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ブロッキ神国横断中
聖域へご招待
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突然、目の前に現れたにぃにを見てクリナムさんは目を丸くしたけれど、慌てず騒がずにホッとしたように小さく笑う。
何か言っているけど、のぞき窓だと声は聞こえない。
ただ、柔らかな表情から「無事でよかった」とかそんな感じのことを言ってるんじゃないかと想像できるだけだ。にぃにの後ろを気にした様子で口を開いたのは、わたしの姿がないことが気になって訊ねたのかも。
――ソレはソレとして、のぞき窓から見える景色って、動くんだね。
今までは使う機会がなかったから気づかなかったけど、どうやら視点は簡易神殿を身に着けている人の目の高さに固定されているらしい。今はにぃにが首から下げてるからか、いつもよりも高い位置になってて、ちょっぴり新鮮。
にぃにがクリナムさんの手を引いて歩きだすと、周りの景色も変わっていくから――コレはもしかすると、聖域に入った状態で誰かに運んでもらうこともできるのかも。
お隣の広いお部屋に移動すると、窓から身を乗り出していたピエリスさんが怖いお顔で振り返って、にぃにの姿を見た途端にボロボロと泣き出した。あっという間もなく視界がグラグラ揺れだして、わたしは慌てて目を閉じる。
何が起きたのか、なんとなくだけど想像がついたよ……
きっと、にぃにってば、逃げる間もなく捕まってグラングランとゆすられてるんだろう。のぞき窓越しに見てただけでも、視界が揺れすぎて気分が悪くなってきた。
――な~むぅ~……
まだ、食事前だったからケロンはしないだろうけど、気持ち悪くはなっていそうなにぃにに心の中で黙祷を捧げつつ、のぞき窓に視線を戻す。
ありがたいことに視界の揺れはなくなって、かわりに目の前に『フェリシア、出てきて』というメモ書きが……どうやらわたし、ちょっと目を話した間に呼ばれてたらしい。
「呼ばれて飛び出たフェリシアでっす!」
聖域から現し世に移動して最初に目に入ったのは、呆れ顔のにぃにの顔。
それから、心底ホッとした様子のピエリスさんとクリナムさんの二人組だ。
ピエリスさんなんて、一度は泣き止んだみたいだったのに、またもやエグエグ泣き出した。
「フェリシアの悪ふざけは置いといて、実験は成功したから一旦アッチに戻るよ」
「ふにゃ?」
アッチってどっち? なんて聞く暇もなく、あっという間にわたしは聖域へと逆戻り。
いや、なんで呼び出したのかって聞きたいトコだけど、単純に簡易神殿を聖域から持ち出した状態で出られる場所を確認したかっただけなんだろうな……行動する前に相談してよ、にぃに!
「――ここは?」
いつもと違ってにぃに主導で聖域に入ったせいなのか、わたし達が出た場所はにぃにの樹上ハウスの真下だった。だから、目に入るのは荒れ果ててカッサカサの大地と大きな木だけという、ちょっぴりさみしいもの。
「なんか、アッチの方はキレイに線引いたみたいに草生えてんよ」
物珍しげにキョロキョロとあたりを見回していたピエリスさんが指さしたのは、わたしがせっせと土を肥やした牧草地だ。確かに彼の言う通り、綺麗に線を引いたようにこっち側だけ草がない。
――自分の分しか土壌改良してなかったからなぁ……
後で、にぃにからのご希望があったらこっちの土壌改良もしてあげよう。とはいえ、もしかしたら今の状態のほうが鍛錬するのに都合がいいのかも。だから、勝手に手を出すのは絶対にダメだよね。
「驚いてるところ悪いんだけど、さっさとあの町から逃げないとマズいんじゃない?」
にぃにの指摘に、ハッとした顔でクリナムさんとピエリスさんは顔を見合わせた。
「ああ、確かに。さっきピエリスが窓から捨てていたのはこの町の兵士だから、早めに逃げるべきだな」
「ってか、この別空間っぽいのにいれば捕まんないっしょ?」
「確かにここにいれば捕まることはないけどね……。僕もフェリシアも、ずっとここにいるつもりはないよ」
ソレは、うん。にぃにに同意だ。
にぃにの横でわたしがコクコク頷いていると、ピエリスさんはもどかしげな様子で口を開く。
「でも、さっきも言ったケド――」
「加護の儀を受けてない年頃に見えるフェリシアが、あいつらの目的なんでしょ? 分かってるよ」
「だったら、ほとぼりが冷めるまでここにいる方が安全だって分かるっしょ?」
「もちろん、僕もフェリシアも、安全な場所に着くまではこの聖域で大人しく待ってるよ。それならいいんでしょう?」
ニッコリと笑って返すにぃにをじっと見てからピエリスさんは頷いた。
「ソレなら問題ないけど……どうすりゃいいん?」
「コレをもって、安全だと思う場所まで移動して」
「了解。クリナムは足手まといになっから、置いてってもいい?」
「……うん。預かるよ」
二人の間で勝手に話が進んでいってしまって、わたしとクリナムさんはほったらかしだ。その上ピエリスさんに『足手まとい』扱いをされたものだから、クリナムさんはショックを受けた顔でうなだれた。
何か言っているけど、のぞき窓だと声は聞こえない。
ただ、柔らかな表情から「無事でよかった」とかそんな感じのことを言ってるんじゃないかと想像できるだけだ。にぃにの後ろを気にした様子で口を開いたのは、わたしの姿がないことが気になって訊ねたのかも。
――ソレはソレとして、のぞき窓から見える景色って、動くんだね。
今までは使う機会がなかったから気づかなかったけど、どうやら視点は簡易神殿を身に着けている人の目の高さに固定されているらしい。今はにぃにが首から下げてるからか、いつもよりも高い位置になってて、ちょっぴり新鮮。
にぃにがクリナムさんの手を引いて歩きだすと、周りの景色も変わっていくから――コレはもしかすると、聖域に入った状態で誰かに運んでもらうこともできるのかも。
お隣の広いお部屋に移動すると、窓から身を乗り出していたピエリスさんが怖いお顔で振り返って、にぃにの姿を見た途端にボロボロと泣き出した。あっという間もなく視界がグラグラ揺れだして、わたしは慌てて目を閉じる。
何が起きたのか、なんとなくだけど想像がついたよ……
きっと、にぃにってば、逃げる間もなく捕まってグラングランとゆすられてるんだろう。のぞき窓越しに見てただけでも、視界が揺れすぎて気分が悪くなってきた。
――な~むぅ~……
まだ、食事前だったからケロンはしないだろうけど、気持ち悪くはなっていそうなにぃにに心の中で黙祷を捧げつつ、のぞき窓に視線を戻す。
ありがたいことに視界の揺れはなくなって、かわりに目の前に『フェリシア、出てきて』というメモ書きが……どうやらわたし、ちょっと目を話した間に呼ばれてたらしい。
「呼ばれて飛び出たフェリシアでっす!」
聖域から現し世に移動して最初に目に入ったのは、呆れ顔のにぃにの顔。
それから、心底ホッとした様子のピエリスさんとクリナムさんの二人組だ。
ピエリスさんなんて、一度は泣き止んだみたいだったのに、またもやエグエグ泣き出した。
「フェリシアの悪ふざけは置いといて、実験は成功したから一旦アッチに戻るよ」
「ふにゃ?」
アッチってどっち? なんて聞く暇もなく、あっという間にわたしは聖域へと逆戻り。
いや、なんで呼び出したのかって聞きたいトコだけど、単純に簡易神殿を聖域から持ち出した状態で出られる場所を確認したかっただけなんだろうな……行動する前に相談してよ、にぃに!
「――ここは?」
いつもと違ってにぃに主導で聖域に入ったせいなのか、わたし達が出た場所はにぃにの樹上ハウスの真下だった。だから、目に入るのは荒れ果ててカッサカサの大地と大きな木だけという、ちょっぴりさみしいもの。
「なんか、アッチの方はキレイに線引いたみたいに草生えてんよ」
物珍しげにキョロキョロとあたりを見回していたピエリスさんが指さしたのは、わたしがせっせと土を肥やした牧草地だ。確かに彼の言う通り、綺麗に線を引いたようにこっち側だけ草がない。
――自分の分しか土壌改良してなかったからなぁ……
後で、にぃにからのご希望があったらこっちの土壌改良もしてあげよう。とはいえ、もしかしたら今の状態のほうが鍛錬するのに都合がいいのかも。だから、勝手に手を出すのは絶対にダメだよね。
「驚いてるところ悪いんだけど、さっさとあの町から逃げないとマズいんじゃない?」
にぃにの指摘に、ハッとした顔でクリナムさんとピエリスさんは顔を見合わせた。
「ああ、確かに。さっきピエリスが窓から捨てていたのはこの町の兵士だから、早めに逃げるべきだな」
「ってか、この別空間っぽいのにいれば捕まんないっしょ?」
「確かにここにいれば捕まることはないけどね……。僕もフェリシアも、ずっとここにいるつもりはないよ」
ソレは、うん。にぃにに同意だ。
にぃにの横でわたしがコクコク頷いていると、ピエリスさんはもどかしげな様子で口を開く。
「でも、さっきも言ったケド――」
「加護の儀を受けてない年頃に見えるフェリシアが、あいつらの目的なんでしょ? 分かってるよ」
「だったら、ほとぼりが冷めるまでここにいる方が安全だって分かるっしょ?」
「もちろん、僕もフェリシアも、安全な場所に着くまではこの聖域で大人しく待ってるよ。それならいいんでしょう?」
ニッコリと笑って返すにぃにをじっと見てからピエリスさんは頷いた。
「ソレなら問題ないけど……どうすりゃいいん?」
「コレをもって、安全だと思う場所まで移動して」
「了解。クリナムは足手まといになっから、置いてってもいい?」
「……うん。預かるよ」
二人の間で勝手に話が進んでいってしまって、わたしとクリナムさんはほったらかしだ。その上ピエリスさんに『足手まとい』扱いをされたものだから、クリナムさんはショックを受けた顔でうなだれた。
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