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指輪
しおりを挟む俺達は妃殿下の部屋に向かった。
「ハア~嫌だ…行きたくない…俺、吐くかもしれない…」
とイヴァン様はブツブツ言っている。
「今日で終わりにするのです。頑張って下さい、イヴァン様。」
ハアーと大きなため息は妃殿下の部屋に着くまで何度も繰り返していた。
ドアの前で一度大きく息をはいたイヴァン様が、
「リンカ、私だ。」
と言うとスーザンがドアを開けてくれた。
妃殿下はパタパタと駆け寄り、イヴァン様に抱きついた。
「待っていたのですよ、イヴァン様。
ちっとも来てくれないから寂しくてたまりませんでした。」
目をウルウルとさせてイヴァン様を見つめている妃殿下。
イヴァン様の指輪を見ると、みるみる魔石は赤くなっていった。
「済まなかったね、リンカ。お詫びにお揃いの指輪を買ったんだよ、嵌めてあげるからね。」
「まあ!お揃いですの!」
と大喜びの妃殿下の指にイヴァン様が指輪を嵌めた。
「ファビオ!パウロ!」とイヴァン様が言うのと同時に俺達は妃殿下を拘束した。
「な、なんですの!ファビオ!パウロ!
イヴァン様、これは一体どういう事なんですの⁉︎」
「リンカ、お前を拘束する。
お前は“魅了”の力で我ら王家だけでなく王宮の多くの者を操ってきた事が証明された。
今までよくも好き勝手やりたい放題やってくれたな。
国王、王妃たる父上、母上まで籠絡した事、国家転覆にあたる。
処罰が下るまで地下牢に入ってろ!
お前に触られるだけで吐き気が出るわ!
連れて行け!」
一緒に連れて来ていたウルーシとロレンにイヴァン様の護衛を頼み、俺とパウロは妃殿下を地下牢に連れて行った。
途中あーだこーだ言っていたが一切無視し、
地下牢にぶち込んだ。
「待ってファビオ!これは何かの間違いよ!
私は何もしていないわ!
魅了なんて知らないの、本当よ!
ファビオ、だって貴方は私の事をなんとも思っていないのでしょう?
だったら魅了なんて力が私にあるわけないじゃないの!」
「貴方の指輪を見たら分かる。石が真っ赤だ。さっき指に嵌めた時は白かったのに。」
「え…石?」
自分の指を見て赤くなった石を凝視する。
「この指輪何なのよ!こんなもの外して捨ててしまえばいいのよ!ほら!・・・・・あら⁉︎」
指輪を外そうとするが嵌めた時よりも食い込んだのだろう、全く外れない。
「何よ、これ⁉︎」
「その指輪は魅了を使えば使うほど指に食い込む。あまりそのお力を使うと指が千切れるかと。」
「いや⁉︎ファビオ外してお願い!」
「嫌です。」
「ファビオお願い、私は何も知らなかったの…私は何もしてないわ…お願い…ファビオ…」
俺の顔を見ながらポロポロと泣く妃殿下。
気持ち悪い・・・。
「ほら、石の色が濃くなった。千切れますよ。それに貴方は私の妻を殺そうとした。
私は絶対に許さない。」
妃殿下は指が千切れると思い、一瞬ヒィっと顔色を悪くしたが、
「私は何もしてないわ!ずっとここにいたもの!」
「貴方の子飼いがやったのでしょうよ。それもすぐに分かります。
まあ、魅了を使い、それがバレた時点で貴方は死罪は免れないが。」
「死罪⁉︎私は何もやってない!周りが勝手にやっただけよ!」
「詳しい尋問は後ほど。それでは。」
俺とパウロは後ろでまだ叫んでいる妃殿下をガン無視して陛下達の元へ向かった。
途中パウロが、
「ハア~これでやっと息がつけますね、ファビオ隊長!」
「そうだな。だが俺がもっと早くに気付けていたら、こんな事にはならなかったんだろうな、情けない。」
「いや、半数以上が魅了されていた中では影響されない隊長や俺の方がおかしいのかなと思いますよ。
俺はあの人が最初から嫌いだったし、早いうちにローラ様にハンカチ貰ってましたしね。
それより、あの人に会いに来たオルドニ家の男、アイツは早く捕まえた方がいいと思います。
かなり妃殿下に心酔している様子でしたから。」
「どんな男だ?」
「黒髪で目の色はグレー、中肉中背、名前は…確か“ジョージ”と呼ばれていました。
やたら距離が近い感じでしたよ。
男は妃殿下を熱い眼差しで見てましたよ。」
「ジョージ・・・」
きっと今まで妃殿下の願いを忠実に叶えてきている男なのだろう。
早く拘束しないと危険かもしれない。
何か嫌な予感をさせる存在な気がした。
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