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王太子襲来
しおりを挟むお父様達が宰相のブレイク公爵にキャルティさんの妊娠話をした日の翌日、お父様がキャルティさんに聞きたい事があるとやってきた。
キャルティさんは緊張して、顔色が悪い。
「エルザ先輩もいてください!」
といつの間にか“先輩”呼びが定着してしまったが、妊婦さんに無理はいけない。
「分かったわ、私も立ち会うから大丈夫よ。」
というわけで私も同席する事になった。
お父様は、
「キャルティ嬢、一つだけ確認したい事があったんだ。
宰相と話しをして、王太子の事を色々聞いたんだが、以前も君と同じような令嬢が数人いたらしい。
その時に王太子からは、
全て自分の責任だから慰謝料も払うし、今後の相談もさせてもらうが、子供を産ませる訳にはいかない為、王家にある堕胎薬を飲んでもらうという話しになったそうだ。
そしてその令嬢達はその薬を飲んで、後妻に行ったり、修道院に入ったりとなったそうだ。
身体に悪影響もない薬で、今後妊娠も可能だが、身体に負担をかける事になるのは間違いない。
それを聞いた上で聞くが、
君は子供を産み育てるという事と思っていいんだろうか?」
なんとも言えない話しだ。
どんな理由があろうと、最終的に負担が多いのは女性だ。
それに何人もいるってどういう事⁉︎
鬼畜の所業だな!
キャルティさんは俯き考えている。
しばらくそうしていて、顔を上げて話そうとした瞬間、
廊下をバタバタと走ってくる音がしたと思ったら、バタン!と音を立ててジョバンニが入ってきた。
お父様がいる事を忘れていたようだ。
「ユージン様、申し訳ございません。
突然の訪問者に動転してしまいました。
でもユージン様がいらして下さって良かった…。
クリスハート王太子殿下が来られております。」
「「はあ⁉︎」」
私とお父様が同時に声を出したその時、後ろから、
「突然、ごめんね。」
と王太子が顔を出した。
私とお父様はポカンとし、キャルティさんは震えだした。
「クリスハート王太子殿下、ユージン・サバーナが御挨拶申し上げます。」
「クリスハート王太子殿下、エルザ・ヒーナスが御挨拶申し上げます。」
「クリス、ハート王太子、殿下、キャルティ・カークが…御挨拶、申し上げます…。」
3人が挨拶を済ませると、さっさとソファに座った王太子は、
「丁寧な挨拶をどうも。さあ、みんな座って。」
自分の屋敷のように振る舞い、お茶まで要求された。
キャルティさんの顔色が悪く近くに行って、背中を摩ってあげた。
「キャルティさん、大丈夫よ、みんないるから。私が隣りにいるから心配ないわ。
身体に悪いから、落ち着いてね。」
「ありがとうございます、エルザ先輩…」
私が手を握ると少し落ち着いたようだ。
その様子を見ていた王太子は、
「その子が俺の子供を妊娠した子なんだよね?そしてヒーナス侯爵とも浮気してた子なんだよね?
なのに侯爵夫人と仲が良いの?」
お前も他人事だな、気にする所そこじゃねえよ、お前が妊娠させた子の心配しなさいよ!
「仲が良いというか、放っておけないだけです。」
「ふぅ~ん、そういうもんかなぁ~」
「で、王太子殿下はどのような件でいらっしゃったのでしょうか?」
「宰相に聞いて彼女と話しをしようかと思って来たんだ。
二人で話しをさせて欲しいんだけど、良いかな、キャルティ嬢。」
二人きりと聞き、キャルティさんは身体が震え出した。
「王太子殿下、「あ、クリスで良いよ、王太子殿下って堅苦しいからね。」
「・・・クリスハート様、キャルティさんは見ての通り体調が悪いようです。
日を改めて頂くか、私が同席させて頂くか、どちらかでお願い出来ますでしょうか。」
「こうして来られるのも次いつになるかも分からないから、今日にして欲しいんだが…。
すぐに終わらせるし、心配ならドアは閉めないで構わない。
それで妥協してはもらえないだろうか。
キャルティ嬢に決して危害を加える気はないよ。」
お父様を見ると、小さく頷いた。
キャルティさんは下を向いていて表情は分からない。
「キャルティさん、私達はすぐ近くにいるわ。心配はいらない。けど、怖いわよね、多分王太子殿下は貴方に危害を加えるような方ではないと思うのよ。
だから大きな声でお話ししなさい。勇気が出るわ。
小さな声だといざ大きな声を出そうと思うと出ないから。
腹に力を込めて話しなさい。
あ、あんまり力を入れ過ぎてもダメよ。」
私がキャルティさんにそう言った後、お父様が、
「クリスハート様、お腹の子が貴方の子と確定している訳ではない事をお忘れしませんようお願い致します。」
そう、二人きりになった途端、薬を与えられる危険性もある。
シルビオの子供の可能性もある事を伝えておけば、今すぐ何かをする事もないだろう。ナイス、お父様!
「・・・・・そうだね、キャルティ嬢の体調も悪そうだし、明後日また来るよ。
それで良いかな?」
そう言われれば頷くしかない。
私もお父様もキャルティさんも頷いた。
そして突然現れた王太子は、
「それではまた。」
と、私を何故かロックオンしたまま、笑顔で帰っていったが、目は笑っていなかった。
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