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父親はあの人?
しおりを挟むキャルティを引き連れて帰ってきた私を見たシルビオは口を開け、ジョバンニは見たこともないほど目を見開いていた。
「あ、あ、あ、」しか言えないシルビオ。
「・・・・・・」何も言えないジョバンニを無視して、応接室にキャルティさんを案内する。
「さあ、身体が冷えるのは駄目よ。使えない男達は放っておいて、先ずは座りましょう。」
キャルティさんを座らせる頃に、やっと動き出した男達が追いかけてきた。
「「エルザ!ど、どういうこと⁉︎」」
全く同時に同じ言葉を言った乳兄弟。
「説明するから座りなさいよ。それより人、少なくない?
パール、お茶入れて。」
カクカクしながらシルビオが座ると、その後ろにジョバンニが立ったので、
「ジョバンニ、長くなるし倒れるとヤバいから座った方がいいわよ。」
「え、やだ、何⁉︎こわっ!」と言い、座ったジョバンニ。
パールがお茶を出し終わって、さっきキャルティさんから聞いた話しをした。
聞いた通りに。
赤裸々に。
シルビオは顔を真っ赤にし、ジョバンニは無表情で途中まで聞いていたが、子供の父親の話し辺りになると、なんとなく私の言いたい事が分かったのか、ジョバンニが、
「やめろ!これ以上は聞かない!聞かなかった事にする!」と言い、
「お、俺は…ど、ど、どうすれば…いいの、エルザ?」
「相手は置いといて、先ず、シルビオ!
貴方はキャルティさんと付き合ってたのよね?その彼女が貴方の子供ではなくても妊娠したと相談したのに、放っておくってどういう事⁉︎
彼女はどうして良いか分からなくて、本当だったら一番相談したくない私に相談するしかなくなってしまったのよ!
懇意にしていたなら最後までちゃんと責任取りなさいよ!
そして、ジョバンニ!
貴方は何をしていたの?
貴方、この家の執事なんでしょ?
こういう問題を率先して解決しなくてどうするの!
それにキャルティさんとシルビオの噂は街中知ってる事をどうして放っているの!
もっとちゃんとしなさい!
何年執事やってんの!」
「「すみません・・・」」
「そして一番の問題はこの妊娠が本当に想像している人なら、大問題という事。
産んでみなくちゃシルビオかその人の子か分からないと言われてしまえばその人に責任を追求も出来ないどころか、事実を無かった事にしようとするかもしれないって事!
こんなの私1人が抱える話しではないから、貴方達を巻き込んだのよ、分かった?」
「キャルティ嬢、その…相手は本当に彼の方なのか?」
と恐る恐る聞くジョバンニ。
「彼の方というのが、どの方なのかは分かりませんが、私はバレたくはないです…」
「キャルティ、なんでその人と、その、なんだ、そういう事になったんだい?」
「お酒を飲んで酔ってしまって…気付いたら横にいて…2人でお酒を飲んだ事は覚えてるですが、それからの事をあまり覚えていないのです…」
「じゃあ最悪その人じゃない可能性もあるって事かい?」
シルビオはなんか他人事みたいに言ってるけど、全くシルビオの子供ではないとも言えないのを分かっているのだろうか?
「覚えていないので、可能性で言えばあるのかもしれません…けど、間違いないかなと思います…朧げながらも私の上にいるあの人を見た気がしますから…。」
「ここであーでもない、こーでもないと言っていても仕方ないと思う。
だからこれは両侯爵家で会議する案件だと思います。
私達だけではもう手には負えません。」
「やだ、父上と母上になんかこんな事言ったら離婚しろって言われる…」
「あのね、シルビオ。そもそも貴方が悪いの。キャルティさんの恋心を弄んだ罰ね。
それとも弄んだ訳ではなく本気だったの?」
「違う!いつも言ってるだろ!俺が愛しているのはエルザだけだって!」
とシルビオが言うと、
「うわあ────────ん」
とキャルティさんが号泣してしまった。
「シルビオ…酷い。なんか、私も泣きたくなってきた…こんな話し仕切ってる私ってなんだろう・・・」
泣けてきた…。
「ごめん、キャルティ!ごめん、エルザ!」
「大っ嫌い!シルビオなんか大っ嫌い!」
そう叫び、滅多に出ない涙が止まらなくなった。
「ごめん、ごめんなさい、あーもう、どうすればいいんだよ!」
「とにかく、大旦那様には報告しないと駄目だな、シルビオ。
エルザ、お前はユージンおじさんに報告しろ。」
阿鼻叫喚となった応接室は、ジョバンニが締めて終わった。
あれからキャルティさんの実家カーク男爵にしばらくヒーナス家でキャルティさんを預かる事と後日話しがある旨を連絡した。
私もキャルティさん1人には出来ないので、仕方ないけど帰ってきた。
なんだか愛人っていうのは置いといて、ちょっと可愛らしい人なのだ、キャルティさんは。
最初はパールも猫が毛を逆立てるようにフーフー警戒していたが、絆されたようで何かと面倒をみている。
そして緊急会議当日。
会場はヒーナス家の小ホール。テーブルをセットし、全員が座れるようにした。
妊婦さんもいるので、キャルティさんには椅子ではなくソファに座ってもらい、身体も冷やさないように細心の注意をはらった。
なんてったって、そのお腹にいる赤ちゃんは高貴な血が流れている可能性が高いのだから。
テーブルには少しでも空気が凍ることのないようにスイーツも軽食も用意した。
甘い物ってこういう時結構大事だ。
そして、両家、カーク男爵が揃い会議が始まった。
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