11 / 27
11
しおりを挟む
「ふふ……ふふふ……! 見ろ、あの笑顔を!」
リズナ商会本店の裏手、鬱蒼(うっそう)と茂る生垣の中。
泥だらけの顔に小枝を数本挿し、カメレオンのように同化している男が一人。
ギルバート・フォン・ローゼリア第一王子その人でした。
彼は震える手で望遠鏡を握りしめ、執務室の窓辺に立つリズナを凝視していました。
「あんなに高笑いをして……。あれは間違いなく、精神の均衡を崩しているのだ。私を失った悲しみを紛らわせるために、空元気(からげんき)を演じているに違いない!」
レンズの向こうのリズナは、確かに満面の笑みを浮かべていました。
しかし、その手にあるのはハンカチではなく、分厚い『売上帳』と『金貨の山』です。
「ニヤリ」という表現がこれほど似合う公爵令嬢も珍しいのですが、フィルターのかかった王子の目には「悲痛な叫び」に見えているようです。
「待っていてくれ、リズナ。今すぐその偽りの仮面を剥がし、私の胸で泣かせてやるからな……!」
ギルバートは立ち上がりました。
数日間の森での遭難生活により、彼の自慢の金髪は鳥の巣のように絡まり、最高級のシルクの服はボロ雑巾のように裂け、片方の靴は底が抜けています。
従者たちは途中で「もう無理です、救援を呼んできます」と離脱(逃亡)してしまい、今の彼は正真正銘の孤独(ソロ)でした。
「行くぞ! 感動の再会だ!」
ギルバートは生垣を飛び出し、正面ゲートへとダッシュしました。
◇
一方、執務室の私、リズナ。
「素晴らしいわ……! 予想を上回る利益率よ!」
私は震えていました。感動で。
『スターライト・パウダー』の売上は右肩上がり。さらに、アルヴィンが開発した『自動肩たたき機(ゴーレムの手)』が、高齢の貴族たちの間で密かなブームになりつつあるのです。
「お嬢様、そろそろ午後の取引先との商談のお時間ですが」
「ええ、分かっているわ。今日の相手は宝石商組合の理事長ね。強敵だけど、骨までしゃぶり尽くして……いえ、Win-Winの関係を築きましょう」
私が気合を入れて立ち上がった時でした。
窓の外、正面ゲートの方から怒号が聞こえてきました。
「無礼者! 私を通せ! 私は客だぞ!」
「あー、はいはい。おじさん、整理券持ってる?」
「整理券などいらぬ! 顔パスだ!」
騒がしいですね。
私は眉をひそめ、窓から下を覗き込みました。
ゲートの前で、警備担当のゴードン(元山賊親分)と、浮浪者のような男が揉み合っています。
「……セオドア」
「はい」
「ウチの商会は、いつから炊き出しを始めたのかしら?」
「存じ上げませんね。しかし、あの薄汚い身なり……どうやら職を求めてやってきた失業者のようです」
「人手は足りているわ。丁重にお引き取り願って」
私が指示を出そうとした瞬間、その浮浪者が叫びました。
「リズナ! そこにいるんだろう! 私だ、ギルバートだ!」
……はい?
私は耳を疑いました。
今、なんと?
ギルバート?
私は眼鏡の位置を直し、目を凝らしました。
ボサボサの金髪。泥だらけの頬。伸び放題の無精髭。そして異臭を放っていそうなボロボロの服。
どこをどう見ても、王都の地下水道に生息していそうな不審者です。
しかし、その無駄に自信満々な立ち振る舞いと、現実が見えていない瞳の輝き。
(……本物だわ)
私は頭痛がしてきました。
まさか、本当にここまで追ってきたとは。しかも、この姿で。
「……セオドア」
「はい」
「見なかったことにしましょう」
「賛成です。あの汚染物質を敷地内に入れると、商会のブランドイメージに関わります」
私がカーテンを閉めようとすると、ギルバート(不審者)がゲートを強行突破しようと暴れ出しました。
「どけぇ! 私はこの国の第一王子だぞ! 不敬罪で処刑されたいか!」
「へっ! 王子だぁ?」
ゴードンが鼻で笑いました。
「おい見ろよ、この汚ねぇおっさん、王子様だってよ!」
「ギャハハ! 最近多いんだよな、リズナ様に会いたくて嘘つくヤツ!」
「先週も『俺は隣国の宰相だ』って言ってる酔っ払いがいたぜ!」
元山賊の警備員たちが腹を抱えて笑っています。
無理もありません。今の彼に王族のオーラは皆無です。あるのは貧乏神のオーラだけ。
「き、貴様ら……! 信じぬか! ならば証拠を見せてやる!」
ギルバートは懐を探りました。
王家の紋章が入った短剣か、身分証を出そうとしたのでしょう。
しかし。
「……あ、あれ? ない? ないぞ?」
顔面蒼白になる王子。
そういえば、森で熊に襲われた際、荷物をすべて放り出して逃げたという報告が、私の耳にも入っていました。
「お、落とした……! 国宝級の短剣を……!」
「はいはい、嘘はそこまでな。帰った帰った!」
ゴードンがギルバートの襟首を掴み、つまみ出そうとします。
その時、商談に来ていた宝石商の馬車が通りかかりました。
「おや? 騒がしいな。何事かね?」
「ああ、申し訳ありませんお客様。ちょっとした『害虫』が迷い込みまして」
ゴードンが謝ります。
ギルバートは馬車の窓に縋り付きました。
「そこの御仁! 貴殿は宝石商だな! 私の顔に見覚えはないか! 王都の夜会で会ったことがあるはずだ!」
宝石商の紳士は、ギルバートの顔をジロジロと見つめ……そしてハンカチで鼻を覆いました。
「……存じ上げませんな。このような臭う方と夜会で会えば、記憶に残るでしょうが」
「なっ……!?」
「衛兵! この男を遠ざけてくれ。商品に蚤(ノミ)が移る!」
ピシャリ、と馬車の窓が閉められました。
ギルバートは呆然と立ち尽くしました。
身分証もなく、金もなく、身なりも汚い。
そうなった時、彼の『王子』という肩書きは、何の意味も持たなかったのです。
「嘘だ……私は……私は……」
膝から崩れ落ちるギルバート。
ゴードンが「ちっ、面倒なヤツだ」と舌打ちし、箒(ほうき)で彼を掃き出そうとした、その時です。
「――待ちなさい」
私は観念して、バルコニーに出ました。
このまま騒ぎが大きくなれば、営業妨害になります。
「リ、リズナ!」
私の姿を見て、ギルバートの顔がパァッと輝きました。
泥だらけの犬が、飼い主を見つけた時の表情です。
「ああ、やはり君だ! 待っていたぞ、君が助けに来てくれるのを!」
「……どなたですか?」
私は冷徹に見下ろしました。
「え?」
「ウチの従業員がご迷惑をおかけしたようですが……お客様ですか? アポイントメントは?」
「な、何を言っている! 私だ、元婚約者のギルバートだ!」
「ギルバート殿下?」
私はわざとらしく首をかしげました。
「まさか。私の知る殿下は、もっとこう……無駄にキラキラしていて、ナルシストで、自分以外の人類を見下している方でした。貴方のように、地べたを這いつくばるような方ではありません」
「ぐっ……! そ、それは、ここまで来るのに苦労して……」
「それに、殿下は王宮の最深部で書類仕事に埋もれているはずです。こんな辺境に、護衛も連れずに現れるはずがない。つまり、貴方は『王子の名を騙る詐欺師』ですね?」
「ち、違う! 本物だ! 信じてくれ!」
ギルバートが叫びます。
私は冷ややかな目で、論理的(ロジカル)に詰めました。
「証明できますか? 身分証は? 証人は? 所持金は?」
「そ、それは……全部ないが……」
「論外です。社会的信用(クレジット)がゼロの人間を、敷地内に入れるわけにはいきません。セキュリティ・リスクです」
私はゴードンに目配せしました。
「ゴードン。その不審者を『立ち入り禁止区域』の外へ放り出しなさい。ただし、慈悲としてパンの耳を恵んであげて」
「へい! 了解です!」
「ま、待て! パンの耳!? 私は王子だぞ! ステーキを出せ! いや、君の手料理を……」
ゴードンと部下たちが、左右からギルバートの腕を掴みました。
「往生際が悪いぜ、おっさん!」
「オーナーの慈悲に感謝しな!」
「はなせ! リズナァァァ! 君は素直じゃないだけだ! 本当は泣いて喜んでいるんだろう!?」
ズルズルと引きずられていくギルバート。
その姿は、かつて私に「婚約破棄」を突きつけた時の威厳など、微塵もありませんでした。
私は彼が森の奥へと投げ捨てられる(リリースされる)のを見届け、ふぅ、と息を吐きました。
「……セオドア」
「はい」
「塩を撒いておいて」
「承知いたしました。高級な岩塩をたっぷりと」
私はバルコニーから部屋に戻りました。
胸が痛む?
いいえ。
心がざわつく?
はい、少しだけ。
(あんな状態で、よく生きてたどり着いたわね……生命力だけはゴキブリ並みかしら)
そのしぶとさだけは、少しだけ評価してあげてもいいかもしれません。
計算外の変数(イレギュラー)が生じましたが、私のビジネスプランに変更はありません。
しかし。
森に放り出されたギルバートは、パンの耳をかじりながら、逆に燃え上がっていました。
「……見てろリズナ。君がその気なら、私にも考えがある」
彼の瞳から、正気の光が消え、代わりに『執念』という名の狂気が宿り始めていました。
そして、私の知らないところで、彼はとんでもない行動に出ようとしていたのです。
リズナ商会本店の裏手、鬱蒼(うっそう)と茂る生垣の中。
泥だらけの顔に小枝を数本挿し、カメレオンのように同化している男が一人。
ギルバート・フォン・ローゼリア第一王子その人でした。
彼は震える手で望遠鏡を握りしめ、執務室の窓辺に立つリズナを凝視していました。
「あんなに高笑いをして……。あれは間違いなく、精神の均衡を崩しているのだ。私を失った悲しみを紛らわせるために、空元気(からげんき)を演じているに違いない!」
レンズの向こうのリズナは、確かに満面の笑みを浮かべていました。
しかし、その手にあるのはハンカチではなく、分厚い『売上帳』と『金貨の山』です。
「ニヤリ」という表現がこれほど似合う公爵令嬢も珍しいのですが、フィルターのかかった王子の目には「悲痛な叫び」に見えているようです。
「待っていてくれ、リズナ。今すぐその偽りの仮面を剥がし、私の胸で泣かせてやるからな……!」
ギルバートは立ち上がりました。
数日間の森での遭難生活により、彼の自慢の金髪は鳥の巣のように絡まり、最高級のシルクの服はボロ雑巾のように裂け、片方の靴は底が抜けています。
従者たちは途中で「もう無理です、救援を呼んできます」と離脱(逃亡)してしまい、今の彼は正真正銘の孤独(ソロ)でした。
「行くぞ! 感動の再会だ!」
ギルバートは生垣を飛び出し、正面ゲートへとダッシュしました。
◇
一方、執務室の私、リズナ。
「素晴らしいわ……! 予想を上回る利益率よ!」
私は震えていました。感動で。
『スターライト・パウダー』の売上は右肩上がり。さらに、アルヴィンが開発した『自動肩たたき機(ゴーレムの手)』が、高齢の貴族たちの間で密かなブームになりつつあるのです。
「お嬢様、そろそろ午後の取引先との商談のお時間ですが」
「ええ、分かっているわ。今日の相手は宝石商組合の理事長ね。強敵だけど、骨までしゃぶり尽くして……いえ、Win-Winの関係を築きましょう」
私が気合を入れて立ち上がった時でした。
窓の外、正面ゲートの方から怒号が聞こえてきました。
「無礼者! 私を通せ! 私は客だぞ!」
「あー、はいはい。おじさん、整理券持ってる?」
「整理券などいらぬ! 顔パスだ!」
騒がしいですね。
私は眉をひそめ、窓から下を覗き込みました。
ゲートの前で、警備担当のゴードン(元山賊親分)と、浮浪者のような男が揉み合っています。
「……セオドア」
「はい」
「ウチの商会は、いつから炊き出しを始めたのかしら?」
「存じ上げませんね。しかし、あの薄汚い身なり……どうやら職を求めてやってきた失業者のようです」
「人手は足りているわ。丁重にお引き取り願って」
私が指示を出そうとした瞬間、その浮浪者が叫びました。
「リズナ! そこにいるんだろう! 私だ、ギルバートだ!」
……はい?
私は耳を疑いました。
今、なんと?
ギルバート?
私は眼鏡の位置を直し、目を凝らしました。
ボサボサの金髪。泥だらけの頬。伸び放題の無精髭。そして異臭を放っていそうなボロボロの服。
どこをどう見ても、王都の地下水道に生息していそうな不審者です。
しかし、その無駄に自信満々な立ち振る舞いと、現実が見えていない瞳の輝き。
(……本物だわ)
私は頭痛がしてきました。
まさか、本当にここまで追ってきたとは。しかも、この姿で。
「……セオドア」
「はい」
「見なかったことにしましょう」
「賛成です。あの汚染物質を敷地内に入れると、商会のブランドイメージに関わります」
私がカーテンを閉めようとすると、ギルバート(不審者)がゲートを強行突破しようと暴れ出しました。
「どけぇ! 私はこの国の第一王子だぞ! 不敬罪で処刑されたいか!」
「へっ! 王子だぁ?」
ゴードンが鼻で笑いました。
「おい見ろよ、この汚ねぇおっさん、王子様だってよ!」
「ギャハハ! 最近多いんだよな、リズナ様に会いたくて嘘つくヤツ!」
「先週も『俺は隣国の宰相だ』って言ってる酔っ払いがいたぜ!」
元山賊の警備員たちが腹を抱えて笑っています。
無理もありません。今の彼に王族のオーラは皆無です。あるのは貧乏神のオーラだけ。
「き、貴様ら……! 信じぬか! ならば証拠を見せてやる!」
ギルバートは懐を探りました。
王家の紋章が入った短剣か、身分証を出そうとしたのでしょう。
しかし。
「……あ、あれ? ない? ないぞ?」
顔面蒼白になる王子。
そういえば、森で熊に襲われた際、荷物をすべて放り出して逃げたという報告が、私の耳にも入っていました。
「お、落とした……! 国宝級の短剣を……!」
「はいはい、嘘はそこまでな。帰った帰った!」
ゴードンがギルバートの襟首を掴み、つまみ出そうとします。
その時、商談に来ていた宝石商の馬車が通りかかりました。
「おや? 騒がしいな。何事かね?」
「ああ、申し訳ありませんお客様。ちょっとした『害虫』が迷い込みまして」
ゴードンが謝ります。
ギルバートは馬車の窓に縋り付きました。
「そこの御仁! 貴殿は宝石商だな! 私の顔に見覚えはないか! 王都の夜会で会ったことがあるはずだ!」
宝石商の紳士は、ギルバートの顔をジロジロと見つめ……そしてハンカチで鼻を覆いました。
「……存じ上げませんな。このような臭う方と夜会で会えば、記憶に残るでしょうが」
「なっ……!?」
「衛兵! この男を遠ざけてくれ。商品に蚤(ノミ)が移る!」
ピシャリ、と馬車の窓が閉められました。
ギルバートは呆然と立ち尽くしました。
身分証もなく、金もなく、身なりも汚い。
そうなった時、彼の『王子』という肩書きは、何の意味も持たなかったのです。
「嘘だ……私は……私は……」
膝から崩れ落ちるギルバート。
ゴードンが「ちっ、面倒なヤツだ」と舌打ちし、箒(ほうき)で彼を掃き出そうとした、その時です。
「――待ちなさい」
私は観念して、バルコニーに出ました。
このまま騒ぎが大きくなれば、営業妨害になります。
「リ、リズナ!」
私の姿を見て、ギルバートの顔がパァッと輝きました。
泥だらけの犬が、飼い主を見つけた時の表情です。
「ああ、やはり君だ! 待っていたぞ、君が助けに来てくれるのを!」
「……どなたですか?」
私は冷徹に見下ろしました。
「え?」
「ウチの従業員がご迷惑をおかけしたようですが……お客様ですか? アポイントメントは?」
「な、何を言っている! 私だ、元婚約者のギルバートだ!」
「ギルバート殿下?」
私はわざとらしく首をかしげました。
「まさか。私の知る殿下は、もっとこう……無駄にキラキラしていて、ナルシストで、自分以外の人類を見下している方でした。貴方のように、地べたを這いつくばるような方ではありません」
「ぐっ……! そ、それは、ここまで来るのに苦労して……」
「それに、殿下は王宮の最深部で書類仕事に埋もれているはずです。こんな辺境に、護衛も連れずに現れるはずがない。つまり、貴方は『王子の名を騙る詐欺師』ですね?」
「ち、違う! 本物だ! 信じてくれ!」
ギルバートが叫びます。
私は冷ややかな目で、論理的(ロジカル)に詰めました。
「証明できますか? 身分証は? 証人は? 所持金は?」
「そ、それは……全部ないが……」
「論外です。社会的信用(クレジット)がゼロの人間を、敷地内に入れるわけにはいきません。セキュリティ・リスクです」
私はゴードンに目配せしました。
「ゴードン。その不審者を『立ち入り禁止区域』の外へ放り出しなさい。ただし、慈悲としてパンの耳を恵んであげて」
「へい! 了解です!」
「ま、待て! パンの耳!? 私は王子だぞ! ステーキを出せ! いや、君の手料理を……」
ゴードンと部下たちが、左右からギルバートの腕を掴みました。
「往生際が悪いぜ、おっさん!」
「オーナーの慈悲に感謝しな!」
「はなせ! リズナァァァ! 君は素直じゃないだけだ! 本当は泣いて喜んでいるんだろう!?」
ズルズルと引きずられていくギルバート。
その姿は、かつて私に「婚約破棄」を突きつけた時の威厳など、微塵もありませんでした。
私は彼が森の奥へと投げ捨てられる(リリースされる)のを見届け、ふぅ、と息を吐きました。
「……セオドア」
「はい」
「塩を撒いておいて」
「承知いたしました。高級な岩塩をたっぷりと」
私はバルコニーから部屋に戻りました。
胸が痛む?
いいえ。
心がざわつく?
はい、少しだけ。
(あんな状態で、よく生きてたどり着いたわね……生命力だけはゴキブリ並みかしら)
そのしぶとさだけは、少しだけ評価してあげてもいいかもしれません。
計算外の変数(イレギュラー)が生じましたが、私のビジネスプランに変更はありません。
しかし。
森に放り出されたギルバートは、パンの耳をかじりながら、逆に燃え上がっていました。
「……見てろリズナ。君がその気なら、私にも考えがある」
彼の瞳から、正気の光が消え、代わりに『執念』という名の狂気が宿り始めていました。
そして、私の知らないところで、彼はとんでもない行動に出ようとしていたのです。
4
あなたにおすすめの小説
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
追放された悪役令嬢は辺境にて隠し子を養育する
3ツ月 葵(ミツヅキ アオイ)
恋愛
婚約者である王太子からの突然の断罪!
それは自分の婚約者を奪おうとする義妹に嫉妬してイジメをしていたエステルを糾弾するものだった。
しかしこれは義妹に仕組まれた罠であったのだ。
味方のいないエステルは理不尽にも王城の敷地の端にある粗末な離れへと幽閉される。
「あぁ……。私は一生涯ここから出ることは叶わず、この場所で独り朽ち果ててしまうのね」
エステルは絶望の中で高い塀からのぞく狭い空を見上げた。
そこでの生活も数ヵ月が経って落ち着いてきた頃に突然の来訪者が。
「お姉様。ここから出してさし上げましょうか? そのかわり……」
義妹はエステルに悪魔の様な契約を押し付けようとしてくるのであった。
恋人に夢中な婚約者に一泡吹かせてやりたかっただけ
棗
恋愛
伯爵令嬢ラフレーズ=ベリーシュは、王国の王太子ヒンメルの婚約者。
王家の忠臣と名高い父を持ち、更に隣国の姫を母に持つが故に結ばれた完全なる政略結婚。
長年の片思い相手であり、婚約者であるヒンメルの隣には常に恋人の公爵令嬢がいる。
婚約者には愛を示さず、恋人に夢中な彼にいつか捨てられるくらいなら、こちらも恋人を作って一泡吹かせてやろうと友達の羊の精霊メリー君の妙案を受けて実行することに。
ラフレーズが恋人役を頼んだのは、人外の魔術師・魔王公爵と名高い王国最強の男――クイーン=ホーエンハイム。
濡れた色香を放つクイーンからの、本気か嘘かも分からない行動に涙目になっていると恋人に夢中だった王太子が……。
※小説家になろう・カクヨム様にも公開しています
彼女が高級娼婦と呼ばれる理由~元悪役令嬢の戦慄の日々~
プラネットプラント
恋愛
婚約者である王子の恋人をいじめたと婚約破棄され、実家から縁を切られたライラは娼館で暮らすことになる。だが、訪れる人々のせいでライラは怯えていた。
※完結済。
公爵夫人は愛されている事に気が付かない
山葵
恋愛
「あら?侯爵夫人ご覧になって…」
「あれはクライマス公爵…いつ見ても惚れ惚れしてしまいますわねぇ~♡」
「本当に女性が見ても羨ましいくらいの美形ですわねぇ~♡…それなのに…」
「本当にクライマス公爵が可哀想でならないわ…いくら王命だからと言ってもねぇ…」
社交パーティーに参加すれば、いつも聞こえてくる私への陰口…。
貴女達が言わなくても、私が1番、分かっている。
夫の隣に私は相応しくないのだと…。
【完結】堅物な婚約者には子どもがいました……人は見かけによらないらしいです。
大森 樹
恋愛
【短編】
公爵家の一人娘、アメリアはある日誘拐された。
「アメリア様、ご無事ですか!」
真面目で堅物な騎士フィンに助けられ、アメリアは彼に恋をした。
助けたお礼として『結婚』することになった二人。フィンにとっては公爵家の爵位目当ての愛のない結婚だったはずだが……真面目で誠実な彼は、アメリアと不器用ながらも徐々に距離を縮めていく。
穏やかで幸せな結婚ができると思っていたのに、フィンの前の彼女が現れて『あの人の子どもがいます』と言ってきた。嘘だと思いきや、その子は本当に彼そっくりで……
あの堅物婚約者に、まさか子どもがいるなんて。人は見かけによらないらしい。
★アメリアとフィンは結婚するのか、しないのか……二人の恋の行方をお楽しみください。
心配するな、俺の本命は別にいる——冷酷王太子と籠の花嫁
柴田はつみ
恋愛
王国の公爵令嬢セレーネは、家を守るために王太子レオニスとの政略結婚を命じられる。
婚約の儀の日、彼が告げた冷酷な一言——「心配するな。俺の好きな人は別にいる」。
その言葉はセレーネの心を深く傷つけ、王宮での新たな生活は噂と誤解に満ちていく。
好きな人が別にいるはずの彼が、なぜか自分にだけ独占欲を見せる。
嫉妬、疑念、陰謀が渦巻くなかで明らかになる「真実」。
契約から始まった婚約は、やがて運命を変える愛の物語へと変わっていく——。
悪役令嬢まさかの『家出』
にとこん。
恋愛
王国の侯爵令嬢ルゥナ=フェリシェは、些細なすれ違いから突発的に家出をする。本人にとっては軽いお散歩のつもりだったが、方向音痴の彼女はそのまま隣国の帝国に迷い込み、なぜか牢獄に収監される羽目に。しかし無自覚な怪力と天然ぶりで脱獄してしまい、道に迷うたびに騒動を巻き起こす。
一方、婚約破棄を告げようとした王子レオニスは、当日にルゥナが失踪したことで騒然。王宮も侯爵家も大混乱となり、レオニス自身が捜索に出るが、恐らく最後まで彼女とは一度も出会えない。
ルゥナは道に迷っただけなのに、なぜか人助けを繰り返し、帝国の各地で英雄視されていく。そして気づけば彼女を慕う男たちが集まり始め、逆ハーレムの中心に。だが本人は一切自覚がなく、むしろ全員の好意に対して煙たがっている。
帰るつもりもなく、目的もなく、ただ好奇心のままに彷徨う“無害で最強な天然令嬢”による、帝国大騒動ギャグ恋愛コメディ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる