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「会社名は『リズナ・イノベーションズ(Rizuna Innovations)』……いえ、シンプルに『リズナ商会』にしましょう。覚えやすさはブランド認知の第一歩よ」
隣国の辺境、かつて幽霊屋敷と呼ばれた廃墟は、今や巨大な生産工場(プラント)へと変貌を遂げていました。
屋敷のメインホールには、「社訓:時間厳守・即断即決・現金払い」と書かれた掛け軸が飾られています。
私は中央の長テーブルに座り、創立総会を開催していました。
出席者は以下の通り。
**代表取締役社長:** 私(リズナ)
**専務取締役兼執事:** セオドア
**開発部長:** アルヴィン(爆破魔法の変人)
**警備兼物流部長:** ボス(元山賊の親分、本名判明:ゴードン)
**従業員:** 元山賊たち&掃除係の幽霊
「さて、我が社の当面の目標は『外貨獲得』です。この辺境の地で消費活動を行っても限界がある。狙うは隣国の王都、そして国境を越えた先にある富裕層の財布です」
「おおーっ! さすがオーナー! デカいっすね!」
ゴードンたちが野太い声で歓声を上げます。
彼らは毎日三食の食事と、週休二日制、そして「ボーナス」という未知の概念を与えられ、私への忠誠心がカンストしていました。今なら「王都を燃やせ」と言えばマッチを持って走り出しかねない熱量です。
「しかしお嬢様。何を売るのですか? 薬草園のハーブティーだけでは、爆発的な利益は見込めませんが」
「そこで、新商品の開発よ」
私はアルヴィンを指名しました。
「アルヴィン開発部長。昨日の『岩盤破砕作業』の際に出た廃棄物を持ってきなさい」
「は、はいっ! こちらです、閣下!」
アルヴィンが木箱を持ってきました。
中には、キラキラと輝く微細な「砂」が入っています。
彼が独自の理論で編み出した「指向性マイクロ爆破」によって、岩石が分子レベルに近い細かさまで粉砕されたものです。普通ならただの粉塵ですが、この土地の岩盤には微量の魔力鉱石が含まれていました。
「これです。ただのゴミですが……」
「いいえ。これは『ダイヤモンド・ダスト』よ」
「は?」
「見てなさい」
私はその砂を少し手に取り、セオドアの革靴に振りかけました。そして布でサッと拭き取ります。
すると、どうでしょう。
使い込まれてくすんでいた革靴が、鏡のようにピカピカに輝き出したではありませんか。
「おおっ!? すげぇ! 顔が映るぞ!」
「こ、これは……研磨剤ですか?」
「ええ。アルヴィンの爆破技術のおかげで、粒子が均一かつ極小なのよ。これで磨けば、どんな金属も宝石も、肌さえも傷つけずに汚れだけを落とし、輝きを与えることができる」
私はニヤリと笑いました。
「商品名は『スターライト・パウダー』。キャッチコピーは『星の輝きを、あなたに』。用途は貴金属磨きから、貴婦人の角質除去(ピーリング)スクラブまで。原価はタダ同然(工事の副産物)。これを高級な小瓶に詰めて、隣国の市場に流します」
「げ、原価タダ……!?」
「ボロ儲けの匂いがプンプンしますね」
セオドアが悪代官のような顔で頷きました。
「ゴードン、物流ルートの確保は?」
「へい! 昔のツテ(密輸ルート)を使って、関税スルーで隣国の市場に卸せます! あ、いえ、正規のルートも開拓済みです!」
「よろしい。では、リズナ商会、本日より本格稼働です! 総員、配置につきなさい!」
「「「アイアイサー!!」」」
**――そして、一ヶ月後。**
隣国の王都では、異変が起きていました。
貴族の女性たちの間で、ある商品が爆発的なブームを巻き起こしていたのです。
「あら、奥様! お肌がツルツルですこと!」
「オホホ、これよ。『リズナ商会』のスターライト・スクラブ。これを使うと、10歳は若返ると評判なの」
「まあ! 私も欲しいわ!」
さらに、騎士たちの間でも。
「おい、お前の剣、すごく光ってないか?」
「ああ。『リズナ商会』の研磨粉だ。一拭きで錆が落ちて、切れ味まで上がるんだぜ」
「すげぇ! どこの錬金術師が作ったんだ?」
『スターライト・パウダー』は飛ぶように売れました。
何しろ品質が良い上に、価格設定が絶妙でした。「高いけれど、頑張れば手が届く」というブランド戦略が功を奏したのです。
隣国の商業ギルドは、突如現れた謎の商会に騒然としました。
「リズナ商会だと? 代表者は何者だ?」
「噂によると、北の森に住む『美しき魔女』らしいぞ」
「いや、『亡国の元公爵令嬢』という説も……」
噂が噂を呼び、私の屋敷には連日、隣国の商人たちが取引を求めて行列を作るようになりました。
「さあさあ、並んで! 契約希望者は整理券を受け取ってくれ!」
「お、おい! 俺は金貨100枚持ってきたんだぞ! 優先しろ!」
「金持ちだろうが王族だろうが、オーナーの時間は平等だ! 後ろに並びな!」
元山賊のゴードンが、生き生きと列整理をしています。
かつては追われる身だった彼らが、今や経済の中心にいるのです。人生とは分からないものです。
私は執務室で、積み上がる売上報告書を見ながら、電卓を叩いていました。
「……今月の粗利、目標比200%達成。隣国の市場シェアの5%を獲得。順調ね」
「おめでとうございます、お嬢様。これでもう、一生遊んで暮らせる資産ができましたね」
「甘いわセオドア。資本主義にゴールはないの。得た利益は次の投資へ回す。次は『自動魔力湯沸かし器(アルヴィンの熱魔法石応用)』と、『形状記憶クッション(スライム素材)』を投入するわ」
「働き者ですねぇ……」
セオドアが苦笑しながら紅茶を淹れてくれます。
「ところで、お嬢様。最近、妙な視線を感じませんか?」
「視線?」
「ええ。屋敷の周辺をうろつく、不審な影です。商人や求職者とは違う、どこか『粘着質』な気配が……」
「……ふうん」
私は窓の外を見下ろしました。
整備された庭、忙しく働く従業員たち、そして納品待ちの馬車の列。
その喧騒の陰に、確かに異質な気配が紛れているような気がします。
「商売敵(ライバル)のスパイかしら? それとも……」
私はふと、ある人物の顔を思い出しました。
金髪碧眼の、残念な元婚約者。
まさか、ね。
彼は今頃、私の残した書類仕事の山に埋もれて、森に来る余裕などないはず。
あるいは、森の中で野垂れ死んでいるか。
「ま、害があるようならアルヴィンに爆破させましょう。『不法侵入者は星になります』という看板も立てておいて」
「承知いたしました」
私は思考を切り替え、再び帳簿に向き合いました。
しかし、私の予感は半分当たり、半分外れていました。
屋敷の近くまで来ていたのは、商売敵でもスパイでもありません。
飢えと疲労、そして執着心でドロドロになった、一人の王子でした。
「……見つけたぞ……リズナ……」
屋敷の裏手の茂みの中。
ボロボロの服を着て、無精髭を生やし、目は血走ったギルバート殿下が、木の陰から私の部屋を見上げていました。
「あんなに……あんなに笑って……! 僕の前では見せたこともないような顔で、金貨を数えやがって……!」
殿下の手には、望遠鏡が握られています。
「許さない……僕を置いて幸せになるなんて、許さないぞ……! 絶対に連れ戻してやる……そして、一生僕の隣で書類整理をさせてやる……!」
歪んだ愛と、極限の空腹が、王子をストーカー(変質者)へと進化させていました。
さらに悪いことに、彼はお忍びで来たため、身分を証明するものを何一つ持っていません。
リズナ商会の「不審者排除システム」が作動するのは、時間の問題でした。
隣国の辺境、かつて幽霊屋敷と呼ばれた廃墟は、今や巨大な生産工場(プラント)へと変貌を遂げていました。
屋敷のメインホールには、「社訓:時間厳守・即断即決・現金払い」と書かれた掛け軸が飾られています。
私は中央の長テーブルに座り、創立総会を開催していました。
出席者は以下の通り。
**代表取締役社長:** 私(リズナ)
**専務取締役兼執事:** セオドア
**開発部長:** アルヴィン(爆破魔法の変人)
**警備兼物流部長:** ボス(元山賊の親分、本名判明:ゴードン)
**従業員:** 元山賊たち&掃除係の幽霊
「さて、我が社の当面の目標は『外貨獲得』です。この辺境の地で消費活動を行っても限界がある。狙うは隣国の王都、そして国境を越えた先にある富裕層の財布です」
「おおーっ! さすがオーナー! デカいっすね!」
ゴードンたちが野太い声で歓声を上げます。
彼らは毎日三食の食事と、週休二日制、そして「ボーナス」という未知の概念を与えられ、私への忠誠心がカンストしていました。今なら「王都を燃やせ」と言えばマッチを持って走り出しかねない熱量です。
「しかしお嬢様。何を売るのですか? 薬草園のハーブティーだけでは、爆発的な利益は見込めませんが」
「そこで、新商品の開発よ」
私はアルヴィンを指名しました。
「アルヴィン開発部長。昨日の『岩盤破砕作業』の際に出た廃棄物を持ってきなさい」
「は、はいっ! こちらです、閣下!」
アルヴィンが木箱を持ってきました。
中には、キラキラと輝く微細な「砂」が入っています。
彼が独自の理論で編み出した「指向性マイクロ爆破」によって、岩石が分子レベルに近い細かさまで粉砕されたものです。普通ならただの粉塵ですが、この土地の岩盤には微量の魔力鉱石が含まれていました。
「これです。ただのゴミですが……」
「いいえ。これは『ダイヤモンド・ダスト』よ」
「は?」
「見てなさい」
私はその砂を少し手に取り、セオドアの革靴に振りかけました。そして布でサッと拭き取ります。
すると、どうでしょう。
使い込まれてくすんでいた革靴が、鏡のようにピカピカに輝き出したではありませんか。
「おおっ!? すげぇ! 顔が映るぞ!」
「こ、これは……研磨剤ですか?」
「ええ。アルヴィンの爆破技術のおかげで、粒子が均一かつ極小なのよ。これで磨けば、どんな金属も宝石も、肌さえも傷つけずに汚れだけを落とし、輝きを与えることができる」
私はニヤリと笑いました。
「商品名は『スターライト・パウダー』。キャッチコピーは『星の輝きを、あなたに』。用途は貴金属磨きから、貴婦人の角質除去(ピーリング)スクラブまで。原価はタダ同然(工事の副産物)。これを高級な小瓶に詰めて、隣国の市場に流します」
「げ、原価タダ……!?」
「ボロ儲けの匂いがプンプンしますね」
セオドアが悪代官のような顔で頷きました。
「ゴードン、物流ルートの確保は?」
「へい! 昔のツテ(密輸ルート)を使って、関税スルーで隣国の市場に卸せます! あ、いえ、正規のルートも開拓済みです!」
「よろしい。では、リズナ商会、本日より本格稼働です! 総員、配置につきなさい!」
「「「アイアイサー!!」」」
**――そして、一ヶ月後。**
隣国の王都では、異変が起きていました。
貴族の女性たちの間で、ある商品が爆発的なブームを巻き起こしていたのです。
「あら、奥様! お肌がツルツルですこと!」
「オホホ、これよ。『リズナ商会』のスターライト・スクラブ。これを使うと、10歳は若返ると評判なの」
「まあ! 私も欲しいわ!」
さらに、騎士たちの間でも。
「おい、お前の剣、すごく光ってないか?」
「ああ。『リズナ商会』の研磨粉だ。一拭きで錆が落ちて、切れ味まで上がるんだぜ」
「すげぇ! どこの錬金術師が作ったんだ?」
『スターライト・パウダー』は飛ぶように売れました。
何しろ品質が良い上に、価格設定が絶妙でした。「高いけれど、頑張れば手が届く」というブランド戦略が功を奏したのです。
隣国の商業ギルドは、突如現れた謎の商会に騒然としました。
「リズナ商会だと? 代表者は何者だ?」
「噂によると、北の森に住む『美しき魔女』らしいぞ」
「いや、『亡国の元公爵令嬢』という説も……」
噂が噂を呼び、私の屋敷には連日、隣国の商人たちが取引を求めて行列を作るようになりました。
「さあさあ、並んで! 契約希望者は整理券を受け取ってくれ!」
「お、おい! 俺は金貨100枚持ってきたんだぞ! 優先しろ!」
「金持ちだろうが王族だろうが、オーナーの時間は平等だ! 後ろに並びな!」
元山賊のゴードンが、生き生きと列整理をしています。
かつては追われる身だった彼らが、今や経済の中心にいるのです。人生とは分からないものです。
私は執務室で、積み上がる売上報告書を見ながら、電卓を叩いていました。
「……今月の粗利、目標比200%達成。隣国の市場シェアの5%を獲得。順調ね」
「おめでとうございます、お嬢様。これでもう、一生遊んで暮らせる資産ができましたね」
「甘いわセオドア。資本主義にゴールはないの。得た利益は次の投資へ回す。次は『自動魔力湯沸かし器(アルヴィンの熱魔法石応用)』と、『形状記憶クッション(スライム素材)』を投入するわ」
「働き者ですねぇ……」
セオドアが苦笑しながら紅茶を淹れてくれます。
「ところで、お嬢様。最近、妙な視線を感じませんか?」
「視線?」
「ええ。屋敷の周辺をうろつく、不審な影です。商人や求職者とは違う、どこか『粘着質』な気配が……」
「……ふうん」
私は窓の外を見下ろしました。
整備された庭、忙しく働く従業員たち、そして納品待ちの馬車の列。
その喧騒の陰に、確かに異質な気配が紛れているような気がします。
「商売敵(ライバル)のスパイかしら? それとも……」
私はふと、ある人物の顔を思い出しました。
金髪碧眼の、残念な元婚約者。
まさか、ね。
彼は今頃、私の残した書類仕事の山に埋もれて、森に来る余裕などないはず。
あるいは、森の中で野垂れ死んでいるか。
「ま、害があるようならアルヴィンに爆破させましょう。『不法侵入者は星になります』という看板も立てておいて」
「承知いたしました」
私は思考を切り替え、再び帳簿に向き合いました。
しかし、私の予感は半分当たり、半分外れていました。
屋敷の近くまで来ていたのは、商売敵でもスパイでもありません。
飢えと疲労、そして執着心でドロドロになった、一人の王子でした。
「……見つけたぞ……リズナ……」
屋敷の裏手の茂みの中。
ボロボロの服を着て、無精髭を生やし、目は血走ったギルバート殿下が、木の陰から私の部屋を見上げていました。
「あんなに……あんなに笑って……! 僕の前では見せたこともないような顔で、金貨を数えやがって……!」
殿下の手には、望遠鏡が握られています。
「許さない……僕を置いて幸せになるなんて、許さないぞ……! 絶対に連れ戻してやる……そして、一生僕の隣で書類整理をさせてやる……!」
歪んだ愛と、極限の空腹が、王子をストーカー(変質者)へと進化させていました。
さらに悪いことに、彼はお忍びで来たため、身分を証明するものを何一つ持っていません。
リズナ商会の「不審者排除システム」が作動するのは、時間の問題でした。
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