にいにと一緒に世界をめぐる~奉納スキルでアイテムゲット☆彡~

霧ちゃん→霧聖羅

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トレルリ神民国~『普通』を体験してみよう~

やっほ~い!

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 あと二箇所も村に立ち寄って、キナ臭い話がないか確認するっていうもんだから、あと二日は聖域におこもりなのかと思ったんだけど――


「特に問題なさそ~だったし、昼食ったら全員で動こっかぁ」


 と、お昼ごはんを食べるために戻ってきたピエリスさんが言いだした。


「え……? でも、まだあれから一日しか経ってないよ?」

「フェリシアちゃんも、グーちゃんも、しなきゃいけないときはちゃんとおこもり出来っけどさぁ――その気になれば出れる状況でおこもりすんのはキツいっしょ」


 昨日の昼から二つ目の村に向かって一晩過ごし、早朝から三つ目の村に走ってお昼まで情報収集。その結果、「まぁ、大丈夫かな?」ってなったので、聖域からの外出が解禁になったらしい。
にぃに・・・と手を取り合って歓声を上げ、わたしはお昼のメニューの付け合せを一つ追加することにして調理場へ向かう。

――今日は、ピエリスさんの好きなホイップクリームを追加しよう♪

 大急ぎで判断材料を集めてくれたっぽいし、感謝の気持ってことで。
実のところ、おこもり自体は苦じゃないんだけど、おっしゃる通り、その気になれば出れる季節にってなると案外ストレスを感じるっぽい。人里まで出てくるまでの十日間、『採集タイム』と称して山の中でそれなりに歩き回ったのもストレスを感じる理由の一つなのかも。
 なんにせよ、午後からはお外に出られるのでそんなストレス生活ともオサラバだ!
ひゃっほーい!


 お昼ごはんは、いつものパンケーキ。
 ピエリスさんのはあまぁ~い生地に、ジャムや蜜をたっぷり掛ける。
兎耳族は割りと甘党な人が多くいそうで、ピエリスさんもその例に漏れず大の甘党なのだ。今日は、そこに生クリームまで追加しちゃうし、想像しただけで歯が疼く……
 猫耳族のわたし達は三人共、甘くない生地にカリカリに焼いたベーコンと卵・シャモネお魚のマヨ和えなんかをトッピングして食べてる。
シャモネは、わたし達が渓谷で足止めを食らう原因で、黄色みの強いピンク色で脂ののった美味しいお魚さん。焼き身をほぐしてマヨ和えにしたのも美味しいけれど、切り身にお塩をパラリとやって焼いただけでも幸せになれる。
たくさん獲ったのでまだまだ在庫はあるものの、加工したり凍らせたりしたものばかりなので、生のモノが欲しい気がする今日このごろだ。いざとなったら、奉納ポイントで交換するけど。

 ソレはソレとして。 
甘いものも大好きだけど、間食にするのがイチバンだというのは冬ごもりの間に学んだよ。
毎食でもいいピエリスさんと違って、ご飯はしょっぱいものの方が良いよねっ。


「ご飯、出来たから運んで~!」


 取りに来た人から順番に、食べたいものを食べたい分だけ持っていくのが最近のフェリシア流。
お昼だから暖炉に渡した鉄板の右の端には甘い生地、左の端にはしょっぴり塩気のある生地のパンケーキが乗っている。みんなが自分の分を取り分けてる間に、わたしはテーブルにトッピングを並べて準備は完了!


「えっ、なんか、すごいのあんだけどっ!?」

「頑張ってくれたごほーびだよっ」


 甘いパンケーキを山盛りにして戻ってきたピエリスさんのやる気なく垂れてたお耳が、生クリームの山を見てピンと元気に空を指す。

――お気に召したようで、なによりです。




 トレルリ神民この国は、端に近い場所でも道が広くて見通しが良い。
最初に発見した小さな村でさえ、週に一度は最寄りの町まで行く竜車が来るそうだ。

――ウチの国とは大違いだね。

 正面からやってきた曳竜に牽かれている大きな荷車とすれ違いざまに「よい旅を」と挨拶の言葉を交わす。
今のですれ違ったのは、もう六組目。
春も半ばを迎えてて、移動が苦にならない季節ではあるけれど――ブロッキ神国を移動していた時には見なかった光景だ。なんか、違和感がすごい。


「実際に見てみないと、分からないものだね」

「うにうに」


 ブロッキ神国で人とすれ違わなかったのは、冬が迫る季節だった上に人目を避けて進んでいたせいもある。だけど、隣国へ向かう山道で出会った人達と、こんな風に穏やかな挨拶を交わしたりはしていない。

――ほんとに、国が変わるだけで常識も変わるんだね。

 子供を親から奪うのが普通だったらしいブロッキ神国わたし達の故郷とは大違いだ。
でも、こういう違いなら大歓迎!

 キッチリと整備されているおかげか、魔獣が現れる気配もない道を軽快に駆けるフォレチェルの背に揺られてく。途中、いくつもある分かれ道からポツリポツリと合流してくる人がいたからか、わたしたちは同じ方向に進む行列の中の一人になっていて、フォレチェルはすでに走っていない。

――いつの間に!?

 わたしはビックリしたけれど、周りの人は普通のお顔。
にぃに・・・もいつもの澄まし顔。
驚いてるのがわたしだけというのがなんだか恥ずかしくなって、視線を落として深呼吸をしてから正面に顔を向けた。
ちょうどそのタイミングで森を抜けたらしく、突然視界がひらけて遠くに高く積まれた石壁が姿を現す。その向こう側には、沈みかけてる真っ赤な夕陽。

――こうして見ると、たしかに武神様の髪の色だね。

 前に技術神様がおっしゃっていた『マネッコ』の話を思い出し、小さく笑う。
きっと今、反対側に顔を向ければ『オリジナル』だった情報神様の瞳の色をしたお月様が見えるに違いない。森に、阻まれなければの話だけれども。


「思っていたより大きいな」

「コレなら、フォレチェルも引き取り手が見つかりそ」


 私と同じ感想を抱いたらしいクリナムさんの言葉に、ピエリスさんが口笛を吹きつつそう呟く。

――そういや、いたね。
  牧草を食べるだけの穀潰しさん達が。

 結局、ブロッキ神国で売り損なってから、未だにわたしの従魔枠を圧迫してる。
たまに護衛代わりに働いてもらう以外では働いて貰う機会もないので、引き取り手が見つかるなら嬉しい限りだ。

――空いた枠で、生地の素材に良さそうな毛の持ち主を手に入れるもいいかも。
  とりあえず、ミントのお婿さんとかかな?

 結局、町の中に入る手続きが終わったのは、お月様が夜空に顔を出したころのことだった。
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