるのも悪くないよな?
「ちゃんと掴まってろよ?」
「…うんっ!」
振り落とされないようにと、裕翔も俺にしっかりと掴まっては、俺の背中にそっと頭を添えてくれたんだ。
裕翔の温もりを背中に感じる…
ああ、幸せだな…
裕翔も今までこんな感じだったのかな…?
裕翔の温もりと春の陽気に包まれながら、俺らは幸せな時間を共に過ごしていったんだ。
◇ ◇
──そして駅に着き、俺の実家がある最寄り駅を目指すことになったんだけれど、最寄り駅までの道のりを見た裕翔は、驚きを隠せない様子だった。
「…や、大和…?」
「ん?なんだ?」
「こ、これ…毎日通ってたの…?」
俺の実家は、電車で片道二時間はかかる場所…
地元から離れて高校生活を送りたいと考えていた事もあって遠く離れた場所に来ていた訳だ。
まぁ…場所がバレたくなくて裕翔と駿には、近い所に住んでるって言ってたんだけどな?
「まぁ、地元から離れたかったからな…慣れちまえば余裕だったぜ?…それに途中からは裕翔が毎日、迎えに来てくれてると思えば、全然苦にもならなかったし…」
自分で発しておきながら、どこか恥ずかしくなっちまった俺は、またハリネズミをわしゃわしゃと掻きむしっちゃって…
それにつられるかのように裕翔まで頬を赤くしちゃっていて…
俺たちの関係は、番を結んだとしてもまだまだ甘酸っぱいままだったんだ。
◇ ◇
──電車に乗り込み、俺たちは電車に揺られながら、長い道のりを過ごしていく。
二人がけの席で色んな話をしながら時を過ごしていく中で俺は、とある事を裕翔に投げかけてみたんだ。
「なぁ裕翔?俺がお前にマフラーをあげた本当の理由は、何となく分かってるか?」
「え…?えっと…」
裕翔はきっと…俺の匂いや温もりが大好きだったから、それを見越して俺がプレゼントをしたんだとか思ってたんじゃないだろうか…?
それも一理ある…間違いではないけれど、それよりも大事な事がもう一つあったんだ。
そう、駿のあの一言だ。
『あいつ可愛いから、誰かに取られないようにだけは気をつけろぉ?』
ちょっと返答に困っている裕翔に俺は、俺の思いを包み隠さずに裕翔へと紡いでいったんだ。
「…お前から甘ったるいフェロモンが微量に流してしまうのは仕方ない…そして、不順が起きていたのも俺は知っていた…」
「裕翔が他のαに襲われたりして…俺の番を奪われたりしたら、たまんねぇだろ…お前のうなじも俺のものだ…なら、マフラーで隠してやりたかったんだよ…」
素直に思いを伝えたのに…やっぱりこんなセリフを吐くのは恥ずかしいし、ドキドキしちまう。
ハリネズミをわしゃわしゃとする俺を尻に、俺の思いを聞いてまた頬を赤らめる裕翔。
もう、俺らはいつまで経ってもこんな感じなんだろうな…?
それでも今、俺の隣にいる裕翔は、俺の大事なパートナーという事実に変わりはない。
絶対に誰にも渡さない…
絶対にお前を離したりなんてしないから…
「…でもな…?」
「で、でも…?」
そう言いながら俺は、照れている裕翔のうなじに手を当て…
「もう、その必要はねぇもんな…な、裕翔?」
ニコッと微笑みを残した俺は、誰も乗っていない電車内で裕翔の返答なんか待ちもせず、そのまま優しくキスをしてあげたんだ。
ただ一つだけいつもとは違った…
そう、今日は俺が自転車のサドルに跨り、俺の後ろにちょこんと裕翔が座っている。
たまにはこんな風にスタイルを変えてみるのも悪くないよな?
「ちゃんと掴まってろよ?」
「…うんっ!」
振り落とされないようにと、裕翔も俺にしっかりと掴まっては、俺の背中にそっと頭を添えてくれたんだ。
裕翔の温もりを背中に感じる…
ああ、幸せだな…
裕翔も今までこんな感じだったのかな…?
裕翔の温もりと春の陽気に包まれながら、俺らは幸せな時間を共に過ごしていったんだ。
◇ ◇
──そして駅に着き、俺の実家がある最寄り駅を目指すことになったんだけれど、最寄り駅までの道のりを見た裕翔は、驚きを隠せない様子だった。
「…や、大和…?」
「ん?なんだ?」
「こ、これ…毎日通ってたの…?」
俺の実家は、電車で片道二時間はかかる場所…
地元から離れて高校生活を送りたいと考えていた事もあって遠く離れた場所に来ていた訳だ。
まぁ…場所がバレたくなくて裕翔と駿には、近い所に住んでるって言ってたんだけどな?
「まぁ、地元から離れたかったからな…慣れちまえば余裕だったぜ?…それに途中からは裕翔が毎日、迎えに来てくれてると思えば、全然苦にもならなかったし…」
自分で発しておきながら、どこか恥ずかしくなっちまった俺は、またハリネズミをわしゃわしゃと掻きむしっちゃって…
それにつられるかのように裕翔まで頬を赤くしちゃっていて…
俺たちの関係は、番を結んだとしてもまだまだ甘酸っぱいままだったんだ。
◇ ◇
──電車に乗り込み、俺たちは電車に揺られながら、長い道のりを過ごしていく。
二人がけの席で色んな話をしながら時を過ごしていく中で俺は、とある事を裕翔に投げかけてみたんだ。
「なぁ裕翔?俺がお前にマフラーをあげた本当の理由は、何となく分かってるか?」
「え…?えっと…」
裕翔はきっと…俺の匂いや温もりが大好きだったから、それを見越して俺がプレゼントをしたんだとか思ってたんじゃないだろうか…?
それも一理ある…間違いではないけれど、それよりも大事な事がもう一つあったんだ。
そう、駿のあの一言だ。
『あいつ可愛いから、誰かに取られないようにだけは気をつけろぉ?』
ちょっと返答に困っている裕翔に俺は、俺の思いを包み隠さずに裕翔へと紡いでいったんだ。
「…お前から甘ったるいフェロモンが微量に流してしまうのは仕方ない…そして、不順が起きていたのも俺は知っていた…」
「裕翔が他のαに襲われたりして…俺の番を奪われたりしたら、たまんねぇだろ…お前のうなじも俺のものだ…なら、マフラーで隠してやりたかったんだよ…」
素直に思いを伝えたのに…やっぱりこんなセリフを吐くのは恥ずかしいし、ドキドキしちまう。
ハリネズミをわしゃわしゃとする俺を尻に、俺の思いを聞いてまた頬を赤らめる裕翔。
もう、俺らはいつまで経ってもこんな感じなんだろうな…?
それでも今、俺の隣にいる裕翔は、俺の大事なパートナーという事実に変わりはない。
絶対に誰にも渡さない…
絶対にお前を離したりなんてしないから…
「…でもな…?」
「で、でも…?」
そう言いながら俺は、照れている裕翔のうなじに手を当て…
「もう、その必要はねぇもんな…な、裕翔?」
ニコッと微笑みを残した俺は、誰も乗っていない電車内で裕翔の返答なんか待ちもせず、そのまま優しくキスをしてあげたんだ。
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