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霧ちゃん→霧聖羅

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トレルリ神民国~魔道具師のたまご~

魔道具講師 一日目 その2

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 魔道具というのは基本的に、『魔石』と『魔石』を砕いたものと素体を同化させた『受容体』を用いて作る、魔力を動力源に動く道具のこと。

 保温鍋や湧き水のツボなんかの道具類。
 マジックバッグや魔素集積具のような収納型。
 武具や服、装飾品のように身に着けるものも有名だ。
 最後に、使い捨てにできるお札が、イチバン身近でよく使われている。
 
 おおまかに分類するなら、この四種類が主なものだと思う。


「まず、一番よく使われている魔道具は『お札』だよね」

「うん。ウチでも保存庫を冷やすのに、『冷却』のお札はよく使ってる」


 どうやらこのお宿では、食料貯蔵庫に冷却効率の高い素材で作った前開きの箱があって、ソレをお札で冷やすことによって食材が痛む速度を抑えているらしい。

 たぶん、魔道具で同じような効果があるものを買おうとしたら結構なお値段がするんだろう。保存庫はその代替品として用意された魔道具モドキで、冷却のお札を使えば中のモノをある程度冷やしてくれる……と。
冷却のお札が、そこそこ裕福そうなお母さんにも売れる理由に納得だ。
保冷庫そのものの値段は割りとお手軽で、かわりに消耗品のお札が必要になる。修行中の魔道具師のたまごから買い取れば安上がりだし、何より必ず売れるものがあることは励みになるし……

――なかなか、上手い手を考えるね。

 
「お札は使い捨ての魔道具だから、あんがい出費がバカにならないって母さんがよくボヤいてるよ」

「だよねぇ」


 思わず苦笑してしまったのは、まっさきに作れるようになってほしいものが『冷却』のお札なんだろうと想像がついたから。


「とはいえ、お札を作るのにも下準備が必要だね。まずは――」

「魔石の加工?」


 ワクワクした顔で身を乗り出すサロ君だけど、残念ながらそうじゃない。


「まずは、筆で書くことに慣れることから」

「えええ……っ!?」

「分かるよ、分かる。わたしも、最初は同じこと思ったもの。でもねぇ……お札って、たいして大きくないのに、ビッシリ文字が書き込まれてるでしょう?」


 用意しておいたサンプル代わりのお札を目の前に置くと、ソレをじっと見つめながらサロ君は渋々頷いた。


「でも、それなら別に筆じゃなくてもいいよね?」

「石筆とか、ペンでってこと?」

「そう、そういうヤツ」


 我が意を得たりとばかりに頷いてるけど、それは無理。


「紙に石筆で書こうとしたら、破れちゃうでしょ」

「うっ」


 石の板に書くのならまだしも、紙は繊細なものだから当然だ。


「それに、ペンで慣れちゃうとお札以外のものに魔法文字を書くのが難しくなるよ」


 お札を書くだけなら、インクのランクに合わせた素材で作ったペンでも問題ない。


「あと、ペンよりも筆のほうがいろんな素材に対応できると教わりました」

「……木材とか、金属みたいな?」

「うにうに。ただ、書くのは楽だけど使えなくなるのも早いから、木材や金属には彫り物スキルがあったほうがいいみたい」


 マジックバッグみたいな布製品なら『刺繍』、家具のような木工製品なら『木材彫刻』、武具だったら『金属彫刻』か『彫金』あたりが『魔道具作成』スキルの他に必要になる。
 わたしも、刺繍スキルがもう少し上がったら、彫金スキルを覚えるつもりだ。
そしたら、にぃに・・・の作ったものを魔法武具にできるもの。


「木材ならペンで書けなくもないんだけど、紙よりも書きづらいでしょ?」

「うん。それで失敗するのは嫌だな」

「なので、わたしの先生は『筆』推しですっ」


 サロ君が納得してくれたところで、ババーン! とばかりに筆使い練習セットを取り出した。


「まずは、コレに真っ直ぐな線を引けるように頑張ろうねっ」

「マジで……?」

「大丈夫。あんがい、無心になれるから」

「安心できる材料じゃないんだけど、ソレ」


 顔をひきつらせるサロ君に、ニカッと笑って親指を立てて見せる。


「才能があれば、新しいスキルも生えてくるかもだから」


 この言葉にはなんの感銘も受けなかったみたいだけど、わたしがお札を三枚書き終わったら魔石の作り方を教えると伝えたら、やる気になったみたい。

――魔石づくりはそれほど楽しくないけどなぁ……?

 まあ、やる気になったならいっか。
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