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大陸へ -第四夜~
★年上の男
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今日のゲーム内では、リリンと離れている事が多かったものの、それでも思いの外楽しかった。
ゲーム内で船を降りて、すぐにログアウトするといつも通りの天井が私の眼に映る。
横たわった場所から身を起こしつつ、今日の事を思い浮かべ、少し失敗したなと思う。
ハニーちゃんと2人で行った狩りも、その時はリリンのところに早く帰りたいとばかり思っていたが、思い返してみると中々新鮮な体験だったと気付いた。
もっと、ハニーちゃんとの対話も楽しめば良かったのだ。
明日以降、また会えたらそうしてみよう。
もう少しあの世界に行っていたいと、ついつい考えてしまうがそうしてしまうと流石に体力がもたない。
スケジュールの調整をするにしても限度があるし、現状維持が精々か。
翌日の朝食の後、兄と少し話をしようと思う。
話題は、『年上の男の魅力』についてだ。
昨日、イカ下足君に色々と教わった。
12歳年下の娘に思いを寄せている男が、どうしたら思いを遂げられるかという相談に、最初は驚いた顔をしたモノの、彼は快く乗ってくれたのだ。
「年下の女性から見た、12も年上の男の魅力と言ったら、落ち着き・包容力・大人の余裕と言ったところだわなぁ。」
「落ち着き……。」
落ち着きと言うのは、どうだろう?
兄上を思い返し首を傾げる。
「13歳の女の子なら、同じ位の12~14歳の男の子の行動と比べると思うんだわ。」
「……それなら流石に問題ないと思われる。」
「次の包容力はどうかな?」
「仇名が『お父さん』なのだが……。」
「それは恋愛の対象から外れそうだわな……。」
イカ下足君はそう言いながら、ムムムと考え込む。
「父親に求められるのは、忍耐や規範を教えこんだりって言う、大人としての理想を示す事というらしいんだわ。」
「ふむ……。それとも少し違う様な……?」
「どんな感じの人?」
「面倒見が良くて、少しお節介。努力家で勉強家。少し器用貧乏の印象もある。感情の起伏は割と大きい方だが、最近少し抑えようとしている様な気がする。私には良く怒る……。」
最後の項目で、思わず耳が垂れる。
何故か兄上は私の事をやたらと怒るのだ……。
「面倒見が良いのは誰にでもって事だわなぁ……。お節介なところがあると言う事は、無意識にやってるんだろうし……。」
「確かに。」
「お弟子ちゃんはソレに気が付いてる節は?」
「親切なお兄さんと思っている節なら……。」
「中々難しそうだわなぁ。」
私もそう思う。
苦笑を浮かべるイカ下足君の言葉に私も迷わず頷く。
「なら、ギャップ萌えを狙うか。」
「ギャップ萌え……。」
「うんうん。感情の起伏を抑えようとしてるって事は、ポーカーフェイスを気取ろうとしてるって事だろうから、逆にお弟子ちゃんの前でだけは素を出す方向で。」
「そうすると、『大人の余裕』とやらは達成できないのではないのかね?」
「そんなん、全部揃えないといけないモノでもないから気にしないでもいいと思うわ。」
「ふむ……。」
「まぁ、長期戦になるとは思うし上手くいくとは限らないけど……。」
「いや、相談させてもらえて良かった。」
少し自信なさげに笑うイカ下足君に、私は心からお礼を言った。
『ギャップ萌え』、良い言葉だ。
リリンに今度言ってみよう。
ちなみに、この方法を兄に伝えた2年後。
本当に効果が上がっていた事に驚く事になった。
兄がそれを知るのはその1年後の事。
ゲーム内で船を降りて、すぐにログアウトするといつも通りの天井が私の眼に映る。
横たわった場所から身を起こしつつ、今日の事を思い浮かべ、少し失敗したなと思う。
ハニーちゃんと2人で行った狩りも、その時はリリンのところに早く帰りたいとばかり思っていたが、思い返してみると中々新鮮な体験だったと気付いた。
もっと、ハニーちゃんとの対話も楽しめば良かったのだ。
明日以降、また会えたらそうしてみよう。
もう少しあの世界に行っていたいと、ついつい考えてしまうがそうしてしまうと流石に体力がもたない。
スケジュールの調整をするにしても限度があるし、現状維持が精々か。
翌日の朝食の後、兄と少し話をしようと思う。
話題は、『年上の男の魅力』についてだ。
昨日、イカ下足君に色々と教わった。
12歳年下の娘に思いを寄せている男が、どうしたら思いを遂げられるかという相談に、最初は驚いた顔をしたモノの、彼は快く乗ってくれたのだ。
「年下の女性から見た、12も年上の男の魅力と言ったら、落ち着き・包容力・大人の余裕と言ったところだわなぁ。」
「落ち着き……。」
落ち着きと言うのは、どうだろう?
兄上を思い返し首を傾げる。
「13歳の女の子なら、同じ位の12~14歳の男の子の行動と比べると思うんだわ。」
「……それなら流石に問題ないと思われる。」
「次の包容力はどうかな?」
「仇名が『お父さん』なのだが……。」
「それは恋愛の対象から外れそうだわな……。」
イカ下足君はそう言いながら、ムムムと考え込む。
「父親に求められるのは、忍耐や規範を教えこんだりって言う、大人としての理想を示す事というらしいんだわ。」
「ふむ……。それとも少し違う様な……?」
「どんな感じの人?」
「面倒見が良くて、少しお節介。努力家で勉強家。少し器用貧乏の印象もある。感情の起伏は割と大きい方だが、最近少し抑えようとしている様な気がする。私には良く怒る……。」
最後の項目で、思わず耳が垂れる。
何故か兄上は私の事をやたらと怒るのだ……。
「面倒見が良いのは誰にでもって事だわなぁ……。お節介なところがあると言う事は、無意識にやってるんだろうし……。」
「確かに。」
「お弟子ちゃんはソレに気が付いてる節は?」
「親切なお兄さんと思っている節なら……。」
「中々難しそうだわなぁ。」
私もそう思う。
苦笑を浮かべるイカ下足君の言葉に私も迷わず頷く。
「なら、ギャップ萌えを狙うか。」
「ギャップ萌え……。」
「うんうん。感情の起伏を抑えようとしてるって事は、ポーカーフェイスを気取ろうとしてるって事だろうから、逆にお弟子ちゃんの前でだけは素を出す方向で。」
「そうすると、『大人の余裕』とやらは達成できないのではないのかね?」
「そんなん、全部揃えないといけないモノでもないから気にしないでもいいと思うわ。」
「ふむ……。」
「まぁ、長期戦になるとは思うし上手くいくとは限らないけど……。」
「いや、相談させてもらえて良かった。」
少し自信なさげに笑うイカ下足君に、私は心からお礼を言った。
『ギャップ萌え』、良い言葉だ。
リリンに今度言ってみよう。
ちなみに、この方法を兄に伝えた2年後。
本当に効果が上がっていた事に驚く事になった。
兄がそれを知るのはその1年後の事。
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