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婚約者は知っていた
しおりを挟む翌日登校してすぐファラの所へ行き、放課後大事な話しがあると告げると、
「申し訳ございません、ライナス様。今日は王太子妃教育がございます。
その後でしたら時間は取れますが、構いませんか?」
「うん、大丈夫だよ。じゃあ終わったら俺の執務室に来てもらえるかな。
長くなると思うから、あまり遅くなる時は部屋を用意するから泊まっていっても構わないようにしておくからね。
父上達とは昨日話したんだが、少し混み入った話しなんだ。
ひょっとすると父上と母上からも話しがあるかもしれない。」
「まあ、何かございましたか?」
綺麗な紫の瞳が揺らいでいる。
「ファラは何も心配する必要はないよ。
でもファラにも伝えておかなければならない事があるだけなんだ。
ただファラが俺を信じてくれるかが心配かな。」
「私はいつでもライナス様を信じております。ですから何を言われても平気です。」
「ありがとう、ファラ。」
ファラの髪を手に取り、キスをするとファラの顔は真っ赤になった。
なんて可愛らしいのだろう、俺の婚約者!
「そういえばライナス様、昨日私とカリン様達で帰る時、1年生の方に声をかけられました。お名前を仰しゃらなかったので分からないのですが、ライナス様の事を話していました。
ピンク色の髪の方なのですが、ご存知ですか?」
ゲッ…もうファラにちょっかいかけたのか!
「うーん、知らないけど、そのピンクの髪の子の事で話しがあるんだよ。
ファラは絶対その子に近付いてはダメだよ。
とっても危険な子だから。
そして、これから僕はこの学園でその子に会った時、倒れるフリをするから驚かないでね。どうしてそんな事をするのかの説明も後でちゃんとするからね。」
「倒れる…のですか?」
キョトン顔のファラ…可愛い…。
「そう。卒業するまでは続くと思うけど、演技だからね。」
「わ、かりました…後で説明して下さいね。」
ファラは自分の席に戻って行った。
俺の側近達もそれぞれ婚約者に放課後、説明するようだ。
午前中の授業が終わり、俺達は食堂に向かってる途中、後ろから「キャー」と声がした。
振り返るとそこにはピンクがいた。
転んだのかフリなのか、泣きそうな顔でこちらに顔をあげようとした瞬間俺は倒れた。
「ライナス!」後ろにいたフランクが俺を支える。
「ライナス、大丈夫か⁉︎」
「早くライナスを医務室へ!」
とウィリアムとブラッドが叫ぶ。
俺はフランクの肩を借りてフラつきながら歩いて、俺に付き添うウィリアムとバラッドはピンクを置き去りにした。
曲がり角を曲がると俺達は走って食堂に向かった。
空いてる席に座り息を整えた。
「おいおい、いたぞ、こえーよ、めっちゃピンクが見てたよ…」バラッドが怯えたように呟いた。
「驚いた…いつの間に後ろにいたんだろう…ピンクが目に入った時は鳥肌が立った…」
ウィリアムが腕を摩る。
「しかし上手くいったな、貧血作戦。ライナスは抜群のタイミングだった。
顔を上げる瞬間に倒れたから顔を見ないで済んだ。」
フランクが俺を褒めた。
「危なかったな。でもどんなに嘘くさくてもこれで行くぞ。
さすがに仮病だろとは突っ込んでこないだろ。突っ込まれてもシラをきり通すがな。」
「おい、ピンクが食堂に来たぞ、どうする?」
ウィリアムが食堂の入り口にいるピンクを見つけたらしい。
「あ、ロード殿下捕まった。」
「よし、ロードには犠牲になってもらおう。今のうちに食べてさっさとここから出よう。」
俺達はランチメニューを注文しようとした時、
「兄上ーーーー!」と呼ぶロードの声が食事に響いた。
「「「「ハアーーーーー見つかった…」」」」
「兄上、助けてーーー」
チラッと見ると、ロードに話しかけているピンクがいた。
ピンクは俺達を見つけると、こちらに向かってきたので、今度はブラッドが倒れた。
「「「ブラッドーーー!」」」
俺達はブラッドを抱え、食堂を出た。
その後をロードも追ってきた。
ピンクは付いてきていない。
俺達は生徒会室に逃げ込むと、やっと一息ついた。
「お腹空いた…」とブラッド。
「俺も…」とフランク。
「でもあの食堂に行く勇気はない…」
「「「「確かに…」」」」
その後ロードも加わり、お腹をぐう~ぐう~鳴らしていると、トントンと誰かがノックしている。
俺達は固まった。
「私です、リファラです。」
俺は驚いてソファから急いでドアまで行き、ドアを開けた。
「ライナス様、ブラッド様の体調は大丈夫ですか?
皆さん、食事を取られていないようでしたから、サンドイッチを作ってもらい持って参りました。」
「ファラーーありがとう!」
俺はファラを抱きしめると中に入れた。
「どうしてここにいると分かったの?」
「ライナス様達が走っていた方向は生徒会室でしたから。」
「さすがファラ!」
俺達は救世主が持ってきてくれたサンドイッチを食べ、ファラの淹れてくれたお茶を飲んでようやく落ち着けた。
「兄上、酷いです!気付いていたのに俺を犠牲にして食事を優先しましたね!」
ロードが怒り出した。
「いや、魔道具付けてるから大丈夫かなって思ったんだよ、済まなかった。」
と言えば、
「俺の側近達は付けてないでしょ⁉︎ヤバいんだから!
兄上達は全員付けてるんだから助けてくれてもいいでしょ!
でも、どうしてブラッドは倒れたの?」
「それはな・・・・」
ふとファラを見た。
「ファラ…何を言ってるのか分からないよな、ロード、その話しは後だ。」
「ライナス様・・すみません・・・私…知ってます…あの方なんですよね、ヒロイン。」
「「「「「ハア⁉︎」」」」」
5人の声が重なった。
ファラがまさか知ってるなんて想像もしていなかった俺達は驚いてファラを見つめた。
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