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The killer of paranoid Ⅳ
第十一話
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自転車を置いて少年が向かったのは、人気の無い森の中だった。虫や獣の気配が濃く感じる程に周囲は静かで、少し不気味に感じる。海人は少年の後を息を潜めて尾行した。ようやく、彼の歩みが止まったかと思えば、猫の鳴き声が響き渡っている。
「いい子だ、今出してやるからな」
少年は優しくそう呟いて、木箱から猫を捕まえた。猫も声を出して抵抗したがやがて声が小さくなり、聞こえなくなる。首を絞めて落とした後は首を捕まえて陽気に地面に放り投げる。自分の持ってきたケースを開けて、刃物を手にして猫に近づいた。一気に腸をぶち撒け、手や足を切断し、首を切断する。地面には夥しい血が流れ、少年は恍惚した表情を浮かべている。二人に緊張が走り、優理は目の前の光景に嫌悪感を示し、吐き気を催した。海人も少し手が震えている。
(こいつは、ヤバイの掴んじゃったかな。でもあいつの願望の大きさは普通じゃない)
(確かに、もしあの願望をキューブに出来れば姫の延命は叶うかもしれません。ですが、手を引く事をお勧めします。あの少年はいずれ、自ら怪異へと転じるでしょうが、殺人願望は危険過ぎます。巻き込まれた場合命の保証は出来ません)
「・・・帰ろうよ、海人君。あの子、危ないって」
「そんなの見りゃ分かるよ。でも引くのは無しだ」
妹の為に散々危ない橋を渡って来た。今さら目の前の後輩が危険思想の持ち主だからと言って諦める理由にはならない。
パキン、と小枝の音が響き渡る。
優理が、自分ではないと首を横に振った。
「誰?・・・猫かな・・・それとも・・・人?」
少年は、音が聞こえた方へと歩き出す。猫を殺した刃物を手に持って滴る血を振り払って、少年も武者震いを始めた。しかし興奮している様子も見てとれる。
「・・・・猫は散々殺したけど、人はまだ殺した事無いから・・・」
二人は、少年の前に姿を現すのを躊躇して、木の影に潜んだ。
「今日が、初めての日になるのかな・・・もう、段々と猫じゃ物足りなくって」
少年は、音がした方に足を運んだが誰も居なかった。不思議に思っていると、急に少年の顔面に拳を入れて思いきり吹き飛ばす。刃物を落として、海人の隠れている近くに転がり込む。天井を仰ぐ少年の首を誰かが力強く絞め始めた。その体は大きく、力強く、そして確かに殺意を孕んでいる。少年も必死に抵抗を見せてはいるが、体格差は歴然としている。少年は暴れまわるものの、何者かの行為は止まる事は無く続いた。二人は何が起こっているのか、理解できずにその現場をただただ眺めている。やがて少年の動きが静になり、男はゆっくりと少年の側を離れ、震えた泣き声で独り言を呟く。
「・・・母さんが自殺する前な、俺にまともに育てられなくてごめんなさいって。耐えられない、ごめんなさいって。ごめんなさいって、何だってずっと思ってた。今日、ようやく母さんの思いが分かったよ。お前が、誰かを傷つける事をずっと怖がってたんだ。いずれ、殺人犯の息子がメディアに取り上げられて、家にも押し寄せて来る、そんな日が来ない事を切に祈りながら・・・日々を生きて疲れたんだと。母さん、すまないな・・・俺も今からそっちへ行くよ」
男はフラフラと森の外へと歩いていく。衝撃の殺人現場を目の当たりにして海人も優理も感覚が麻痺して来ている。しんと静まり返った空間に、二人の息づかいと少年の死体が転がっている。ハクが首を横に振り、二人もこの異常な空間から去るべく一歩を踏み出した瞬間だった。急に、少年の息が吹き返した。それと同時に少年の頭上から青い水か溢れ出し、二人はその水にどっぷりと浸かってやがて二人はその青い水の濁流に飲み込まれた。
「いい子だ、今出してやるからな」
少年は優しくそう呟いて、木箱から猫を捕まえた。猫も声を出して抵抗したがやがて声が小さくなり、聞こえなくなる。首を絞めて落とした後は首を捕まえて陽気に地面に放り投げる。自分の持ってきたケースを開けて、刃物を手にして猫に近づいた。一気に腸をぶち撒け、手や足を切断し、首を切断する。地面には夥しい血が流れ、少年は恍惚した表情を浮かべている。二人に緊張が走り、優理は目の前の光景に嫌悪感を示し、吐き気を催した。海人も少し手が震えている。
(こいつは、ヤバイの掴んじゃったかな。でもあいつの願望の大きさは普通じゃない)
(確かに、もしあの願望をキューブに出来れば姫の延命は叶うかもしれません。ですが、手を引く事をお勧めします。あの少年はいずれ、自ら怪異へと転じるでしょうが、殺人願望は危険過ぎます。巻き込まれた場合命の保証は出来ません)
「・・・帰ろうよ、海人君。あの子、危ないって」
「そんなの見りゃ分かるよ。でも引くのは無しだ」
妹の為に散々危ない橋を渡って来た。今さら目の前の後輩が危険思想の持ち主だからと言って諦める理由にはならない。
パキン、と小枝の音が響き渡る。
優理が、自分ではないと首を横に振った。
「誰?・・・猫かな・・・それとも・・・人?」
少年は、音が聞こえた方へと歩き出す。猫を殺した刃物を手に持って滴る血を振り払って、少年も武者震いを始めた。しかし興奮している様子も見てとれる。
「・・・・猫は散々殺したけど、人はまだ殺した事無いから・・・」
二人は、少年の前に姿を現すのを躊躇して、木の影に潜んだ。
「今日が、初めての日になるのかな・・・もう、段々と猫じゃ物足りなくって」
少年は、音がした方に足を運んだが誰も居なかった。不思議に思っていると、急に少年の顔面に拳を入れて思いきり吹き飛ばす。刃物を落として、海人の隠れている近くに転がり込む。天井を仰ぐ少年の首を誰かが力強く絞め始めた。その体は大きく、力強く、そして確かに殺意を孕んでいる。少年も必死に抵抗を見せてはいるが、体格差は歴然としている。少年は暴れまわるものの、何者かの行為は止まる事は無く続いた。二人は何が起こっているのか、理解できずにその現場をただただ眺めている。やがて少年の動きが静になり、男はゆっくりと少年の側を離れ、震えた泣き声で独り言を呟く。
「・・・母さんが自殺する前な、俺にまともに育てられなくてごめんなさいって。耐えられない、ごめんなさいって。ごめんなさいって、何だってずっと思ってた。今日、ようやく母さんの思いが分かったよ。お前が、誰かを傷つける事をずっと怖がってたんだ。いずれ、殺人犯の息子がメディアに取り上げられて、家にも押し寄せて来る、そんな日が来ない事を切に祈りながら・・・日々を生きて疲れたんだと。母さん、すまないな・・・俺も今からそっちへ行くよ」
男はフラフラと森の外へと歩いていく。衝撃の殺人現場を目の当たりにして海人も優理も感覚が麻痺して来ている。しんと静まり返った空間に、二人の息づかいと少年の死体が転がっている。ハクが首を横に振り、二人もこの異常な空間から去るべく一歩を踏み出した瞬間だった。急に、少年の息が吹き返した。それと同時に少年の頭上から青い水か溢れ出し、二人はその水にどっぷりと浸かってやがて二人はその青い水の濁流に飲み込まれた。
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