秘密の異世界交流

霧ちゃん→霧聖羅

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初めての?共同作業

☆課金アイテム

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 ハウジングで燃え尽き気味だった私は、リアルで3日間。
ゲーム内で9日間の間、アルと2人きりでだらだらとお料理の試作をしたり、着せかえっこをしたりして遊んだ。
アルの着せたがった服は、「ヒモだよね?!」って思わず叫んじゃった水着もあったけど、それ以外はちょっぴりスカート丈が短かったり、背中が開いてたりする程度でほっとした。
でも、タイトな服の方がお好みらしい。
だぼっとした感じの服も、結構可愛いと思うんだけどなぁ……。


うーん……。
微エロ?


 ボディコンまではいかない感じだから、まぁいいかなと思う。
ただ、外に出る時は上に何かひざ丈の上着を着て欲しいという要望があったのには、ちょっと注文が多いなとめんどくさい気分になってしまった。

「アル……。そんなに気にしないでも大丈夫だよ? 多少肌を出したところで、寄ってくる男なんていないから。普段着てるのと、そんなに変わらんし。」

 そう伝えると、彼は衝撃を受けたように固まる。
本当のところは、いつもはもう少し露出は少ないし、デニムかレギンスかを穿いているから生足でてないけどね?

「いや、でも、しかし……。」

 困った様に耳をピコピコするのが可愛すぎて結局、妥協するんだけど。

「んじゃ、そのまま出ていい服を毎回選んでね?」
「うむ。」

 私がそう言うと、彼の耳が嬉しげに赤く染まってピョコンと大きく揺れ動いてちょっぴり目元が緩み、その口元に微かな笑みが浮かんだ。。


くそ、耳の動きが可愛すぎる……。
その上で、こんな事で笑うとか反則すぎる。


 思わず、熱の集まって来たほっぺを抑えて深呼吸。
アルには、もう少し自分が美形だと言う自覚が欲しいと思う。
ここ何日かゲーム内で、アルしか見て無かったから表情の変化に少し敏感になったせいで、さっき程度の表情の変化でも結構劇的に感じる様になっちゃったから余計だ。

「ところで、今日は何をするのかね?」
「今日はねー……、そろそろイカ下足君のリクエストのイカ下足料理に取りかかろうかと思います☆」
「ふむ。では、外出は無しと。」

 彼はそう言うと、ウキウキと耳を揺らしながら今日の服を選び始めた。
実は、公式サイトで導入待ちをしていた課金アイテムが昨日の晩に解禁されんだよね。
私が待っていたのは、『メーカー別調味料セット』。
月額課金アイテムであるそれを、醤油・味噌・ソースに課金した。
醤油は……ちょっと事情があって2社分。
ケチャップが欲しかったのに、醤油も付いてくると言う悲しさ。
まぁ、そっちの醤油が好きな人もいるから仕方ないか。
 なにはともあれ、これで醤油を使った料理が作れると言う訳なのだ☆
イカ料理で思いつくのは、やっぱり醤油を使うのばっかりだったから、この課金アイテムを待ってたんだよね。
月額課金だから、30日間はいくらでも使い放題!
沢山この課金調味料を使った料理を作ってやろうと思います♪ 
まぁ、1種類100円なんだけどね。
アルの調薬スキルの中に、発酵とか醸造とかがあったから作って貰うと言うのも手だったんだけど、食べた事のない調味料を作らせるのは難しいかな? と思ったのもあって今回は課金したんだけど、可能そうだったら、アルに作って貰うのも良いかもしれない。

 アルが選んだ今日の服を着ると、早速作業部屋に向かった。
バックパックには、課金したアイテムがしっかり入ってる。
課金アイテムは表示で、普通のゲーム内で入手したアイテムとは別計算だとは思わなかったけど、別計算で助かった。
調味料だけで、危うくバックパックから溢れるところだったとかちょっと驚きだ。
 早速、材料を取り出して作業台に並べて行くのをアルが期待感を醸し出しながら眺めている。
今日作るのは、素材のよさを素直に味わう為のもの。
材料は、イカ下足・ショウガ・醤油・お塩少々・水少々。
取り敢えずお試しで作るから、アルと私の2人分。
イカ下足を食べやすい大きさに切っている間に、塩を入れてお湯を沸かす。
湧いたお湯に下足を投入すると同時に砂時計をひっくり返して、ショウガをすりおろしていく。
砂時計の砂が半分ぐらい落ちたところで、下足をお湯から上げてすり終わっていたぶんのショウガをざっと混ぜてからお皿に載せる。
最後に、上からショウガをすり落として、少し水で薄めた醤油を回し掛けして出来上がり!

 滅茶苦茶簡単だけど、ぷりっぷりのイカの歯ごたえが堪らない一品なのです☆

「もう出来たのかね?」
「んむ~♪」

 いそいそと、試食スペースにそれを運ぶアルにニマニマしながら、その後に続く。
すっかり箸が上手になったアルが、それを口に運ぶのを眺めながら感想を待つ。

「美味い。」
「にひひ♪」
「この調味料を君が待っていたのかね?」
「うんうん。日本人の故郷の味ってやつなんだよ。」
「成程。……きゅうりみたいなものか。」

 醤油をちょっぴり舐めながら彼が問う。
故郷の味という言葉に帰って来たのがきゅうりというのはちょっとビックリしたけど、アルのところではきゅうりがソウルフード的な感じなのか。
まだ、ゲーム内できゅうりには出会ってないけど、きっとその内出てくるだろうからその時は、きゅうり料理を振る舞う事にしよう。
アルはどんな顔をするだろう?
あっという間に全部食べて、まだ欲しいなという顔をしているアルの為に、また別のイカ下足料理の試作を振る舞っている内に、あっという間にその日も終った。
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