Voo Doo Child

夜桜一献

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The killer of paranoid Ⅷ

第二十五話

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巨大な鱗に大きな角、悪魔と言うよりかは魚人の様な出で立ち。羽根も生えている様だが自重が重すぎて飛べるかは微妙な所。周囲はビルが立ち並び東京の一角ではあるが人は認識出来ず、周囲も色が青く見える。道路に悪魔が静かに佇んでいる。

「ここは一体どこなんだ?」

「変な空間だよね。私達以外排除されてる様な感じ」

綾乃は呪術結界をそう評した。

「事件解決って言ってたけど、あれか?あの糞デカい悪魔のラスボス見たいなのを倒せって?」

「そうみたい。ちょっと一言文句言ってくるね」

まるで、騒音の煩いお隣さんに一言みたいな感覚に葵は慌てる。

「おい、よせ!!」

怪獣に飛び込む真似を止めようとしたが、葵の声も虚しく彼女は悪魔の前まで来ると、大声を張り上げた。

「あの、良くないよ!皆迷惑してるから、宇宙人みたいなの全部止めてくれないかな!?聞こえてる?ーーーおよ?」

「何やってんだ!!」

悪魔に届く声を張り上げると、彼も反応を見せる。当然、邪魔物としか認識しておらず口から火炎を吐く。綾乃も巻き込まれかけたが、間一髪で葵が助けに入った。袖を掴んで一緒に建物の角に隠れる。炎が吐き出されて熱で周囲の温度が上がる。角から顔を出して悪魔が再び炎を吐こうとして、葵が立ち塞がる。召喚の札を出して、一匹の犬を召喚した。

「出てこい、影丸!!」

「フッ。いきなり出てきてこのクライマックス感、体調不良にて早退を願うしかない」

「残念だが、そうも言ってらんねぇんだよ!!良いから手伝え!!」

「あんなホットなド修羅場に突っ込めと?さながら人手が少な過ぎる繁忙期地獄巡りと言わざるを」

「注意を逸して逃げ回ってくれりゃ良いから!!」

「それなら、任せろ」

吠えて、悪魔の注意を引くと一目散に逃げ回る。

悪魔も犬の方角に炎を吐いたが、すでに影にかくれている。

「ワンちゃん喋れるの!?後で触っても良い?」

「良いから、今は避難しててくれ!!」

「大丈夫だよ、私こう見えて強いから!」

葵の忠告も聞かず、綾乃は向こうを向く悪魔に距離を詰めて跳躍し、普通の人間には届く事のない飛距離をジャンプする。大きく振りかぶってパンチを繰り出すと、悪魔はその身をビルにぶつけて大きく転倒した。葵も開いた口が塞がらず

ね?だから言ったでしょと綾乃は腕をまくる仕草をして得意気な笑みを見せた。

「主、ぶっちゃけあのデカブツより女の子の方が遥かにヤバみあるぞ」

「いや、まぁ薄々感じちゃいるんだが」

そもそもこの空間に連れて来られたのだって彼女のお陰というか情報のお陰でもある。自分に陰陽省という背景がある様に、彼女も何かしらのエージェントの可能性や半妖怪組織の一員かもしれない。散々陰陽省で働く上で知識を叩き込まれたお陰で妖怪や半妖の存在も知っている。彼女の強さにも理解は示せる。

「そういえば、君は一体何者なんだ?どうやってこの場所を知ったんだ?」

「どうやってっていわれたら、たまちゃんっていう妖怪の元締めみたいな人から連絡が入ったからなんだよ」

経緯を聞いて彼女にも別の背景があると知る。

「そっか、じゃあもう気を遣わくていいんだな」

「うん、大丈夫だよ」

「俺は葵だ。葵って呼んでくれ」

「私は綾乃っていうの。宜しくね」

(後でどんな妖怪か検索しとくか)

葵は勘違いしながらも、最強の助っ人を得た。

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