猫ドラゴン物語

猫ドラゴン

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猫ドラゴン物語~~~転①~~~

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~~~俺の屍を超えてゆけ~~~

夏休みが始まり、エリオットはマイケルとアレックスと共に冒険に出た。彼らは魔力結晶があると見当をつけた場所を訪れ、猫ドラゴンの失われた力を探し求めた。しかし、その道中では様々な困難が彼らを待ち受けていたのであった。

馬車で3日ほど揺られたころ最初の目的地までついた。森へ続く古代遺跡だ。「馬車が入れるのはここまでだ。」御者は言った。

「解りました。有難うございます」エリオットは馬車の料金を渡しながら言った。

御者:「兄ちゃんたち、最近古代遺跡の先の森には、不審な奴らが出入りしているって話だぜ。まああんな危険な所に行こうって奴は皆不審者だろうがね」

アレックス:「そんなに危険な所なんですか?」

御者:「ああ未開拓な地だからな、何が出て来るか解った物じゃない。普通の人は寄り付かないよ。悪いこたぁ言わねぇ、行くならここの古代遺跡までにしておきな」

エリオット:「忠告有難うございます。気を付けます。」

御者が離れた後、マイケルがつぶやいた「まあ、行くけどね。」アレックス:「行くよなぁ」エリオット:「だよね。」

三人は顔を見合わせてクスクスと笑いあった。

彼らはゆっくりと遺跡の中へと足を踏み入れます。内部は薄暗く、空気は静寂に満ちていました。突然、エリオットが足を止めます。

エリオット:「ここだ! この壁画、子守歌の歌詞にあった図と同じだ!今までは何故こんな所に誰でも知っている子守歌の歌詞の壁画が描かれているのか謎だったけど、今ならその意味が解る。」

アレックス(息を呑んで):「本当だ… これも猫ドラゴンの魔力結晶への手がかりというわけか。」

マイケル(興奮を抑えきれずに):「これはもう、偶然とは言えないな。」

三人は古代遺跡を抜け先に続く深い森へ入っていった。



エリオット、アレックス、マイケルの三人は、古代の森の奥深くを進んでいました。彼らは伝説の魔力結晶を探しており、その力がもたらす可能性に心を躍らせていた。

森は静かで、時折、遠くから小川のせせらぎが聞こえてくる。

しばらく歩いていると前方から強い魔法の波動が感じられ、一行は足を止めた。

エリオットが周囲の異変に気が付いて言った。「何かが近づいている。皆、警戒してくれ」

アレックスは緊張を隠しつつハッとして答えた。「いつでも行ける。でも、できれば衝突は避けたいな。」

マイケルが周囲を見渡しながら「この波動…間違いなく魔法使いだ。」


突然、彼らの前に魔法使いの一団が現れた。

エリオットが声をかける「こんにちは、私はエリオット、こちらの二人はアレックスとマイケルと申します。」

こんな所で誰かに遭遇するとは思っていなかったのだろう、リーダーらしい男がびっくりした様子で返答してきた。「あ、ああ、こんにちは私の名はザノスだ。君たちこんな所で何をしているのだい?」

エリオットは答える「有るものを探しに来ているのですよ。そちらは旅行ですか?」

落ち着きを取り戻したザノスは穏やかに言う。「ええ、まあ、ちょっと骨休みにね。」

マイケルが訝(いぶか)しげに言う。「こんな未開の地に骨休みに旅行ですか?」

ザノスが不満そうに言う「何が言いたいのかね?」

エリオットが言う。「普通こんな所に来る人間は、開拓者でも無いなら、後ろめたい事のある人間か僕らみたいな探し物をしている人間だと思うのですよ」

・・・お互いの間に緊張感が高まり沈黙が支配する。

しばしの沈黙後マイケルがぼそりとつぶやく「魔力結晶」

瞬間ザノスが叫ぶ「貴様何故そのことを知っている」

ザノスが叫ぶのとほぼ同時にザノスの後方から攻撃魔法がエリオット達3人に放たれた。

しかしエリオット達の前に巨木が出現し、その攻撃を防いだのであった。

その巨木は、これまで一言も発していなかったアレックスが魔力を練って警戒し準備していたものであった。

アレックスは言う「最悪だ。こうは成りたくなかった。衝突は避けたかった」

エリオットは同意するように頷き巨木の陰からザノスに問いかけた。「ザノスさん僕たちは交戦は本意ではないのです。話し合いませんか?」

少し間をおいてザノスから返答が来る「OKだ。さっきは私の部下がいきなり攻撃してしまってすまない。許してくれ。」

エリオットは続ける「僕たちが気にしているのは、あなたたちが猫ドラゴンの魔力結晶を手に入れて何をしようとしているかなのです。目的が僕たちと同じなら争う必要はないと思っています。」

ザノスが答える「もちろん猫ドラゴンの復活に使うのさ。それは君たちも同じじゃないのかい?」

エリオットが答える「ああ、良かった。僕たちも猫ドラゴンを復活させようと旅をしているのですよ。」

ザノス:「そうか、なら手を組もうじゃないか。我々はその力で、世界をより良い場所に変えたい。しかし、それには強い意志と猫ドラゴンを支配する事が必要だ。」

エリオットはぎょっとしてつぶやいた。「支配?支配だと」その時エリオットの脳裏に図書館で見たオズワルドの幻影の叫びがよみがえる(猫ドラゴンを支配しようとすることなかれ。猫ドラゴンと和解せよ。)

エリオットはザノスに訴えかける「支配はダメだ。猫ドラゴンが眠りについた原因をあなたは知らないのですか?」

ザノスは答える「知っているさ、魔力暴走の事もその後の大災害の事も、だが我々はそんなヘマはしない。」

エリオットは怒気を帯びた声で「そんな保証が何処に有る。それに上手くいったとしても、そんな力は一人や一団に集中すべきではありません。」

ザノスは断固として言う「見解の相違だな。力があれば、世界を動かすことができる。」

マイケルが怒りの表情でつぶやく「その世界を動かすのが、自分たちであろうと言うのが思い上がりだと何故思わないんだ」

エリオット達三人は顔を見合わせて頷く。戦う覚悟を決めた瞬間であった。

エリオットが言う:「認められない。僕たちはあなたたちをここで止める。」

ザノスは冷静な声で言った「相容れないか・・ならば、どちらが正しいか天に委ねる時が来たようだ。」


両者の間に緊張が走り、対立が明らかに成った瞬間だった。魔法使いの一団とエリオットたちは、互いに杖を構え、戦闘の準備を始めたのだ。

エリオット、アレックス、マイケルは、ザノスたちとの避けられない戦いに臨んだのだ。


エリオット、アレックス、マイケルは、ザノスたちとの戦いに苦戦していました。森は戦闘の魔法で揺れ、魔法の火花が森を照らし、古代の木々がその力に震えていた。

エリオットは空間を操る魔法で敵を翻弄しようとしたが、ザノスたちもまた瞬間移動で対抗し、一進一退の攻防が続いた。

エリオットは瞬時に移動する能力を駆使し、何度も危機一髪の状況から脱出した。

マイケルは時間を操る魔法で戦況を有利にしようと試んだが、ザノスたちの魔法使いも時間魔法に精通しており、彼の努力は容易には実を結ばなかった。

アレックスは自然を操る魔法で植物を成長させ、敵を捕らえようとしたが、ザノスたちもまた自然魔法に長けており、彼の試みはたびたび阻まれてしまった。


戦いが最高潮に達した時、エリオットたちはザノスの一団との力の差を痛感していた。エリオット:「クソ、このままでは・・」

しかし、運命が彼らの味方をした瞬間が訪れた。

エリオットが空間を操る魔法で敵の背後にテレポーテーションしようとした時、彼の足元に偶然落ちていた枝が魔法陣の一部に触れた。

これが幸運な誤算となり、エリオットは予期せぬ場所に移動し、ザノスたちの陣形を崩すことに成功した。その瞬間、エリオットの目に確信の光が宿った。「今だ!」エリオットは叫んだ。

マイケルが時間を遅らせる魔法を発動させた際、彼の周囲で鳥が羽ばたき、その小さな乱気流が魔法の効果を増幅させた。これにより、敵の動きが通常以上に遅くなり、

アレックスが大木を急成長させ、敵を何名か捕縛することに成功した。マイケルは、その連携の見事さに勝利を確信したのだ。

そしてアレックスの呼びかけに応じた動物たちがザノスたちに襲いかかり、アレックスが天候を変える魔法を使った時、突如として起こった自然の風が魔法の力を強化し、敵を包囲する霧を生み出した。

視界が奪われたザノスたちは混乱し、その隙をついてエリオットたちは一斉に攻撃を仕掛けた。アレックスは、自然の力が彼らの勝利を後押ししていることを感じ、喜びを内に秘めた。

エリオット達の一斉攻撃はザノスたちを圧倒した。慌てたザノスたちは、自らの魔法の制御を失い、最終的には自分たちの力に飲み込まれる形で敗北していった。

これらの幸運な出来事が重なり、ザノスたちに決定的な一撃を加えた時、彼らは互いに目を見交わし、無言のうちに勝利を分かち合った。森は再び静けさを取り戻し、エリオットたちの勝利が確定したのであった。

エリオット達は警戒をしながら慎重にザノスの居た場所まで歩を進めた。そこには今にも命の火が消えそうなザノスが横たわっていた。

ザノスは消え入るような声でエリオットの目を見つめ言った。「エリオット・・・私たちは敗れた・・だが後悔はない・・天が私たちを選ばなかったのだろう・・・せ、世界をより良くしたいと言ったのは本音だ・・エリオット・・お前たちは何のために力を欲する?」

エリオットは答える「ザノスさん。僕たちもそうだ。世界の為に猫ドラゴンの力を使いたい。けど猫ドラゴンは支配しようとしてはいけないのだよ。まだ解らないけどその方法を模索していきたい」

ザノスはホッとしたような表情で言う「そうか・・・ならば決して諦めず・・必ず果た・せ・よ・・」

そう言ってザノスは息絶えた。

森は沈黙し、エリオット達は手を合わせ黙祷した。

6話へ続く
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