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「ナンナを怒らせるとめっちゃ怖い」

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……始まったわね

ぎゃワンッ!…急に頭から声がするとビックリしちゃうッス!

最後の大一番が始まったか…ま、どちらが勝とうと運命は同じなんだけどな

どうしたんスかぁ~バハムート、もしかして寂しいんスかぁ~?

は、はぁぁっ!?別にそんなんじゃねぇし!寂しくねぇしぃ!

では、なぜお顔が真っ赤なのですか?

うるせぇ!ばーーかっ!

ほらほら、馬鹿言ってないでそろそろ追加の天使達が来るはずよ








「「オオオオオオオオッ!!!」」

打ち合う刃から火花が散る。
力が互角と見るやいなや両者は再び大きく後退した。

「ちぃっ!嫌な武器じゃよ、本当に!」

「な~に言ってるのよ、魔王ちゃんのソレも手強いわね!」

「「普通の武器なら一撃で破壊できるのに「のぉ!」「ねぇ!」」」

「蹂躙せよ!破滅の黒炎!」

「穿ちなさい!光の弓矢!」

「ヘル・フレイム!」
「インフィニット・レイ!」

相殺し合う術

「「ハアッ!!!」」

ぶつかり合う覇道


「魔王様……」

胸の高鳴り

「……何と!!!何と!雄々しいお姿でしょう!ハァハァ…あの様に牙を剥いて!傷を負いながらも魔王様は己の信念のために!貴方様のために!次の世界のために!!命をかけて戦っていらっしゃる!」

あぁ…お許し下さい魔王様
この戦い…傍観しか出来ないこのナンナをお許し下さい
魔王様の流す血と汗を別々の小瓶に集めながらでないとこの私の血液は魂は…闘争を求めてしまうのです。


だって…だって…だって…だって…だって…だって…だって…だって…だって…だって…だって…だって…だって…だって…だって…


以前よりもお強くなられたを昔のように打ち負かしたいのです!!!

この目を開けばすぐに…お兄様を………

…………………。

なんて、さすがの私も空気を読みます。
どうぞ思う存分に…

「思えば、久しぶりの昂ぶり……」

なるほど、魔王様も貴方様も…この気持ちを…
だからこそ戦うのですね。

「ずるいです…」

そう声を漏らした。

そして…

ゆっくりとその双眸を開く

『*******に接続。。。』

それは最高神さえ解読できない音。
それは魔王の耳に届かない波長。
マーリンの叡智を持ってしても理解されなかった言の葉。

『承諾せよ。【The world is in my hands】』

閉じられていた眼をゆっくりと開ける

「…白銀の世界」

時を止める魔法では魔王の指一つ止め事はできなっかった。
おそらくそれは最高神も同じだ。


ーーーーーーーーー静寂ーーーーーーーーー



空を見上げる。
    


「……魔王様…」

硝子の様な美しい白銀の瞳は悲しそうに魔王を見つめていた。
唯一神をただ一点に見つめ刃を振りかぶる…。
そんな一コマ

「申し訳ありません、魔王様」

ナンナは深々と頭を下げメイド服のポケットから上等なカメラを取り出した。

「んふふふふふっ!!!最高です魔王様!!この角度!その瞳!その猛々しさ!!このナンナ!もう我慢なりませんっ!!」

パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ

「ハァハァ…!その悪に塗れたお顔!まさに魔王!!ヤエバカワイイ!こんなもう躍動感しかない魔王様をナンナファイルに収めないのは恥っ!!一生の恥っ!!」

パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ

数十分後。

「ふふふふ…美味しい…美味しい……珍しい魔王様のお姿がこんなにも…!ふふふ…むふふふふ…」

よだれを拭い達成感に浸りながらメモリを入れ替える。
そして満足したナンナはカメラをポケットに入れた。

「ありがとうございます魔王様、貴方様」


「少々端ないナンナをお許しください」

そう言うとナンナの姿が消え
彼女は『天使の核炉』の目の前に現れた。

「『天使の核炉』…大気中の魔力物質を取り込み魔力で形成された機械天使を無限に創り出す天界で最も巨大な聖遺物…」

目の前では既に製造された数万の機械天使が隊列をなしている途中だった。

「1秒間に最大で30体の天使を製造できるその内臓魔力量は計り知れず、周囲には破壊神の技を持ってしても傷1つ付ける事はできない結界が貼られている…」
 
……四天王の誰も…いえ、魔王様やお兄様でさえもこれを破壊する事はできないのでしょうね。

「彼方の神よ、これはもう、必要無くなりました。遥か…遥か昔の神々に愛慕の情を…感謝を…そして……」


ナンナは右腕を核炉へと真っ直ぐに伸ばし

「神々の力…お借りします」

そう言うと
【******に接続。。。】

翡翠色に輝く紋章が核炉を挟み込むように展開された。

(友よ…アナタなら解りますね)
『承諾せよ。【The world is in my hands】』

「…此の世全ての神秘を印した書セファー・ラジエール

翡翠色の紋章は核炉の結界に触れても反応することなく、そのまま全体を包むように双方に通過していくと

その翡翠色をまるで侵食されたように、へと変えた。

黒曜色の紋章が再び核炉へを動き出し
結界に触れた…その瞬間

バジッ!と黒い閃光が接触部から弾け
紋章が核炉に近付くほど、まるで悲鳴のような拒絶音が辺りに鳴り響いていた。

紋章はお構いなしに結界を融解していき、とうとう核炉の全てと、機械天使達を飲み込んだ。

そこにあったはずの天使の核炉はチリ一つ残らない無へとなった。

「…準備は整いました」

ナンナの右腕には先程の紋章が刻まれており、それを常備しているハンカチで覆い隠すと
ナンナは再びその白銀の瞳を閉じた。


「さあ、お二方、決着を…」



世界は再び動き出す。
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