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Revenge tragedy of agent Ⅱ
第四話
しおりを挟む3人は施設の中の別のフロアに案内され市街戦を想定した大きなコンクリートの固まりが乱立した空間に出る。ふわふわと空中をさ迷う悪霊。小さい緑色の体を持つゴブリンの群れが徘徊している。
「悪戯心や、意地悪な心が生んだ低級な魔物達ですがそれ故に幾ら滅しても増えますの。自分達でも繁殖して増えますし掃討して頂けるのでしたら私たちも非常に助かりますわ」
「・・・とはいえ、いきなりこないなトコ連れられても」
「何だか、ゲームのステージみたいですね」
「ゲームではありませんわ。命を落とす危険も常に孕んでおりますもの。気を抜かれると一瞬であの世へ行きますわ。お気をつけを」
「ゾっとせんなぁ。頼むで前田はん」
「試しにやってみるしかないな。開戦といこう」
『了解』
二人が答えて、3人がトリガーを引いて銃声が響き渡った。幽霊の様なゴーストから始まり探索しながら全てのゴブリンの様な小さな魔物を掃討するのに3時間弱。攻撃は必中すれば即殺出来ている事が3人の自信に繋がっていた。最初はゴーストや魔物に怖がっていたがすぐに恐怖心は薄れていった。何せ装備が強すぎる。
3人に与えられた武器は3種類。
霊子剣(スピリチュアルソード)
剣の柄を握ってボタンを押すと光の剣が伸びる。ライトセイバー感覚でかなり軽く妖怪や魔物にダメージを与えられる。物理には光の粒子が弱い為拡散してしまい有効ではないが、霊力の高い修道女が使えば厚い鉄板も焼き斬れる。3人は信仰心が薄い為、彼女達の霊力が込められたエネルギーパックに切り替えながら補充をしている。
霊子銃(スピリチュアルガン)
剣と同じく霊子による圧縮された弾を放つ。エネルギーパックを交換する必要があり非常に軽量で持ち運び易いのも特徴。人間に当たっても影響はないが、これも修道女達が使うと人を殺せる威力を放てる。
銀銃(シルバーバレットガン)
霊力が込められた銀銃の総称。
訓練というよりかは、本当に試射会といった
方がしっくり来る程のあっけなさ。銃を構えて射つだけで魔物は死んでいく。十分な距離を保ちつつトリガーを引く簡単な作業と化していた。無論、剣の方も試して近距離での訓練を行ったが、攻撃を受けてもスーツに傷が付かない。中に少しの衝撃は伝わるものの攻撃そのものが身体まで届く事はない。炎と冷気に耐性があり、3人は伝説の防具は存在したと呆れた程である。
「これ自衛隊がいつか装備出来たらすごいですね」
「災害も怖いもんなっしゃこんなん。えらいこっちゃで」
「・・・くるといいが、今は暗に政府が異世界の技術流出に歯止めを効かせているからな」
無論技術だけでなく、異世界の物品流出にも厳しい。
「夢は、大きく持ちましょうや。いつかこれが九条駐屯地の正式装備になるよう俺らが頑張らんと!!」
「そうだな、そして・・・)
(この装備なら巷を騒がせている鬼も俺達で退治出来る!!)
前田も、残りの二人もそう実感し、訓練を続けた。
「巷を騒がせている妖怪を討ちたい?・・・不可能じゃな。滅する事は諦めるがよい」
時を同じくして、妖怪の総本山、妖怪屋敷の主が言葉を吐く。彼女の前には彼女に情報を尋ねに来た京子が謁見しており京子の藁をも掴む思いで尋ねた問いに九尾の狐、玉藻はそう告げた。
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