私は貴方から逃げたかっただけ

jun

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執拗に

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「ハッ…ハッ…ハッ…」

「どしたん、麻美、誰からやったん?」

私が落としたスマホをすぐ拾い、開きっぱなしのメールを見た瑞希は、

「麻美、ゆっくり呼吸して!深呼吸して!吸ってー、吐いてー、麻美、聞いて!吸ってー、吐いてー、吸ってー、吐いてー」

瑞希の声で何とか息を整えた。

「大丈夫?」

「…うん」

「コイツなんなん?何台携帯持ってるん?しつっこいわ!
麻美、これは証拠になるから消さないで置いておこう。でも、コイツ返信するまで送ってきそうだから、着拒しとくね。後で携帯買い換えよう。」

「…うん」

「麻美、顔色悪いよ、吐きそうやったら吐いてきた方が楽だよ。」




トイレに行き、せっかく食べたうどんを全て吐き出し、吐くものがなくなってもトイレから出れなかった。

どうしてここまでやるんだろう…
そんなに雅彦の事が好きだったんだろうか…
だったら二人で勝手に話し合えばいい!
私はもう関係ない。
なのにどうしてここまで執拗に私に絡んでくるんだろう。
着拒された事に怒っているから?
そんな理由でやり続けるだろうか…

そしてこんな事をしている人と浮気していた雅彦の事を本当に嫌悪した。
気持ち悪い…。
あんな人を抱いたんだ…何度も…それも避妊具も付けずに…

ウッ…ウッ・・・ウッ…ウッ・・ウッ…

気持ち悪い、気持ち悪い、そして悔しい…


「麻美…大丈夫?開けて良い?麻美?」

「み…き・・もう・・いやだ…たす…けて…」

「麻美、開けるよ」

鍵は閉めていなかったので、瑞希がトイレのドアを開けて、私を何とか立たせ、リビングのソファまで肩を抱き、連れて行ってくれた。

「これで顔拭いて。口濯ぐ?スッキリするんちゃう?」

力が入らない私の世話を瑞希が甲斐甲斐しくしてくれてるのに、身体も頭も動かなかった。

「麻美、朝早いし、少し休み。」

そう言って、また肩を抱き、ベッドに連れて行ってくれた。

「少し眠って、起きたら携帯買いに行こう。」

私はそのまま目を閉じて眠った。







*************************

瑞希視点



「おばちゃん、瑞希です、お久しぶりです。はい、いえ、こっちは大丈夫です。はい、はい、麻美は寝てます。はい、はい、大丈夫っていうか…また、例の女からメールがさっき来て、麻美が過呼吸を起こしてしまいました。すぐ落ち着いたので大丈夫でしたが、かなり憔悴してます。しばらくこっちに泊まらせますから、心配しないで下さい。
そして、携帯も新しいのに変えさせますから。はい、はい・・・はい、私が付いていきます。
おばちゃんとこも気いつけとった方がええかも。警察にも言っといた方が良いと思う。
はい、はい、じゃ、失礼します。」


麻美の家に電話して、おばちゃんにしばらく泊まると連絡したが、物凄く心配していた。

心配もするだろう、あんなに窶れた娘を見れば。
ファミレスに迎えに行って、驚いた。
GWにこっちに来た時は、幸せそうで、彼氏とも結婚するからと嬉しそうに報告してくれたのに、目の前の親友は、今にも泣きそうになっている。


麻美は子供の頃から可愛くて、男子は可愛い麻美を構いたくて、よく絡んでいた。
それをいつも蹴散らしていたのが私だ。
私は、空手や剣道を習っていたのと、髪を短くしていたせいか、女子にやたらと人気があったが、人と連むのが嫌で逃げ回っていたが、逃げ込む先々に麻美がいた。
虐められていたわけではないが、麻美は一人でいる事が多かった。
だから、一人になれそうな所で出会でくわした。
それから二人組になる時はいつも一緒で、気付けばずっと一緒にいた。
高校まで一緒で、東京の大学に進学した麻美とは年に数回しか会えなくなったが、マメに連絡していた。

そんな大事な親友が、急に荷物を預かってくれと連絡してきた。電話の声もいつもと違って聞こえた。
何かあったのか?
だから迎えに行った。

そして麻美から聞いた話しは、聞いた事もないほど、酷い話しだった。
そして、麻美も妊娠していた。
このタイミングで…。


キレた。我慢できなかった。こんな酷い扱いをされれば窶れるのも納得だ。
どうしてくれよう、その女と男を。
特に執拗に麻美を攻撃してくる女を。

こういった女は満足する事がない。
相手を完膚なきまでに倒さないと納得できない人種だ。
まだまだやめないだろう、このクソ女は。

だから、誰にもバレない所に麻美を隠す。
麻美が安心して暮らせるように、環境を整えた後、




あたしがその女を完膚なきまでに叩き潰す。














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