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猫ドラゴン物語~~~承②~~~
しおりを挟む~~~願い紡がれて~~~
三人は色々な意見や情報を交わした後、学校の近くにある古い井戸にまつわる伝説に興味を持った。
この井戸は、かつて猫ドラゴンと猫の集会が開催されたと言われた場所であり、井戸の水が不思議な力を持っていると噂されていたからだ。
エリオットは、この井戸の水を調べることで、猫ドラゴンの魔力結晶に関する手がかりを得られるかもしれないと考えていた。
ある夜、彼らは井戸の水を汲み、エレメント分解儀式の書に記された指示に従って魔法の儀式を行った。すると儀式の最中、井戸から神秘的な光が現れ、幻影が浮かび上がる。
この幻影は、彼らに森の奥深くにある特定の場所を示し、ついてくるように促(うな)がした。
エリオットたちは、この幻影を追いかけて森の奥へと向っていると、やがて深い霧に包まれていった。
その霧は普通の霧と違って、妙に物質感の有るもので、3人はその妙な感じに気が付いていた。
口を開いたのは魔法の得意なアレックスだった。「二人とも気が付いているか?これは結界だ」
「ああ、だが嫌な感じはしない。むしろ僕たちを向かい入れているようだ。敵意も感じない。」とマイケルが言う。
更に進んでいくと霧はいつの間にか晴れていて、妙な感じもなくなっていた。
そして石碑のような物、あるいは墓標に見えなくもない佇まいで人間大の石の塊が目に入ってきた。
三人を誘導していた幻影は其の石の所まで行くと、人のような形に変わっていった。エリオットはその顔に見覚えがあった。
そして呟いた「オズワルド・・さん?」
マイケルは訝(いぶか)しげにエリオットに聞いた「誰だ?」
エリオット:「以前に調べていた古文書の著者だ、顔を知っている理由は後で話すよ。」
幻影は石を指さしている。エリオットは石に近づき石に付いた苔を掃った。
石にはこう刻まれていた。
"星々が奏でる古の歌、
新月の光が照らす夜に、
真実の眠る聖なる場所にて、
唱えよ、
猫ドラゴンの魔力結晶を目覚めさせるために。"
幽霊はエリオットの目を見つめ、無念さの残る声でで囁いた。「聞け・・・古・・・言葉は鍵・・目覚めさ・・唯一の方法。歌・・・唱えるのだ。猫ドラゴンは目覚め・だろう。」
エリオットはその言葉を聞き、深い感銘と責任の重さを感じた。彼は震える声で答えた。「分かりました、私はその使命を果たします。猫ドラゴンのため、そして私たちの世界のために、その呪文を唱えることを誓います。」
エリオットがそう言うと、幻影は消えていった。と同時に見覚えの有る古井戸の場所へ戻っていた。2時間くらいは歩いたと思っていたが実際には古井戸の場所から移動していなかったのだ。
アレックスは行った「なあ、あの爺さん消える直前は笑っていなかったか?」
マイケル「そう見えたな、成仏ってやつなのかもな」と続く。
するとエリオットは「僕たちは良い事をしたのかもね」ちょっとおどけて見せた。
アレックスとマイケルは一瞬驚いた表情をしたが、すぐにクスクスと笑い出し三人は家路をたどるのであった。
~~~決断~~~
数日後
エリオットは机に突っ伏し、無数の古文書と地図に囲まれていた。彼の心は焦りと不安でいっぱいだった。「どうして何も見つからないんだろう…」と彼は心の中でつぶやいた。
彼の目は赤く、疲れ切っていたが、猫ドラゴンの魔力結晶を見つけるという使命感だけが彼をそこに縛り付けていた。
その時、マイケルが部屋に入ってきた。手には古びた地図を持っていて、エリオットに向かって言った。
「エリオット、これを見てくれ。家の書庫で見つけたんだけど、地殻変動前の地図だ。もしかしたら、これが何かの手がかりになるかもしれないよ。」
とマイケルは言い、エリオットの目の前に地図を広げた。エリオットは顔を上げ半信半疑で、マイケルの持って来た地図に目を通した。
そして、疲れた目を輝かせながら答えた。「マイケル、それは…もしかすると大きなヒントになるかもしれないね。ありがとう、これで新たな希望が見えてきたよ。」彼の声には、わずかながらも希望の光が宿っていた。
彼らはその地図を現在の地図と重ねてみた。すると重ねた地図の一部がまるで竜の尾の様に見えることに二人は気が付いた。
エリオットは地図をじっと見つめ、眉をひそめながらマイケルに言った。「この形…竜の尾に似ているね。」
マイケルは頷きながら応じた。「確かに、この形は興味深いけど、偶然の産物かもしれない。もっと他の手がかりを探して、この地図と照らし合わせるべきだろう。」
エリオットは深くため息をつき、決意を新たにした。「そうだね、急いで行動するより、もっと情報を集めてからの方が賢明だ。さらなる調査を進めよう。」
マイケルはエリオットの肩を叩き、励ますように言った。「大丈夫、エリオット。この謎を解く手がかりは、きっと見つかる。今日はここまでにして、また明日から頑張ろう。」
二人はその日の作業を終え、次の日に備えてそれぞれの家に帰った。彼らの心には、猫ドラゴンの魔力結晶を見つけるという共通の目的がしっかりと根付いていた。
夕暮れ時、エリオットは魔法学校の石畳の道を歩いていた。彼の心は疲れと研究の重圧で沈んでいたが、公園のベンチに腰掛ける老婆とその孫の姿が目に入った。
老婆の声は優しく、子守歌を歌っていた。それは彼が以前に熱心に古文書を調べていた時にオズワルドの幻影と共に表れてスクロールした歌詞の、誰もが知っている一般的な子守歌であった。
そのメロディはエリオットの耳に心地よく響き、彼の心をふわりと軽くした。歌詞は、まるで遠い記憶を呼び覚ますようで、エリオットはふと立ち止まり、耳を澄ました。
老婆の歌声は、まるで時間を超えた旅人のように、エリオットの魂を古の世界へと誘った。彼はその場に立ち尽くし、歌詞の意味を深く思索した。
「眠れる森の深くに、
静かなる湖のほとり、
星が指し示す場所で、
夢見る子よ、安らかに。
月明かりの下、
古の木々が囁く、
秘密を守るその根元で、
夢見る子よ、眠りにつけ。
風が運ぶ歌声に、
隠された道が開かれ、
遥かなる山の影に、
夢見る子よ、目覚めの時。
朝露に濡れた花の、
色とりどりの円をなし、
その中心に秘められた、
夢見る子よ、謎の扉。
夜空を舞う龍の、
尾が指す先にある、
希望の光が導く、
夢見る子よ、新たな旅。」
その瞬間、歌詞が示す場所についての重要な手がかりに気づいたのだ。
「まさかな」エリオットはつぶやき、古い地図と今の地図を重ね、子守歌の歌詞と照らし合わせてみた。そして「有る。有るぞ」彼は見つけた。歌詞に示された場所が、地図上に確かに存在したのだ。
それはただの子守歌ではなく、彼の探求する猫ドラゴンの魔力結晶へと続く道しるべだったのだ。彼の心は新たな希望で満たされ、疲れた足取りも軽やかになった。この歌が、彼の旅の次の一歩を導く光となったのだ。
次の日、
エリオットはアレックスとマイケルにこの発見を伝える事にした。
エリオットは昨日まで途方に暮れていた人間と同一人物とは思えない表情で二人に言った。「二人とも見てくれ、この地図と子守歌の歌詞を! ここに示された場所が、本当にあるんだ!」
二人は少し驚いた表情をしたが、直ぐに興味の方が勝った。
アレックス:「なに?本当か?どれどれ・・これは・・いや、でも、」アレックスは少し考えこみ言った「それが本当に意味するものなのかどうか… ただの偶然と言う事も」
エリオットの言葉に更に熱がこもる。「いや、これは偶然じゃない。猫ドラゴンの魔力結晶への手がかりだと僕は確信している。」
マイケルはまだ懐疑的な表情をしている「確信って、何故? ただの子守歌に過ぎないかもしれないぞ。」
エリオットは引かない「だけど、この一致は無視できないよ。もし本当に何かがあるとしたら…」
アレックス:「たしかに・・何かがあるとしたら、それは大発見だ。でも、証拠は?」
エリオットは止まらない。「証拠は、この地図と歌詞にある。そして、僕たちの目で確かめるしかないんだ。」
アレックスとマイケルは考え込み、少しの間沈黙が流れる。そして考えが纏まったのか、マイケルが口を開いた。
マイケル:「そうだな、これを議論しても仕方ない。もうすぐ夏休みだし、どうせやることもない。これ以上地図と睨めっこしていても何かが解る気もしない。行って無ければそこには無かったという事が解るのだし、行ってみようか」
アレックス:「そうだなマイケルの言う通りだ。行ってみなければ、永遠に謎は謎のままだ。」
エリオット:「決まりだ。じゃあ、行こう。この歌が僕たちをどこへ連れて行くのか、見てみようじゃないか!」
エリオットの情熱がアレックスとマイケルの懐疑心を打ち破った瞬間だった。
5話へ続く
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