隠していない隠し部屋

jun

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嫌な再会

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エルザがサバーナ侯爵邸に戻ってからは、パールのミステリー談義を聞いたり、馬で遠乗りしたり、お母様の狩りに付き合ったりと自由を満喫していたが、なんか落ち着かなかった。
毎日聞いていたシルビオの愛の告白を、全く聞かない日がこんなに続くのは初めてだから。

例えシルビオが他の人と付き合っていた時でも会えば必ず言っていた言葉、“大好きだ”“愛してる”“結婚して”、聞こえないと落ち着かない。

洗脳されている。

これでは離婚してからも苦労しそうだ。

「私も誰か愛人を作ろうかな…」
と声が出てしまった。

「なんですと⁉︎」
反応したのはパール。
「エルザ様!愛人が欲しいのですか⁉︎」

「いやいや、冗談よ、そんな事したらシルビオと同じだもの。
ただシルビオ菌が思いの外増殖してるみたいで、離婚した後苦労するなと思っただけ。」

「シルビオ菌って・・・。とにかくエルザ様、籠っているからそんな事考えるんですよ!
買い物にでも行きましょう!
そして美味しいケーキを食べましょう!」

「パールが食べたいだけでしょ、まあいいわ、行きましょ。」

そしてパールと街に出た私達は、嫌な奴に会った。
卒業してから会ってなかった、“ファンクラブ会長”こと、シシリー・マイロン侯爵令嬢。
ん?まだ令嬢なのかしら?

「お久しぶりですね、シシリー様。」

「お久しぶりね、エルザ様。未だシルビオ様とは離婚していませんのね、あんなに嫌がっていたのに結局シルビオ様に引っ付いているなんて、図々しい人ね。」

「そんな事をまだ言っているという事は、まだシルビオを忘れられませんのね、お気の毒に。」

「なんですって!貴方なんて浮気されてるのも知らないくせに!大きな顔しないでよ!」

「浮気されて一々騒いでいたら一緒にはいられないのよ、あ、そうそう、商会に行ってごらんなさいよ、シルビオと愛人に会えるわよ。
仲間に入れてもらえばいいわ。」

「貴方はそれで良いの?私も愛人になるかもしれないわよ!」

「構わないわ、嫌なら離婚するから、好きにしなさいよ。貴方も知っての通り、結婚なんかしたくなかったんだもの。」

「フン、じゃあ好きにさせてもらうわ!」

「あ、もし愛人になれたら教えてくれる?
すぐ離婚するから。」

「貴方って、ほんっと嫌な人ね!」

「貴方ほどではないわ。」

会長は怒って行ってしまった。
お付きのメイドが頭を下げてくれたので、まあ良いかと思ったけど。
そんなにシルビオの浮気がバレているのか…鬱陶しいなぁ…。

「エルザ様、大丈夫ですか?」

「なんて事ないわ。慣れっこだもの。」

「学院生の時もこんな感じだったんですね…私がお側にいたら肩にグーパンしましたのに…。」

「パール・・・肩にグーパンはだめよ…」

なんだか帰りたくなってしまったが、せっかくだからとケーキを食べる為にカフェに向かって歩いていると、今度はもっと会いたくない人に会った。

「エルザ先輩・・・」小さな声で私を呼んだキャルティがいた。

先輩?思わず首を傾げた。

「えーと、キャルティさん、ですよね?
先輩とは?」

「あ、すみません…学院にいる時、そう呼ばせて頂いていました…。
一度助けてもらった事があったのです…。
それからはこっそりそう呼んでいました…」

「そんな事あった?覚えてないなぁ~。」

「虐められてたところを助けて頂きました…。
とてもカッコよくて憧れていました。
なのに…私…」

「あーーーっと、ここは目立つから、場所を変えましょうか?」

なんで愛人と、と思ったが、なんだかイメージと違う。
愛人なら『ちょっと!さっさとシルビオと別れてよ!』とか言われるのかと思った。
憧れてたなんて言われては無碍に出来ないではないか。
3人でカフェの奥の席に座り、適当に注文を済ませ、ケーキとお茶が並んでから、キャルティの話しを聞く事にした。

「エルザ先輩に迷惑かけているのは分かってるんです…。でも、シルビオ様と離れたくなくて・・・。
それに、ちゃんと避妊薬は飲んでるんです!シルビオ様に会う時は必ず!
でも一度…抱かれている時にエルザ先輩の名前を呼んだんです…。
それが悲しくて…つい怪しい夜会に行ってしまったんです…そこで…。
避妊薬も飲んでなかったから、多分その時に妊娠したと思うんです…。
だから、絶対シルビオ様の子供ではないです!」

「あの、キャルティさん、そんな赤裸々なお話ししなくても良いのよ、あんまり聞きたくないし。」

「もう私、どうして良いのか分からないんです…」
と号泣するキャルティ。
なんで?なんであなたが?泣きたいのはこっちなんですけど…。

「あの、落ち着いてね、あんまり大きな声も駄目よ。それでお相手は誰なの?その人に伝えたの、子供の事。」

「いいえ、言ってません、というか言えません…」

「既婚者なのかしら?でも1人では産めないわ。誰か親御さんに相談してみたらいいんじゃないかしら?」

「バレたら殺されてしまうかもしれません…誰にも言えなくて…眠れないし…悪阻も始まったし…どうしたら良いのか分からなくて…そしたらエルザ先輩を見つけて…」

「ちょっと聞いていい?どうしてバレたら殺されてしまうの?」

「それは・・・」

「キャルティさんはお相手の事を知っているのね?」

「はい…」

「その人って既婚者なの?」

「いえ、結婚はしていませんが、婚約者はいらっしゃいます…」

「じゃあ言えばなんとかしてくれるかもしれないわよ。」

「早々会える人ではないので…」

「え⁉︎ちょ、ちょっと待って!それ以上言わないで!」

「でもエルザ先輩しか頼れる人がいないんです!」

「いやいや、そもそも貴方シルビオの愛人でしょ?正妻に相談するのっておかしいと思うわよ。」

「でも!「エルザ様!ここはキャルティ嬢の話しを聞きましょう!」

「パール!あなたはただ気になってるだけでしょうが!
これは多分聞いてはいけない話しよ!」

「エルザ様!これは事件の匂いがしますよ!」

「事件じゃないから。えーと、キャルティさん、ちなみにその人って物凄く偉い人だったりする?」

「・・・・・・・・・・・」

「うーーーん、駄目だ、私だけでは駄目だ!
アイツらも引き摺り込もう!
キャルティさん、さあ、もう安心ですよ、一緒に屋敷に行って、お話ししましょう。」


そして帰る気もなかったヒーナス家に愛人を連れ帰った私をシルビオは口を開けて出迎えた。














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