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旅立ち準備
魔神様と情報神様
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消えたのはにぃにではなくわたしの方なんじゃないかと理解したのは、目の前で笑顔を浮かべて酒樽を抱きしめている女性の嬉しそうな声を聞いた瞬間のこと。
「ねぇ、情報神。これって最短じゃない?」
「加護を授けてから、プレゼントが貰えるまでの期間のことなら、たしかに最短」
「しかも、この蜜酒の香りの華やかさったら……」
うっとりした表情で目を閉じる彼女のことを、情報神と呼ばれた男の人が愛しげに見つめてる。なんだか、随分とくたびれた格好をしているけれど、この人が『すべての知と法則を司る』情報神様ってことでいいんだろうか?
んでもって、酒樽を抱えた超絶美人なお姉さんが、その奥さんの魔神様??
「ああ――寵児ちゃんは、そこに座って」
『寵児ちゃん』と呼ばれて、ビックリしつつ自分を指差すと情報神様は人懐こい笑顔で頷いた。彼が指差す先に視線を向けると、座り心地の良さそうな一人掛けの椅子がある。
「寵児ちゃん……」
おっかなびっくり椅子に腰掛け、思わずつぶやく。
――名前、名乗ったほうがいいのかな……?
神様って、何でも知ってるイメージがあるんだけど。
「悪いね」
「うに……?」
「寵児ちゃんに加護を授けたとき、返事がもらえなかったもんだから凹んでてさ。なのに、こんなに早くプレゼント付きで遊びに来てくれたもんだから……今、『嬉しい』メーターが振り切れてるトコ」
何に対して謝られたのか分からずに首を傾げたら、そんな返事が返ってきた。
「ご加護を授かったときは、わたし、熱病に罹ってて意識がなかったので……」
「――だってさ?」
「そっか……良かった」
魔神様いわく、迷惑だと思われているんじゃないかと思って気が気じゃなかったらしい。だから、加護を授けてくれたときに話しかけたのに返事が返ってこなかったのだと落ち込んでいたんだとか。
正直、嬉しいかどうかで言うと良く分からないんだけど……嫌な気持ちにはなってない。魔神様が、気に病み過ぎだと思います。そもそもが――
「むしろ、ご加護いただいてなかったら死んでたかもです」
「っ!? こんな可愛らしい子が病気で早世するなんて、それは世界の損失っ……!」
まるで、この世の終わりとばかりに絶望した表情になる魔神様に、情報神様は呆れ顔。
「ホント、姫さん。可愛い系の子好きだねぇ……」
「だって、夢のフワフワヘアーにつぶらな瞳。ほっぺもすべすべで言うことないじゃない」
「姫さんの髪は、たしかにサラッとストレートだけど、切れ長なのに優しげな目の形も、高すぎず低くもない鼻も、ついつい吸い付きたくなる唇に女性らしい柔らかな曲線を描く頬の形も完璧。コレで、神に成る前と姿がまるで変わってないってんだから、詐欺だよなぁ……?」
「な、なんで今、私のことを口説いてるの」
うろたえて酒樽をギュッと抱きしめた魔神様は、助けを求めるようにわたしの方へと視線を向けてくる。でも、魔神様は情報神様に素直に褒められておけばいいと思うんだよね。
実際、村一番の美人さんって言われてたおかんの顔が、並以下に見えてしまうくらいの美人さんだし。
ちなみに、情報神様はブサイクじゃないけど、魔神様の隣にいると2~3段は劣って見える顔立ちだ。多分、身綺麗にした状態で魔神様から離れていたら、悪くない顔立ちだと思う。
わたし自慢のにぃにといい勝負だね。
とはいえ、そんなことを馬鹿正直に口にするわけにもいかないから、わたしは別のことを言葉にしてみた。
「……私としては、魔神様のサラッとストレートヘアーが羨ましいです」
これは、掛け値なしの本音だ。だって、ストレートだったら多少長くても自分で整えられる気がする。
「ないものねだりなんですけど」
「それは……うん。私もそうだね」
苦笑を浮かべて肩をすくめると、魔神様は気持ちを切り替えたらしい。
「それじゃあ、ここから仕切り直しってことで――はじめまして、フェリシアちゃん。私があなたに寵愛を授けた、魔神です。いつでも……とまでは言えないけれど、神殿の守護結界内でならある程度は会話を交わすことも出来るから、気軽に声をかけてね」
「ちなみに、コレが寵児ちゃんに送ったメッセージ」
照れくさそうにほほえみつつ告げる言葉に、情報神様が注釈を入れる。
授かったのが『加護』なら神殿内で極稀に、『愛し子』だったら加護結界内でも極稀に、『寵愛』だと加護結界内ならほぼ確実に魔神様と心で会話が出来てしまうんだそうだ。
「なるほど……」
ちょっとまって。
コレってもしや、うっかり他の人に話してしまうと、脳内フレンドがいるアブナイ女の子扱いになってしまうやつでは?
もしくは、『神託』もらえる巫女様的なナニカ。
――どっちも、やだなぁ……
特に巫女様。
なんというか、村に居た巫女様のイメージが悪すぎて、そもそもが神殿に良いイメージがないんだよね。
「ねぇ、情報神。これって最短じゃない?」
「加護を授けてから、プレゼントが貰えるまでの期間のことなら、たしかに最短」
「しかも、この蜜酒の香りの華やかさったら……」
うっとりした表情で目を閉じる彼女のことを、情報神と呼ばれた男の人が愛しげに見つめてる。なんだか、随分とくたびれた格好をしているけれど、この人が『すべての知と法則を司る』情報神様ってことでいいんだろうか?
んでもって、酒樽を抱えた超絶美人なお姉さんが、その奥さんの魔神様??
「ああ――寵児ちゃんは、そこに座って」
『寵児ちゃん』と呼ばれて、ビックリしつつ自分を指差すと情報神様は人懐こい笑顔で頷いた。彼が指差す先に視線を向けると、座り心地の良さそうな一人掛けの椅子がある。
「寵児ちゃん……」
おっかなびっくり椅子に腰掛け、思わずつぶやく。
――名前、名乗ったほうがいいのかな……?
神様って、何でも知ってるイメージがあるんだけど。
「悪いね」
「うに……?」
「寵児ちゃんに加護を授けたとき、返事がもらえなかったもんだから凹んでてさ。なのに、こんなに早くプレゼント付きで遊びに来てくれたもんだから……今、『嬉しい』メーターが振り切れてるトコ」
何に対して謝られたのか分からずに首を傾げたら、そんな返事が返ってきた。
「ご加護を授かったときは、わたし、熱病に罹ってて意識がなかったので……」
「――だってさ?」
「そっか……良かった」
魔神様いわく、迷惑だと思われているんじゃないかと思って気が気じゃなかったらしい。だから、加護を授けてくれたときに話しかけたのに返事が返ってこなかったのだと落ち込んでいたんだとか。
正直、嬉しいかどうかで言うと良く分からないんだけど……嫌な気持ちにはなってない。魔神様が、気に病み過ぎだと思います。そもそもが――
「むしろ、ご加護いただいてなかったら死んでたかもです」
「っ!? こんな可愛らしい子が病気で早世するなんて、それは世界の損失っ……!」
まるで、この世の終わりとばかりに絶望した表情になる魔神様に、情報神様は呆れ顔。
「ホント、姫さん。可愛い系の子好きだねぇ……」
「だって、夢のフワフワヘアーにつぶらな瞳。ほっぺもすべすべで言うことないじゃない」
「姫さんの髪は、たしかにサラッとストレートだけど、切れ長なのに優しげな目の形も、高すぎず低くもない鼻も、ついつい吸い付きたくなる唇に女性らしい柔らかな曲線を描く頬の形も完璧。コレで、神に成る前と姿がまるで変わってないってんだから、詐欺だよなぁ……?」
「な、なんで今、私のことを口説いてるの」
うろたえて酒樽をギュッと抱きしめた魔神様は、助けを求めるようにわたしの方へと視線を向けてくる。でも、魔神様は情報神様に素直に褒められておけばいいと思うんだよね。
実際、村一番の美人さんって言われてたおかんの顔が、並以下に見えてしまうくらいの美人さんだし。
ちなみに、情報神様はブサイクじゃないけど、魔神様の隣にいると2~3段は劣って見える顔立ちだ。多分、身綺麗にした状態で魔神様から離れていたら、悪くない顔立ちだと思う。
わたし自慢のにぃにといい勝負だね。
とはいえ、そんなことを馬鹿正直に口にするわけにもいかないから、わたしは別のことを言葉にしてみた。
「……私としては、魔神様のサラッとストレートヘアーが羨ましいです」
これは、掛け値なしの本音だ。だって、ストレートだったら多少長くても自分で整えられる気がする。
「ないものねだりなんですけど」
「それは……うん。私もそうだね」
苦笑を浮かべて肩をすくめると、魔神様は気持ちを切り替えたらしい。
「それじゃあ、ここから仕切り直しってことで――はじめまして、フェリシアちゃん。私があなたに寵愛を授けた、魔神です。いつでも……とまでは言えないけれど、神殿の守護結界内でならある程度は会話を交わすことも出来るから、気軽に声をかけてね」
「ちなみに、コレが寵児ちゃんに送ったメッセージ」
照れくさそうにほほえみつつ告げる言葉に、情報神様が注釈を入れる。
授かったのが『加護』なら神殿内で極稀に、『愛し子』だったら加護結界内でも極稀に、『寵愛』だと加護結界内ならほぼ確実に魔神様と心で会話が出来てしまうんだそうだ。
「なるほど……」
ちょっとまって。
コレってもしや、うっかり他の人に話してしまうと、脳内フレンドがいるアブナイ女の子扱いになってしまうやつでは?
もしくは、『神託』もらえる巫女様的なナニカ。
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