私は貴方から逃げたかっただけ

jun

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タイミングの悪いメッセージ

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父達を迎えようと玄関を開けると、父、陸、
そして雅彦が私を泣きそうな顔で見つめて立っていた。

母は父から連絡が来ていたのか、何のリアクションもなく、

「おつかれ~さあ上がって上がって!瑞希ちゃんにはちゃんと許可取ってるから。
ほらほら、そこのストーカーも入り!」

「・・・失礼します」

ゾロゾロとリビングに行く途中、最後尾にいた雅彦が、

「麻美…」

と小さな声で私を呼んだ。

肩がビクッとなったが、前ほどの恐怖はない。

「・・・久しぶり…」

「麻美…ごめんな、いろいろ…」

その後の言葉は母の大声で、途中でぶった斬られた。

「そこ!そこの二人!暗ーーい顔で立ってない!」

と呼ばれ、二人でリビングのソファに離れて座った。

「お父さん、運転お疲れ様。何か食べる?少し仮眠する?」

「疲れた!少し寝ようかな~~」
と欠伸しながらお母さんに連れられ、いつの間に掃除したのか、空いてる部屋に連れて行った。多分お母さんが使っている部屋だろう。

残された三人は、元々無口な弟、微妙な関係の私と雅彦。

誰も喋らず、黙っていると、

「麻美…急に押しかけてごめん。」

「ビックリしたよ…。まさかお父さん達と来るとは思わなかったし…。」

「俺も連れて行ってもらえるとは思ってなかったから、驚いたけど麻美に会えて良かった…あのまま誤解されたまま、会えないのかと思った…」

「ごめん…でも、全部信じたわけではなくて…。なんか急展開過ぎて考えが纏まらない…。聞きたい事もたくさんあるし…。」

「俺も話したい事がたくさんある。もう俺も何がなんだか分からないうちに、結婚もなかった事になってるし、ウチの親も、俺が説明する前にあの人が来て、子供が出来たと言われたとか言うし…。
何処から訂正していいのか、もう訳わからなくなってた…」

「そう…なんだ…」

「ちょっと待って、俺、なんか気まずいんで、そういう話しは二人でするか、おかんとおとんがいる時に話して。」

「そやね、ごめん、陸。陸も忙しいのにごめん…」

「俺が一番冷静なんで、いざって時に動けるし、色々役に立つかなと思っただけ。」

「うん、ありがとう。」

「陸くん、ありがとう」

「いやいや、まだ雅彦くんの事、信用してないんで。でも、話しくらいは聞いても良いかなって思ったから付いてきただけだし。」

「それでも、ありがとう。あの日、歯医者の前で会った時は、有無を言わさずって感じだったからね。」

「まあね、よく殴らなかったなって思う、俺って凄ない?」


三人でそんな話しをしていた時に、母が戻ってきた。

「さて、何か食べよか?サッパリ?ガッツリ?」

「俺はサッパリ!」

「僕はなんでも…」

「私もサッパリで。」

「よし、任せろ!」

とキッチンに消えた母は、チャッちゃっとうどんを茹で、ほうれん草、かまぼこ、お揚げさん、卵をのせたかけうどんを作ってくれた。

四人で食べ、片付けた時、私のスマホがなった。

先生からだった。

音が鳴ったので、全員が私のスマホを見ていたので、表示された名前とメッセージを見て、
母は、“あ、先生ね”、
陸は、“誰?”
雅彦は、“先生?誰?”

という顔をした後、私を見た。


母は知っているし、陸にも説明はできるが、雅彦に説明するのは難しい…。
だって妊娠している事を雅彦は知らないのだから。


悩んでいると、

「麻美、名取先生って誰?具合どうって、何処か悪いの?」







これは・・・どうするか…















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