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潜入
しおりを挟むあの衝撃の夜の翌日は、夜遅かったせいかシルビオはお昼頃まで部屋から出て来なかった。
仕事も執務室でしていたので、出かけなかった。
なので、次の日、シルビオが出かけたのを確認した後、庭に出た。
パールに見張っててもらい、壁を調べる。
手をかけるような場所もないし、鍵穴もない。
ならば下か⁉︎と下を探ると、手をかけられる場所を発見した。
「パール!見つけた!」と叫ぶとパールが駆け寄った。
「エルザ様、さすがです。誰もいません、入りましょう!」
ドキドキしながら、隠し扉を開けてみた。
すんなり開くと、2人で身体を潜り込ませ中に入った。
なるべく音が出ないよう、静かに扉を閉めた。
扉を閉めると真っ暗だが、カーテンを少し開けると、光が差し階段が見えた。
2人で階段を上がった。
2階の部分の窓のカーテンも少し開けて光を入れた。
3階まで上がると、突き当たりにドアがあった。
ノブを回すとすんなり開いた。真っ暗で何も見えない。いつもは燭台に火を入れているんだろう。
私達が入ってきた扉から微かに入る明かりで、辛うじて様子が分かるくらいだ。
中にはベッドと簡単な応接セットがあるだけ。
という事は、ここから私室に入れる扉があるはず。
シルビオの私室の明るさが壁の隙間から漏れている箇所がある。
あそこが出入り口だ。
「エルザ様、ここ嫌な匂いがしますね…。
何をしていたか、分かります…」
パールは不快そうに言った。
確かに不快だ。
「行きましょう。もう居たくないし。」
2人でカーテンを閉めながら階段を降り、出口の扉の前で固まった。
「どうやって出るのかしら?」
出る事を考えていなかったので、焦って思わず扉を思い切り押したら、出れた。
意外と大きな音でしまった扉に2人で飛び上がった。
抱き合って驚いていると、
「あーあ、見つかっちゃったか。」とジョバンニの声がした。
「やっぱりあんたは知ってたわね!」
「知られてるのを知らないのはシルビオだけ。誰でもおかしいって気付くよ、外側からは丸分かり。」
「早く教えてくれてもいいじゃない!」
「知らない方が幸せかなと思って。」
「結婚した事が既に幸せではないわよ!」
「俺はさ、お前がシルビオと結婚するとは思わなかったんだよ。なのにお前は結婚した。」
「あんなふうに大勢の前で逃げられない状況に追い詰められて、頷く以外出来ることないわよ!
そんな事言ってる場合じゃないのよ!
この部屋はいつから使ってるの、シルビオは。
ジョバンニはいつから知ってたの?」
「いつからかは知らない。俺が知ったのはシルビオが学院に入学する前。
入れてもらったから。」
「まさか…ジョバンニも使ってたって言うの⁉︎」
「使うわけないだろ!あんな換気の悪い部屋!」
「まあまあ2人とも、こんな所ではなくお部屋に行きましょう。」
パールののほほんとした話し方に熱くなった頭が少し落ち着いた。
3人で私の部屋に行き、パールではなくジョバンニが入れたお茶を飲んだ。
ジョバンニは性格は悪いが、お茶を入れるのは上手い。
「相変わらずジョバンニのお茶は美味しいわ、悔しいけど。」
「そりゃどうも。」
「・・・教えてくれたら良かったのに…」
「新婚に教えられるわけないだろ。
それに使い出したのは、そんなに前からじゃない。一応はアイツはお前に一途だからな。」
「ちっとも嬉しくはないけど。
私、一昨日見たのよ、あそこから出てくる2人。熱烈なキスしてたわよ。」
「マジか⁉︎だからあそこ行ったのか…」
「出入り口の場所はだいぶ前から知ってたわよ。あそこが隠し部屋なのも知ってた。
でも入ろうとは思ってなかった。」
「あそこは歴代の嫡男が使っていい部屋なんだとさ。ま、当主ってことだな。
大概バレないんだよ。
奥様にはな。
メイドが誘導するから、行かないように、見せないように。
でもお前んとこのパールはあれだから逆に教えると面倒だと思って言わなかったんだ。」
「あーーーなんかごめん…」
うん、確かにパールに言ったら喜んで私に報告する、そう思う。
「で、お前はどうすんの?」
「え?徹底的な証拠集めをして離婚する、決まってる。」
「だよな…現場見てんだから。分かったよ、協力する。」
「え⁉︎良いの⁉︎」
「ああ、仕方ない。お前は我慢しないだろうし、後はシルビオ次第だから。」
「画像に残せば良いんでしょ?今は便利なのがあるもの。商会にもあるでしょ、カメラってのが。なんでも遠くから来た異国の人が持ち込んだやつ。
何年もかかって量産出来たとかいう、たっかーいやつ。」
「まあ、あるけど、私物で持ってるやつなんかいないし。」
「お父様に買ってもらう。私もお金出すし、なんだったらシルビオにもらった宝石全部売る。」
「はぁ…分かった、一つ確保しておく。」
そして、ジョバンニが仲間になった。
次のターゲットはシルビオの弟、モリスを仲間に引き込んで一網打尽にしてやる。
待っていろ、シルビオ!
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