The Cross Bond Side Story

夜桜一献

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The Cross Bond Side Story Ⅰ

第八話

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 自衛隊とSATは一先ず、舞鶴駐屯地で待機する事になった。全員ヘリで移動して、車両等は現地の舞鶴で拝借する。舞鶴の自衛官にも協力を打診したい所ではあるがまだ、妖怪や魔術師に対処する部門は九条駐屯地にしかなく、その知識や技術を叩きこまれている訳ではない為場所の確保と物資の搬入や補給等をお願いしている。向こうにしてみれば、一体何故SATと自衛隊が一同に介しているのか興味津々であろう事は予想出来るものの合同訓練の一環として報じている。しかしながら、気づく人は気づいているだろう。何せ実弾を所持しているのだから。舞鶴駐屯地から隣の町にある有名な砂州の近くの裏に山々があり、その一角の海側に研究所がある。一同は舞鶴駐屯地からその山の反対に陣取り、待機する事となった。早朝から、ずっと待機と移動を繰り返しており、兵に若干の疲労も見えるが、ここからが本番である。皆気を引き締めていると海側から覆面を被った一団が揚陸してきているとの情報が入り更にヘリで屋上に取り付き、そこから強襲を掛けてきているとの情報が入った。自衛隊とSATも慌てて研究所へ足を向かわせた。


 ナノマシン研究所。ここは小さな自動セルと呼ばれる電子機械を創造し、研究している場所であるが、本日は魔術師の技術の粋を集めた自動式人形をここで受け取る事になっていた。魔術師の世界へは基本的にこの世界の人間が行く事は出来ない様になっている。往来出来るのは元住人のみである。よって研究所の職員の中でも元住人はレド・ガードナー博士とシュメイル博士の二人のみ。レドが幾重にも施した魔術の術式を広げて、門を開く。扉から出てきたのは、紳士服を着た兎であった。お辞儀をして、皆に一礼して指を鳴らすと2体の自動式人形が2体立っていた。研究所の職員は全員息を呑んで驚いた。この2体を解析出来れば良いが、魔術師の技術は基本解析不可能で謎に満ちている。現代の科学では到底理解不能な元素、公式、物質、現象に溢れていて早い話が理解不能なのである。従ってレドとシュメイル以外には扱えない。

「では、ご注文の品はこれで宜しいですかな?後で主人に振り込んで貰えます様に」

「存じております。受け取りの署名はここに」

「では、今後も宜しくお願い致します」

紳士な兎はまた一礼して門と共に消え去った。2体の自動式人形を歓待していたが、一同騒然として窓を見た。ヘリが現れ、機関銃を放ってその場に居た研究所の職員を皆殺しにした。もう一台のヘリが屋上に取り付いて十数名の覆面の武装兵が現れる。唯一生き残った魔術師のレドが炎と風を操って4名を焼き殺した。

「まさか襲撃に来るなんて馬鹿な真似をするとは」

魔術を駆使して、研究室に眠っていたロボットを起動させる。この世界の技術の粋を外れてはいない、意思も技術も低いもののテロリスト相手なら十二分に脅威になる。様相も人ではなく、4足で上半身を支えている。モノアイが動き、対象を敵と定めて迎撃を始めた。腕に付いたサブマシンガンを発砲してテロリストを蹂躙する予定だった。

「そうかい?」

「これは・・・・・・」

奥から赤い特攻服を着た青年が現れ、ロボットの攻撃を炎の壁で防ぐ。それからロボットの背後に回って拳を貫通させると、ロボットは動きを止めた。男は肩を回して、骨を鳴らした後、右手から巨大な炎を男に放った。魔術師の結界で防いだが、すぐさま間合いを詰められて結界を拳で破壊された。守る術も無いまま首を掴まれ、縊り殺される。

「つまんねぇなオイ」

そのまま、魔術師の男を一瞬で焼き殺して地面に放り投げた。

「じゃあ一丁派手な狼煙を上げてみようか」

男の右腕から高温の火の塊が収束していく。
廊下から何事かと様子を伺いに来ていた他の研究者達に放り投げて巨大な爆発音と共に廊下の窓が全て衝撃で割れた。
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