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エコー写真の矛盾
しおりを挟む母と見たあのエコー写真には、
“22w3d”
私の写真を見る。
私のは“11w5d”、妊娠したのは7月だ。
雅彦が嘘を付いていないのなら、あのエコー写真が最近のものだったとしても、22週なんてあり得ない。
「あの女は何ヶ月だって言ってるんやろ…」
「私はそこまでは聞いてない。雅彦はどう聞いてるんやろ…」
「ちょっと聞いてみよ。」
そう言うと母は自分のスマホ取り出し、チャチャっと打ち込み送信していた。
「え?お母さん、雅彦と連絡取り合ってるの?」
「まあね。だって麻美のお腹の子は雅彦くんの子やもん。何かあった時は知ってた方がいいし。教える教えないは麻美が決めればいい事だから、お母さんは言わないよ。」
「うん…そやね…」
「とにかくあの女はやっぱり腐れ外道って事やったって話し。
後はこっちが反撃のターンの番。
お母さんもお父さんも付いてるから大丈夫。なんにも心配ないからね。」
「うん。なんか力が抜けちゃって…」
「あらら、とりあえずそこに座ってなさい。温かい物でも飲んでゆっくりしよか。」
お母さんは台所に行って、薄めのお茶をいれて持ってきてくれた。
「とにかく、何が嘘で、どうしてこうなったのか、調べていこう。なんなら探偵雇う!」
「探偵…」
「とにかく、ちょっとはホッとしたんちゃう、雅彦くんに対して。」
「まあね…でもこうなって、騙されたからって今までのように一緒にいられるかなぁ…まだ分かんないけど。
そもそも私が逃げちゃったのが悪いんだけど…。」
「いやいや、違うよ。逃げて正解だったと思うよ。
多分そのまま東京にいたらあの女、絶対麻美を追い詰めてたと思う。
雅彦くんに説明させないように手を回してたと思う。
だから大阪に来るのが正解だったんだよ。」
「そうかな…。でも、そう言われたら少し楽になった。」
「うんうん、そういえばさっきお母さん帰ってきた時大笑いしてなかった?どうしたん?」
「あ~産婦人科の私の担当の先生が写真を送ってきてくれて、それ見て笑ってた。」
「先生が?写真を?」
「そう、とっても良い先生なんだよ。」
そしてどうしてメッセージのやり取りが始まったのかを説明した。
「優しい先生なんやね…麻美に頼れる人がいなかったのを最初から気付いてたのかもね。うわあ、イケメンで優しいお医者さん…素敵!」
「お母さん…お父さんにチクっちゃうよ。」
「でもどうする?こっちで産むの?大阪帰る?」
「あの人事が片付かない限り大阪には帰りたくないかな。それからどうするか考える。
雅彦には会わなきゃならないんだろうけど…こっちでは会いたくないし…。」
「どうせ、週末になる度大阪来るんやから、そん時にでも電話で喋ったらええんちゃう?会わなくても話し出来れば雅彦くんも落ち着くと思うし。でも、急に大阪に行かなくなったらアレが何か疑うかもしれないなぁ…さて、どうするか…。」
「なんかお母さんって…ドラマとかの主婦探偵みたいだね、知らなかった。」
「ふふん、お母さん推理もの好きやから!」
その時、瑞希からメッセージが来た。
あ、画像送るの忘れてた。
瑞希にエコー写真に妊娠22週と写っていた事、雅彦の子供じゃない可能性が高い事を先に送ってから、画像を送った。
すぐ戻ってきたメッセージには、
“おお~凄い証拠やん。こっからはあの女の嘘をバンバン暴いていったるわ!”
と帰ってきた。
お母さんと瑞希はの勢いに、全くついていけないが、強い味方がいてくれて頼もしい。
週末、お父さんと陸、そして・・・
雅彦もいた。
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