The Cross Bond Side Story

The Cross Bond Side Story Ⅱ

第十話

　陰陽庁も、突然現れた妖怪に対するニュースやネットでの書き込みを見てから、対応に追われる事となった。本部では全国に被害が拡大しないようにこの妖怪に注視するように指示を出し、今の所何かの縛りがある為か、全国に被害が拡大はしていない事が幸いであったかもしれない。春坂は本部に顔を出して報告をした後、あの妖怪と会敵し取り逃がした事を報告した。それ程の怪物であると認識を改め、対処に当たる事となった。京子に情報を伝える為、支部にも顔を出して奥の部屋で向かい合っている。

「あのエイリアンが、自衛隊の訓練中に現れたと言う事ですが、本当みたいですね」

「ええ、結構なダメージは与えたと思うんだけど･･････急に消えちゃったんだ。それよりーーーその子は？」

春坂が、一人の少女に目をやった。この場に似つかわしく無いメイド服を着た白い髪の毛の女の子。何故か京子の身の回りをしているが、人間では無い。急にやってきた自動式人形というアンドロイドなのだと言う。京子も困惑している様子が見て取れる。

『ほな、よろしゅう頼むで』

とほぼ何の説明もなく兄の晴明に押し付けられた。魔法省が定期的にやってきてメンテナンスと管理を行う事になっており、彼女に何かあった場合は連絡しなければいけない。一応後から聞いた話ではあるが、吸血鬼が密売品に手を出して魔法の国からオーダーメイドで購入した物を押収した形になったが、管理をどうしていいかわからないので押し付けたと兄から聞かされ、京子は携帯を流石にぶんなげざるを得なかったという。とはいえ、暫く置いて分かったのは彼女の処理能力の高さ。ネットに繋いですぐに欲しい情報を得られるし、それを画面に繋いでの説明や予測のシュミレーションプラグムラムの構築や企画事案等も高次元で行えるようになった。その上事務処理も楽になったし、良く働く。もはや京子が何も言う事は無くなった瞬間であった。

「彼女は、兄から預かった自動式人形ですが暫くここを管理して貰う事になっています。用心棒と思って貰えれば」

「朝倉舞と名付けられました。これからどうぞ宜しくお願いします」

と、丁寧に挨拶して舞は表に店のチラシを配って来ると言って部屋を後にした。

「話の続きですが･･････」

春坂、八坂、小波は3人でエイリアンを追いかけ回して、森の中を駆けずり回っていた。しかし午後6時丁度、妖気が消えてその存在が掴めなくなった。2時間程当てもなく探し回ったが結局その存在を見つける事は出来なかった。

「やっぱり、居なくなっちゃうのよねぇ。困ったわ」

急に、女の子の声がすると、いつの間にか黒色の和服の女性が優雅にお茶を飲んでいる。おもわず吃驚してしまう二人ではあったがそれも仕方の無い事である。

「勝手に頂いてるけど、ごめんなさいね」

「いえ、それはいいんですけど･･････浦美さん」

急に現れないで欲しいと切に願う京子。現れたのは晴野浦美（はれるやうらみ）という少女であった。妖怪で、人の恨み辛みを晴らしたい、と願う願望から生まれた生粋の復讐代行人でもある。明治になってから当時の晴明の判断で陰陽庁へと彼女をスカウトしたという経緯があり彼女の行動を容認する代わりに陰陽庁に席を置くという事になっている。基本的に彼女は自分の本能に従って行動しており、陰陽庁への昇進等には全く興味が無いらしい。浦美の話によれば、最近発生した猟奇殺人事件、少女が団地で遺体をバラバラに殺害された事件にエイリアンが関与しているのだという。追っているうちに、森の中に辿り着き、相対しようとした所でエイリアンが姿を消してしまったのだ。しかし今度は同じ妖気が街の中で感じ取る事が出来今度はそちらを追ってみた所一人の少年に行き着いたという。

「関連があるのは間違い無いと思うんだけど･･･」

「情報ありがとう御座います。引き続きそちらの調査をお願いしても良いですか？」

「ええ、すでに学校に潜入して探っているわ」

大船に乗ったつもりで任せて頂戴と胸を叩く。

「こんにちわ。流石、行動がお早いですね浦美さん」

早苗が扉から入って来て、浦美の隣の席へと座る。

「後もう一人来る事になっているのですが･･････そろそろ来るとは思うんですけどね」

「それじゃ、私お茶入れますね。お茶請けはお饅頭でいいですか？」

「お願いします。早苗さん」

少年が到着するのはその２０分後であり、会議までの暫しの時間落ち着いた時間を過ごすのであった