女魔王は冒険者になりました!

猫部猫

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「やべー奴ら」

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♢天界♢

「こんにちは!魔王だゾ☆」
「「……か、帰って下さい…」」

世界を滅ぼし“終えた”魔王たちはフェンリル、バハムート、マーリン、スプリガンを下界に置き、ナンナと二人で迎え撃つ量産型天使等をことごとく殲滅しながら神々の住まう場所『天界』に来ていた。

「…おい、どう言う事だナンナよ。貴様が『これをすれば神共は快く要求を呑む』と言ったからやったのだぞ?」

「いえいえ魔王様、見てください。“ロリコンの神”は既に堕ちています」

ナンナの指差す先には丸く太った眼鏡オヤジが目を見開き鼻血を垂れ流していた。

「さぁ!もっと堕としてあげましょう!魔王様!!」
「なんじゃ…」
「あの豚野郎にモジモジしながら『お兄ちゃん…』と言ってやって下さい!あ、出来れば上目遣いと左手でスカートの裾をギュッと握るのをプラスしてくださいっ!」

力の篭った言葉と声に引きながらも

「まぁ、今日は気分も良い。やってやるとしよう……コホンッ」

承諾した。

「お…お兄ちゃん…」

「ブヒィィィィィィッッ‼!」
「ブッヒィィィィィィッッ!!!」

効果は抜群のようで、“ロリコンの神”とナンナは豚の悲鳴の様な声をあげた。

「少しばかり恥ずかしい感じじゃったが……それで、儂の要求を“快く”呑んではくれぬか?」

魔王が奥で静観していた12の翼を持つ神に歩み寄る。

「…久しいな魔王よ」

並のものでは立っている事も出来ないほどの覇気。
黒髪で紫色の瞳を持つその神は他の神々を押し退け魔王に歩み寄った。

彼こそは『ルシファー』
神々を束ねる最高神だ。

「貴様もなぁ最高神よ」

━━ニヤリと笑い両者は立ち止まった。

切迫する空気
その1秒後


両者は一気に間合いをつめた

両者の拳が両者の顔面に迫る!


「んまぁっ!魔王ちゃんったら!前よりも肌が綺麗になったんじゃない!?手入れも行き届いてるし…羨ましいわぁ~」

「貴様こそ歳の割に肌も髪もツヤツヤじゃぞ!神のくせにエンジェルリングができているではないか!」

屈んだルシファーの頬や髪を撫でる。

「あらやだっ!だって元天使だものッ♡」

「「フハハハッ!!」」


二人は仲良し。


「丁度良かった、私も魔王ちゃんに会いに行こうと思っていたところなの」

ルシファーは立ち上がり

「立ち話もなんだし、こっちへいらっしゃい」

背を向け神殿の中へと歩を進めた。

「さぁ行くぞナンナ」
「はい魔王様」


・・・・・。


一方その頃

♦下界♦

「ワハハッ!!ワッハハハハハハハッ!!楽しいッス!ボクこんなに楽しいの久し振りッスよ!」


魔王城四天王が一柱フェンリル
一際目立つ鎖をつけた白毛の巨狼。絶対的捕食者。
悪食餓狼が燃え盛る大地を“元の姿”ではしゃぎまわっていた。

「もう生物の反応はどこにも無い天使たちの追加もまだだろうから『人狼』の姿になっても良いんじゃないか?話しにくいし」

その背中には身体に紋章が刻まれた小柄な少女がいた。

「りょーかいッス!バハムート!」

魔王城四天王が一柱バハムート
最強種族である竜の更に上を行く“竜神”
全てを無に帰す焔を持つ。
その圧倒的な強さから天災とも呼ばれる彼女が何故魔王の元にいるのか……それは最初の方で書いてるから見てくれ☆

「よっと…いっや~!やっぱり人狼こっちの方が楽ッスね!」

緑がかった獣耳と尻尾を動かす。

「おいこら!服は何処にやったんだよっ!最初は着てただろうが!」
「え~でもバハムートだってかなりスッポンポンに近いッスよ?」
「オレは良いんだよ紋章見せるためだし!(アイデンティティ)」
「それだったらボクだってーー」
「お前は全裸か拘束狼かどっちかにしろ!」
「えっ!?“高速狼”!?確かにボク脚速いッスけど…流石に照れるッスぅ~♪」
「ちぃぃがぁぁーう!!そもそも━━」

巨乳全裸に赤い首輪と両手足首に鎖を着けた変態と露出のかなり激しい服を着た変態が言い争っている。
と、そこへ…

「お二人とも喧嘩はやめてください」

淡々とした口調で男の声が炎の壁ファイアウォールの向こうから聞こえる。

男は四つん這いで現れた。
四つん這いで炎の壁ファイアウォールを超えてきた。
魔王城四天王が一柱スプリガン
魔王の一撃に耐えた男。最強の盾。魔女の脚。
全てを無に帰す焔を受けようともその身、焦がす事なかれ。
…でもちょっと熱いし汗は滲む。

その背中にはとんがり帽子を首に下げた幼女に近い少女が跨がっていた。

「お、マーリンとスプリガンさんッス!」
《フェンリル、貴女また服着てないのね…》
「えっへへ~」
《少しじっとしていなさい》
「了解ッス!」

マーリンが人差し指を上に曲げると眩い光がフェンリルを包み込み、パッと弾けると
そこにはビキニ姿のフェンリルがいた。

《『ビキニアーマー』冒険者たちの中級装備ですって》
「アーマーって割には…布じゃね?ただのビキニじゃねぇのか?」
《『ビキニアーマーよ』》
「お、おう…」
「い、いやぁ…なんかこれ…落ち着かないッス……」

羞恥のためか頬を染め耳を伏し躯体を手の平や尻尾で隠そうとする。

「とても似合っていますよ」

マーリンを肩車し拍手をしながら淡々と答えるスプリガン

「そ、そうッスかぁ~///」

照れる犬

「普段の全裸とはまた違う“布を纏う”ことで一部位を隠すというグッドテイスト。強調された胸の谷間。恥じらい。赤面。ケモケモしさ。どれを取っても一級品かと。つまりは『エロス、此処に極まれり』です」

ポーカーフェイスでとんでも無い発言をする男

「へへ~めちゃ褒められたッス!」
「…………そっかぁぁ!」

バハムートはつっこむことをやめた。

《━━それにしても、辺り一面火の海…大地はひび割れ、人工物は灰に…フフッ流石は生きる天災ね♪》

…楽しそうに語るがその顔に表情はなく何を考えているかも判らない。
魔王城四天王が一柱マーリン
冷血なる者。冷徹なる者。破滅の魔女。千里の瞳。その顔に色は無し。その声に色は無し。その口は波立たぬ湖の如く。
しかし、その湖に石を投げ入れるならば…
波は滅びの色を告げるだろう。

「そりゃあどーも、にしても今日は良く喋るな」
《終末だもの今日くらいはねぇ》
「ねぇねぇ!魔王様天界に着いたかな?」
「…マーリン様」
《ええ、少し前に着いたみたいね》
「天使どもはどうだ」
《大量よ、向こうに割られていた分も来ているわ》
「んじゃあ此処に全天使が集まってくる訳だよなぁ!」
「たっっくさん動けるね!」

嬉々する2人だがマーリンはため息を漏らした。

《あんなガラクタ私一人で何とかなるわ》

マーリンの言葉で空気が変わる。

「マーリン…様…が…?」
「お前…戦うのかよ」
「えぇ~ボクの分は~…?」

それは普段驚かないスプリガンが目を見開く程、珍しい事なのだ。

《得と驚くが良いわ!本物の魔法を見せてあげる!》

途端、地面が陰る。
空を見上げる
雲ではない。
それは無数の天使だった。
幾万の天使が降りて来たのだ。
奴等に感情など無いただ標的を殺すのみ。
神に仇なす芽を刈り取るのみ。
その手に光の槍を持ち、剣を持ち、弓を持ち。
たった4つの害を罪を悪を……
討ち滅ぼす為に。


━━だが、無駄。
全て、全て、全て。
幾万の幾億の天使が来ようとも
無駄。蛇足。一昨日来やがれ。


「柩を用意してあげましょう…とびっきりの…ね」

か細い言葉を発し広角を上げる。

「━━破滅級の魔法カタストロフ・マジック

マーリンを中心に巨大な黒い魔法陣が展開される。

万物死絶の黒柩ばんぶつしぜつ くろひつぎ。』

唱えると

━━地面が唸った。
━━空が陰った。

枯れた大地から競り上がる黒い柱。

天使の影を塗りつぶすように、空からもう一本黒い柱が天使の頭上から降りてくる。

それは徐々に速度を上げ、大量の天使を圧殺する。

晩鐘の鐘の音のように重く響く

重なり合った二つの柱は形を変え

潰しそこねた残りの天使を外側から包み込む。

全ての天使を収容した巨大な柩は隙間を埋め終えると、空から消えマーリンの手の上に乗るほどに縮小し現れた。

《フェンリル、あげる》

柩をフェンリルの手元に飛ばした。

「この中にさっきの天使たちが入ってるんスか?」
《いいえ、天使から抽出した魔力が入っているの…齧ってみなさい》
「んー…」

不思議そうに見つめ齧り付く。

パリッ!カリコリ…

「ふむふむふむ…外はパリッと中はカリコリっとスね………ほのかに甘い、ふむ!美味いッス!」

尻尾を活きよい良く振り残りを口いっぱいに頬張る。

「おーおー良い音してんなぁ、オレも腹減ってきたぜ」
《あんたらの分は無いわよ、かなり濃厚な魔力だし》
「まぁ良いけどよ、濾した天使の残骸カスはどうしたんだ?」 
《魔力さえ取り出せばあんな機械兵士興味ないもの。捨てたわよ、遠くの方にね》
「ふーん……あっそ」
「さて、マーリン様のおかげて今の天使達を殲滅する事ができた訳ですが次はどうされますか?」
「はいはーい!ボクが行きたいッス!」

大きく手を上げ左右に降る。

「バハムート様は…」
「いや、オレはパスだフェンリルの次でいい」
「やったーー!」

(さっさと話つけてくれよー魔王サマ…)



次回!フェンリル無双始まる!(場面は無い)
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