秘密の異世界交流

霧ちゃん→霧聖羅

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宅地造成

☆行商広場のバカップル

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「おねーさんって、ちょっとお馬鹿なのー?」
「・・・・・・。」
「血が出るほど噛んじゃ拙いのは、ちょっと考えれば分かるよねー。」
「反論できない・・・・・・。」

 犯罪フラグが立った原因についての説明が終わると、犬耳斧少女のまりあちゃんの口から毒が飛び出した。
彼女は見た目の幼さからは想像がつかないくらいの毒舌家らしい。
見た目だけなら、オレンジっぽい犬耳にボブカットの目がクリクリとした可愛らしい雰囲気なのに。
ちなみに、犬耳はラブラドールとかみたいなちょっと垂れた耳が可愛い。
 まぁ、実際彼女の言う通りすぎて反論できないんだけど。
反論できないからこそ、言葉がきつすぎる・・・・・・。

「それにしても、サイちゃんは何でおねーさんがPKじゃないと思ったのー?」

 まりあちゃんの言葉にクスクス笑いながら、サイ君が口を開く。
サイ君は、青いオオカミ耳と尻尾の、ハニーちゃん似の美人な男の子。
ヒゲが濃くなったりなんかしたら、泣く子が沢山出そうだ。
柔らかな笑みと物腰で、上品な感じのする子でアルと違ってモテそうだなと思う。
アルは美形だけど、何と言うか中身がちょっと残念な感じがするからきっと、それほどモテないと思うんだよね!
私は好きだけど。

「父から良く聞いていた、『緑の猫耳娘』だったのがひとつ。」
「それは決定打じゃないよねー?」
「町に向かって逃げ出したのが、ふたつ目。」
「ああ、犯罪フラグ立った状態で町に入ると、衛兵に狩られるよねー。」


マジか。
知らんかった。
危ないところだったんじゃん!


 今になって知った話しに、内心でガクブルする。

「助けに入った、黒髪エルフで両親の友人確定。」
「・・・・・・で、ついでに『行商広場のバカップル』認定かー。なるほどねー。」

 彼女は、わたしの方に視線を向けて腰に手を当てると、にっこりと笑う。

「おねーさん、見つかったのが私とサイちゃんでついてたねー?」

 なんだか、全面的に肯定できない雰囲気を感じながら曖昧に頷くと、彼女は胸を張って言い放つ。

「おねーさんの犯罪者フラグが取れるまで、わ・た・しとサイちゃんで護衛してあげる!」
「うーん……。それ、断らせるつもりないよね?」
「うん♪」
「なんとなく、何を代償に求めるのか分かったような気がするけど、聞いてもいいかな?」
「まりあも、おうちが欲しいの~♪」

 事情説明の最中に、クエの話もしたからそうなるかなーとは思ったんだけどね。
宅地造成と聞いた瞬間に、彼女の目がすごく輝いたから。

「いいけど、すぐには無理だと思うよ?」
「いいよー? さすがに無料でとは言わないからー。実費だけって考えても、高くなる可能性高いしねー。」
「了解。造成だけで、その後の建築がどうなのかも分からないからそこはまた別で話す方向で。」
「商談成立~♪ じゃ、少し街道沿いの方でこっちに人が来ないように見てるねー!」

 それから、採集をしている間に何度かまりあちゃんの声が聞こえてくるたびに、わたしは耳をふさぎたい気持ちになった。

「向こうにいる犯罪者フラグのプレイヤーさんは、『行商広場のバカップル』の片割れさんでーす☆」

 それで説明が済んでいるらしく、こっちに来る人はチラチラとこちらを見て通り過ぎていくだけだったけど。
これなら、お願いせずに逃げ回っていた方がよかったなと、思わずにいられないくらい恥ずかしい。
そうしてやっと、犯罪者フラグが消えてくれたときには心からホッとした。

「おねーさん。次からは加減、気をつけるんだよー?」

 そう言いながら、フレンド申請を飛ばしてくるまりあちゃんに苦笑を返しつつ、登録を済ませる。
やっぱり、私がいたたまれなくなるのが分かってああいう口上を使っていたらしい。


まったく、いい性格してる。


 礼儀正しくお辞儀するサイ君の手を引っ張って行く、その姿を見送りながらため息を吐く。

「リリン。」
「にゅ?」
「『バカップル』と言うのは、何かね?」

 ずっと疑問に思っていたらしいアルの質問に、わたしは苦笑するしかない。
分かり易いように説明すると、彼は真面目な顔で「バカップル万歳」と呟いてくれて、わたしはひとしきりおなかを抱えて笑い転げることになった。


あー、もう!
アルってば、なんて可愛いの?!
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