偽装貧血王太子はヒロインからとことん逃げる

jun

文字の大きさ
6 / 28

婚約者は知っていた

しおりを挟む



翌日登校してすぐファラの所へ行き、放課後大事な話しがあると告げると、

「申し訳ございません、ライナス様。今日は王太子妃教育がございます。
その後でしたら時間は取れますが、構いませんか?」

「うん、大丈夫だよ。じゃあ終わったら俺の執務室に来てもらえるかな。
長くなると思うから、あまり遅くなる時は部屋を用意するから泊まっていっても構わないようにしておくからね。
父上達とは昨日話したんだが、少し混み入った話しなんだ。
ひょっとすると父上と母上からも話しがあるかもしれない。」

「まあ、何かございましたか?」
綺麗な紫の瞳が揺らいでいる。

「ファラは何も心配する必要はないよ。
でもファラにも伝えておかなければならない事があるだけなんだ。
ただファラが俺を信じてくれるかが心配かな。」

「私はいつでもライナス様を信じております。ですから何を言われても平気です。」

「ありがとう、ファラ。」

ファラの髪を手に取り、キスをするとファラの顔は真っ赤になった。

なんて可愛らしいのだろう、俺の婚約者!

「そういえばライナス様、昨日私とカリン様達で帰る時、1年生の方に声をかけられました。お名前を仰しゃらなかったので分からないのですが、ライナス様の事を話していました。
ピンク色の髪の方なのですが、ご存知ですか?」

ゲッ…もうファラにちょっかいかけたのか!

「うーん、知らないけど、そのピンクの髪の子の事で話しがあるんだよ。
ファラは絶対その子に近付いてはダメだよ。
とっても危険な子だから。
そして、これから僕はこの学園でその子に会った時、倒れるフリをするから驚かないでね。どうしてそんな事をするのかの説明も後でちゃんとするからね。」

「倒れる…のですか?」
キョトン顔のファラ…可愛い…。

「そう。卒業するまでは続くと思うけど、演技だからね。」

「わ、かりました…後で説明して下さいね。」

ファラは自分の席に戻って行った。

俺の側近達もそれぞれ婚約者に放課後、説明するようだ。


午前中の授業が終わり、俺達は食堂に向かってる途中、後ろから「キャー」と声がした。

振り返るとそこにはピンクがいた。
転んだのかフリなのか、泣きそうな顔でこちらに顔をあげようとした瞬間俺は倒れた。

「ライナス!」後ろにいたフランクが俺を支える。
「ライナス、大丈夫か⁉︎」
「早くライナスを医務室へ!」
とウィリアムとブラッドが叫ぶ。

俺はフランクの肩を借りてフラつきながら歩いて、俺に付き添うウィリアムとバラッドはピンクを置き去りにした。

曲がり角を曲がると俺達は走って食堂に向かった。

空いてる席に座り息を整えた。

「おいおい、いたぞ、こえーよ、めっちゃピンクが見てたよ…」バラッドが怯えたように呟いた。

「驚いた…いつの間に後ろにいたんだろう…ピンクが目に入った時は鳥肌が立った…」
ウィリアムが腕を摩る。

「しかし上手くいったな、貧血作戦。ライナスは抜群のタイミングだった。
顔を上げる瞬間に倒れたから顔を見ないで済んだ。」
フランクが俺を褒めた。

「危なかったな。でもどんなに嘘くさくてもこれで行くぞ。
さすがに仮病だろとは突っ込んでこないだろ。突っ込まれてもシラをきり通すがな。」

「おい、ピンクが食堂に来たぞ、どうする?」
ウィリアムが食堂の入り口にいるピンクを見つけたらしい。

「あ、ロード殿下捕まった。」

「よし、ロードには犠牲になってもらおう。今のうちに食べてさっさとここから出よう。」

俺達はランチメニューを注文しようとした時、

「兄上ーーーー!」と呼ぶロードの声が食事に響いた。

「「「「ハアーーーーー見つかった…」」」」

「兄上、助けてーーー」

チラッと見ると、ロードに話しかけているピンクがいた。
ピンクは俺達を見つけると、こちらに向かってきたので、今度はブラッドが倒れた。

「「「ブラッドーーー!」」」

俺達はブラッドを抱え、食堂を出た。
その後をロードも追ってきた。

ピンクは付いてきていない。

俺達は生徒会室に逃げ込むと、やっと一息ついた。

「お腹空いた…」とブラッド。

「俺も…」とフランク。

「でもあの食堂に行く勇気はない…」

「「「「確かに…」」」」

その後ロードも加わり、お腹をぐう~ぐう~鳴らしていると、トントンと誰かがノックしている。

俺達は固まった。

「私です、リファラです。」

俺は驚いてソファから急いでドアまで行き、ドアを開けた。

「ライナス様、ブラッド様の体調は大丈夫ですか?
皆さん、食事を取られていないようでしたから、サンドイッチを作ってもらい持って参りました。」

「ファラーーありがとう!」

俺はファラを抱きしめると中に入れた。

「どうしてここにいると分かったの?」

「ライナス様達が走っていた方向は生徒会室でしたから。」

「さすがファラ!」

俺達は救世主が持ってきてくれたサンドイッチを食べ、ファラの淹れてくれたお茶を飲んでようやく落ち着けた。


「兄上、酷いです!気付いていたのに俺を犠牲にして食事を優先しましたね!」
ロードが怒り出した。

「いや、魔道具付けてるから大丈夫かなって思ったんだよ、済まなかった。」
と言えば、

「俺の側近達は付けてないでしょ⁉︎ヤバいんだから!
兄上達は全員付けてるんだから助けてくれてもいいでしょ!
でも、どうしてブラッドは倒れたの?」


「それはな・・・・」

ふとファラを見た。

「ファラ…何を言ってるのか分からないよな、ロード、その話しは後だ。」

「ライナス様・・すみません・・・私…知ってます…あの方なんですよね、。」


「「「「「ハア⁉︎」」」」」

5人の声が重なった。

ファラがまさか知ってるなんて想像もしていなかった俺達は驚いてファラを見つめた。
















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

転生者と忘れられた約束

悠十
恋愛
 シュゼットは前世の記憶を持って生まれた転生者である。  シュゼットは前世の最後の瞬間に、幼馴染の少年と約束した。 「もし来世があるのなら、お嫁さんにしてね……」  そして、その記憶を持ってシュゼットは転生した。  しかし、約束した筈の少年には、既に恋人が居て……。

婚約者の幼馴染?それが何か?

仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた 「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」 目の前にいる私の事はガン無視である 「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」 リカルドにそう言われたマリサは 「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」 ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・ 「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」 「そんな!リカルド酷い!」 マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している  この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」 「まってくれタバサ!誤解なんだ」 リカルドを置いて、タバサは席を立った

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

別れたいようなので、別れることにします

天宮有
恋愛
伯爵令嬢のアリザは、両親が優秀な魔法使いという理由でルグド王子の婚約者になる。 魔法学園の入学前、ルグド王子は自分より優秀なアリザが嫌で「力を抑えろ」と命令していた。 命令のせいでアリザの成績は悪く、ルグドはクラスメイトに「アリザと別れたい」と何度も話している。 王子が婚約者でも別れてしまった方がいいと、アリザは考えるようになっていた。

【完結】聖女の私を処刑できると思いました?ふふ、残念でした♪

鈴菜
恋愛
あらゆる傷と病を癒やし、呪いを祓う能力を持つリュミエラは聖女として崇められ、来年の春には第一王子と結婚する筈だった。 「偽聖女リュミエラ、お前を処刑する!」 だが、そんな未来は突然崩壊する。王子が真実の愛に目覚め、リュミエラは聖女の力を失い、代わりに妹が真の聖女として現れたのだ。 濡れ衣を着せられ、あれよあれよと処刑台に立たされたリュミエラは絶対絶命かに思われたが… 「残念でした♪処刑なんてされてあげません。」

攻略対象の王子様は放置されました

蛇娥リコ
恋愛
……前回と違う。 お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。 今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。 小説家になろうにも投稿してます。

処理中です...