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何がなんだか分からない
しおりを挟む衝撃だった。
こんな事小説の中だけの話しだと思ってた。
これに殺人事件が加わったら2時間のサスペンスドラマの出来上がりだ。
「その話しが本当かなんて私には分からないし、もうあの人には一切関わりたくない…。あの人異常だもの…。
私に赤ちゃんのエコー写真送ってきたのよ。
着信拒否しても別の携帯で私に連絡取ってくるような人なんて本当に殺人でも犯しそうで怖いよ…。」
「うん、お母さんもそう思う。アレは異常者やと思うよ。
雅彦くんの話しもマルっと信じたわけじゃない。
でも、もし、話しが本当で、一人であの異常者と対峙してるのなら、一回だけでも助けてあげても良いかなと、お母さんは思う。」
「・・・・・・・・」
「急にこんな事聞かされても、どうして良いか分からんよね。
ま、お母さんしばらくいるから、今はゆっくり麻美の身体を休めようね。
週末お父さんと陸も来るし、そん時にでもみんなで考えよ。」
「うん…」
「ほらほら、元気出して!
それにしても、ここはええとこやね~買い物も便利そうやし、お母さん、掃除したらその辺ウロウロしてくるわ。麻美も行く?」
「今日はいいかな…少し横になってるよ…」
「…そっか。じゃあ、ほれほれ、休んで休んで。」
お母さんはあえて明るく言ってくれてる。
あの話しを一人で聞いていたら、何が何だか分からなくてパニックになっていたと思う。
「うん。お母さん、ありがとう。お母さんがいてくれて良かった。」
「そうでしょう~なら安心して休みなさい。」
言われた通り、自分の部屋に戻り、ベッドに横になった。
でも、やっぱりさっき聞いた話を思い出してしまう。
あの話しは本当なんだろうか…。
雅彦もあの人の被害者なんだろうか…。
二人で辻褄を合わせているのではないだろうか…。
でも、態々私と雅彦を元のサヤに戻そうとするのはおかしな話しだ。
そのまま二人がくっついた方が面倒ではない。
それにあの人があんなに私を攻撃してくるのは、私の雅彦への気持ちを失くさせるためのものだと思う。
なら、雅彦の話しが本当ということだ。
でも、雅彦が覚えていないだけで、本当は関係を持っていたとしたら…お腹の子は雅彦の子供…。
もし、別の人とも付き合っていたとしたら、雅彦の子とも言い切れないのではないだろうか。
あーーー誰かに相談したい。
あ、瑞希!
瑞希にメッセージを送った。
すぐに電話がかかってきた。
「麻美!ちょっと急展開でビックリなんやけど!ちょっとその録音、私にも聞かせて。録音するから。」
電話越しに雅彦と母の会話を聞かせた。
聞き終わった瑞希が、
「おばちゃん名推理やわ。私もそれが正解やと思う。全部は信じてないけど、おかしいと思っててん。
麻美、あの写真私に送ってくれへん。
見たくないと思うけど、あの女が送ってきたエコー写真。」
「え?エコー・・写真?」
「うん。日付入ってたかなと思って。
麻美が見たくなかったらおばちゃんにやってもらってもいいから、私に送って。
ひょっとしたら重要な証拠になるから。」
「どういう事か教えてくれる?」
「アレが最近のものなら、あの大きさの胎児が今何ヶ月か分かると思う、ま、大体だろうけど。それでも数ヶ月違うならハッキリ分かると思うよ。だから調べてみる。」
「なるほど。胎児の大きさ…気付かなかった。雅彦の話が本当なら妊娠4か月、それ以上の大きさなら雅彦の子供じゃない可能性があるって事ね。」
「そういう事。でも麻美は無理せんといてね、しんどかったらおばちゃんにお願いしてね、また倒れたら大変やから。」
「ありがとう、大丈夫。雅彦のあかちゃんじゃないかもと思ったら、見れそう。
後で送るよ。」
「うん、よろしく。」
「瑞希、ありがとう。なんかわけわかんなくて、誰かに話し聞いて欲しかった。
本当にありがとう。」
「いつでも聞くから遠慮すんな、じゃあね、麻美。」
と言って電話は切れた。
すぐに隠していた前のスマホを取り出した。
もう充電もないため充電をした。
充電が貯まるまで、瑞希との会話を思い出し、あの恐ろしくて二度と見ないと思っていたエコー写真の事を考えた。
自分のスマホで“胎児の大きさ”の画像を調べた。
チラッとしか見なかったので大きさなんて覚えていない。
子供の発育速度もそれぞれだろう。
本当に分かるのだろうか…
雅彦の子じゃなかったら、私はまた雅彦と付き合えるだろうか…。
でも嵌められてこんな状況になったのなら、雅彦とはちゃんと会って話しをしなけれはならないと思う。
お腹の子は間違いなく雅彦の子だ。
でもこんな事になってる状態で妊娠していると言ったら信じてくれないかもしれない…。
あ~ダメだ…悪い方にしか考えられない…
その時、先生からのメッセージが来た。
開くと、
“体調はどうですか?今日はとっても天気が良くて気持ちが良いですね。
そんな天気だからか、ウチのベランダに私をジッと見つめる客人がいました。”
画像を開いてみると、爆笑してしまった。
画像には、ベランダの柵に停まってカメラを見つめるカラスが写っていた。
こんな事ある?と思い、笑いが止まらなかった。この時の先生を想像したらおかしくてたまらない。
多分、固まったまま見つめ合っていただろう。
落ち着いた後、返信した。
“おはようございます。見つめ合った先生とカラスの姿を想像し、大爆笑しました。
先生は鳥に好かれているんですね(笑”
その後数回のやり取りをして、終わった。
いやあ、先生は本当に凄い、こんなに大笑いしたのは久しぶりだ。
いつの間にか母も帰ってきていて、エコー写真の事を話した。
「そんな写真送ってきてたん、あの女⁉︎」
と激怒していたが、
「麻美はまだ知らないだろうけど、エコー写真にはそれはそれは詳しい情報がたくさん載ってるだよ。
充電で出来たら、見方教えてあげる…って、麻美、エコー写真、自分が貰ったエコー写真持ってきて、早く!」
「え、え、何?」
「良いから早く持ってきて!見方を教えてあげるから!」
急いで病院でもらった私の赤ちゃんのエコー写真を母に渡した。
「ほらほら見てみ。ここんとこ、アルファベットと数字書いてあるでしょ?この部分、11w5dって書いてあるでしょ?これ、11週5日目って事。だから送ってきた写真にそれが書いてあったら、いつ妊娠したかが分かるって事。」
「これそういう意味だったんだ…知らなかった…」
「多分あの女そんな事知らないと思う。だから油断して写ってると思う。」
そして、充電し終わったスマホの電源を入れて、画像を見た…
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