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消えたエルザ
しおりを挟むエルザが消えた。
デートの後、俺に何か贈り物をしたいと言ったエルザに、“エルザが刺繍してくれたハンカチが欲しい”と言ったら、手芸店に行くと出かけた。
夕方になってもエルザが帰ってこないと心配し始めた頃、馬車だけが帰ってきて御者が、駆け込んできた。
気を失っているパールを抱えてきた男にエルザは意識をなくされ、止めようとした御者にその男は御者を殴って気絶させ、馬車に押し込めたらしい。
気付いた時は、エルザもパールもいなくなっており、急いで帰ってきたという事だった。
ジョバンニにユージン様への連絡を頼み、すぐに手芸店に向かった。
店主は、パールが突然倒れて、狼狽えていたエルザを見かねて、たまたまいた男女二人組のお客がパールを馬車まで運んでくれたのだとか。
警備隊にすぐ行ってエルザとパールの事を話し捜索してもらった。
パールは路地に捨てられるように倒れていた。
エルザが俺の為に買ったハンカチと糸が入った袋と一緒に。
エルザはいなかった。
パールは警備隊に運ばれ治療された。
何か薬物を注射されて眠らされたようだ。
エルザ・・・・・
そこへユージン様が駆け込んできた。
「エルザは⁉︎」
俺が首を横に振ると、
「エルザは幼い時から鍛えているし、接近戦にも長けている。
死ぬ気で戦う。
誰が狙ったのかは検討つくか?」
「分かりません・・・ですが、先日街で令嬢に絡まれた事があります…。
その令嬢達がやるとは思いませんが…」
「ちなみに何処の令嬢だ。」
あの時にいた令嬢達の家名を伝えると、
「その者達であったとしたら、やったのは素人だろう。だとすると…連れ込むのは屋敷ではなく何処か目立たない場所か・・・」
警備隊に街外れや使われていない納屋や倉庫、廃墟の捜索を指示して、騎士団に連絡するよう伝令を出した。
ユージン様自身も馬で捜索に当たると出て行った。
出て行く際に、
「シルビオも心配だろうが、屋敷で待機していろ。大丈夫だ、必ずエルザは見つける。」
と言って馬で駆けていった。
俺は動けずにいた。
エルザがどうして攫われる?
また俺のせいなのか?
エルザに何かあったら・・・。
立ち尽くす俺に警備隊の騎士が、
「ユージン様が探してくれている。必ず見つかる。今はそう信じるんだ。迎えを呼んでいる、屋敷で連絡を待ちなさい。」
と俺の背中を摩ってくれてた。
俺が泣いていたからだろう。
しばらくするとジョバンニが迎えに来た。
「シルビオ・・・・」
パールはそのまま治療してもらい、俺とジョバンニは屋敷に戻った。
屋敷に戻ると、使用人達が心配して皆が寝ないで待っていた。
パールは見つかったがエルザが見つかっていないというと、あちこちで小さな悲鳴が上がり、その後は泣き出したものもいた。
ユージン様が探している事。
パールは眠っているだけで他は別状はない事を告げて、各自待機とした。
俺はジョバンニと執務室に行った。
「シルビオ、エルザは⁉︎エルザに何があった⁉︎」
今まで皆んながいたから聞けないでいたジョバンニが俺に掴みかかりながら聞いてきた。
分かった事を話すと、
「なんで・・・エルザが…」
「俺のせいなのかな…また俺のせいでエルザはこんな事になったのかな…」
「それは分からん。だがパールの放置の仕方はハッキリとした悪意がある。
エルザはかなり危ない状況ではあるだろう。
だけど、エルザは強い。
自力でなんとかする強さはある。
相手に検討がないのなら今は信じて待つしかない。」
モリスにも連絡が行ったのか、屋敷に来た。
一晩中起きて知らせを待ったが、何の連絡もない。
心配で、苦しくて、エルビオの寝顔を見に行った。
エルザ・・・
痛い思いをしているんだろうか…
怖い目にあってあるんだろうか…
もしもエルザが・・・嫌だ嫌だ、もしエルザに触れた男がいたら殺してやる。
どうして俺は戦えないんだろう…守ってあげる事も出来ない…。
浮かんでくるのは悪い事ばかり。
執務室に戻り、ひたすら連絡を待った。
頼む、お願い、お願いします、神様、エルザを助けて。
エルザを返して下さい。
お願いします、お願いします、生きてエルザを返してください。
夜が明けても連絡はなかった。
ジョバンニが軽食を持ってきてくれたが、全く食欲がない。
モリスに勧めるが、モリスも食べない。
「義姉さんも食べてないだろうし…」
とモリスが言うと、堪えていた不安が溢れた。
身体が震えた。
拳を握って耐えたが、震えは止まらない。
モリスが横に来て、俺を抱きしめた。
「兄さん、ごめん。義姉さんなら大丈夫、大丈夫だから。
あの義姉さんだよ、多分やっつけて今ボロボロだけど、疲れた~って帰ってくるよ。
大丈夫、大丈夫だから。」
と抱きしめながら、ずっと背中を摩ってくれていた。
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