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「報告します、CEO! 地下第3倉庫の棚卸し、完了しました!」
リズナ商会……改め、『リズナ臨時政府』の執務室。
煤(すす)と埃にまみれたギルバートが、元気よく飛び込んできました。
その手には、泥だらけのリストが握られています。
「おや、予定より2時間早いですね。手抜きですか?」
「失敬な! 『効率化』だ! ゴードン直伝の『荷物放り投げリレー』を採用し、搬出時間を短縮した!」
「ほう。……リストを見せなさい」
私はリストを受け取りました。
そこには、埃を被っていた国宝級の魔道具や、歴代王妃の宝石コレクション、そして『初代国王が使った伝説の剣(錆びている)』などが詳細に記録されていました。
「……素晴らしい。鑑定眼も磨かれてきたようですね。これらをオークションにかければ、当面の運転資金と、騎士団へのボーナスは確保できそうです」
「だろう!? 俺もやればできるんだ!」
ギルバートは白い歯を見せてニカっと笑いました。
その笑顔は、かつての作り笑いではなく、達成感に満ちた男の顔でした。
不思議なことに、顔についた煤さえも、今の彼には勲章のように見えます。
「……ふん。まあ、合格点です。ご褒美に、今日の昼食は『具入りのシチュー』にグレードアップしてあげましょう」
「具入り……! 肉か!? ジャガイモか!?」
「ニンジンです」
「ニンジンか……悪くない!」
彼が喜んでいるのを見て、私は小さく溜息をつきました。
随分と安上がりな男になったものです。
しかし、その単純さが今の激務には助かっています。
その時でした。
セオドアがノックもなしに部屋に入ってきました。
いつになく険しい表情です。
「お嬢様、緊急事態です」
「何? またミアがトイレを爆破したの?」
「いえ、もっと厄介な『大型案件』が到着しました。……正面玄関をご覧ください」
私が窓から見下ろすと、そこには目を疑う光景が広がっていました。
王城の前庭を埋め尽くす、豪華絢爛な馬車の列。
その数、50台以上。
馬車のボディは純金でメッキされ、太陽の光を反射して目がくらむほど輝いています。
そして、先頭の馬車から降り立ったのは、紫色の派手なスーツを着込み、バラの花束を抱えた一人の青年でした。
「やあ! 愛しのリズナ嬢! 君を迎えに来たよ!」
その声には聞き覚えがありました。
隣国でのビジネス展開中、私の商会に多額の投資をしてきた大口スポンサー。
そして、隣国の第二王子である、レオナルド殿下です。
「……ゲッ。変人が来たわ」
「知り合いか、リズナ?」
「ええ。隣国の『浪費王子』よ。ただし、ギルバートとは違って『センスのある浪費』をするタイプですが」
私が眉をひそめている間に、レオナルド殿下はズカズカと城内へ入ってきました。
衛兵たちが止めようとしますが、彼は「チップだ」と言って金貨をばら撒き、道を開けさせています。
金に弱い我が軍の弱点を熟知しています。
バンッ!!
執務室の扉が開かれました。
バラの香りと共に、レオナルド殿下がポーズを決めて立っています。
「お久しぶりだね、僕の女神(ミューズ)! 君が祖国に戻ったと聞いて、居ても立っても居られず飛んできたよ!」
「お引き取りください、レオナルド殿下。私は今、仕事中です」
「つれないなぁ! そこが痺(しび)れるけど!」
レオナルド殿下は私の机に花束を置き、ウインクしました。
そして、私の隣に立っていた薄汚れた男(ギルバート)を一瞥し、鼻で笑いました。
「おや? 掃除夫かな? 悪いけど席を外してくれる? ここからは王族同士の会話だからね」
「……何だと?」
ギルバートのこめかみに青筋が浮かびました。
しかし、今の彼の身なりでは掃除夫に見られても仕方がありません。
「私は……リズナCEOの補佐官だ」
「へぇ、補佐官ねぇ。随分と汚い補佐官だこと」
レオナルド殿下は興味なさそうにギルバートから視線を外し、私に向き直りました。
「リズナ嬢。単刀直入に言おう。僕は君を『買い』に来た」
「買う?」
「そう! 君の商才、美貌、そして冷徹な性格! すべてが僕の好みにドンピシャだ! そこで提案だ。君の持つこの国の借金……全額、僕が肩代わりしてあげよう」
「「なっ……!?」」
私とギルバートの声が重なりました。
この国の借金を全額?
国家予算の数倍はある額ですよ?
「その代わり、条件は一つ。……僕と結婚して、隣国に来てほしい。君の頭脳があれば、僕の国はさらに発展する。どうだい? 悪い話じゃないだろう?」
レオナルド殿下はニヤリと笑いました。
それは、愛の告白というよりは、巨大企業のM&A(合併・買収)提案でした。
私は即座に電卓を叩きました。
(……借金の即時完済。それによる金利負担の消滅。さらに隣国の強固な経済基盤との連携……。経済合理性だけで言えば、これ以上の再建プランはないわね)
私の目が、計算機のように冷たく光りました。
ギルバートが、それに気づいて青ざめます。
「リ、リズナ……? ま、まさか……」
「……レオナルド殿下。そのご提案、非常に魅力的(ルクラティブ)です」
「だろう!? 君なら分かってくれると思っていたよ!」
「ちょっと待てェェェッ!!」
ギルバートが叫びました。
彼は私とレオナルドの間に割って入りました。
「な、何を考えているんだリズナ! こいつは隣国の王子だぞ! 結婚して向こうに行ったら、この国はどうなる!」
「借金がなくなるので、健全化します」
「そ、そうだけど! そうじゃなくて!」
ギルバートは必死に言葉を探しました。
「くっ……! 金か! やはり金なのか! 俺には金がないから、こいつに乗り換えるのか!」
「事実として、貴方には金がありません」
「ぐうっ……!」
ギルバートは言葉に詰まりました。
レオナルド殿下が勝ち誇ったように笑います。
「はっはっは! 諦めなよ、掃除夫くん。愛で腹は膨れないって、彼女の持論だろう? 僕には金がある。権力がある。君には何があるんだい?」
「俺には……!」
ギルバートは拳を握りしめました。
震えています。
悔しさか、惨めさか。
しかし、彼は顔を上げました。
その瞳には、今までにない強い光が宿っていました。
「俺には……『伸びしろ』がある!」
「……は?」
レオナルド殿下がキョトンとしました。
私も計算の手を止めました。
「伸びしろ?」
「そうだ! 俺は今、底辺だ! 無一文で、泥だらけで、ニンジンのシチューで喜ぶレベルだ! だが、だからこそ、これからは上がるしかない!」
ギルバートは私に向かって熱弁を振るいました。
「リズナ! こいつ(レオナルド)は完成された物件だ。投資してもリターンは安定的だが、爆発力はない! だが俺はどうだ? 今はゴミ同然だが、君の手腕で磨けば、価値が100倍、いや1000倍になる可能性を秘めている!」
「……」
「これを『ハイリスク・ハイリターン』と言うんだろう!? ベンチャー企業への投資だと思えばいい! 俺に賭けろ! 絶対に、こいつの提示額以上の利益を、俺自身の力で叩き出してみせる!」
執務室が静まり返りました。
セオドアが「ぶっ」と吹き出しました。
自分を「ハイリスク物件」と認め、それを売り文句にするとは。
なんという開き直り。なんというポジティブ思考。
「……ふっ、ふふふ」
私は笑いがこみ上げてきました。
肩が震えるのを止められません。
「あーっはっは! 最高だわ、ギルバート!」
「リ、リズナ?」
「自分を『不良債権』から『ベンチャー株』に言い換えるなんて、その厚かましさ、嫌いじゃないわ」
私は涙を拭い、レオナルド殿下に向き直りました。
「申し訳ありません、レオナルド殿下。今回のM&Aはお断りします」
「な、なぜだい!? 条件は完璧なはずだ!」
「ええ。ですが、私はギャンブラー気質でしてね。安定した国債よりも、化けるか紙くずになるか分からない『ボロ株』を育てる方が、性に合っているようです」
私はギルバートの背中をバンと叩きました。
埃が舞い上がります。
「聞きましたね、ギルバート。貴方は大口を叩きました。もし利益が出なければ、貴方を切り刻んでマグロの餌にしますから、そのつもりで」
「……上等だ! イエス・マイ・CEO!」
ギルバートが吠えました。
レオナルド殿下は、呆気にとられて口を開けていました。
「……変わった女だ。泥だらけの原石を選ぶなんて」
「磨くのが趣味なんです」
「フン。……まあいい。今日のところは引き下がろう」
レオナルド殿下はバラの花束を回収し、優雅にターンしました。
「だが、諦めたわけじゃないよ。君たちが失敗して、株価が暴落した時に、またTOB(敵対的買収)を仕掛けに来るからね。……精々、頑張りたまえ」
捨て台詞を残し、嵐のように去っていく隣国の王子。
残された執務室で、ギルバートはその場へへたり込みました。
「……死ぬかと思った」
「よく言いましたね。あそこまでハッタリをかませるとは、詐欺師の才能もありますよ」
「褒め言葉として受け取っておく……。だが、リズナ」
「何ですか?」
「……俺を選んでくれて、ありがとう」
ギルバートは、真っ直ぐな瞳で私を見つめました。
その瞳に、一瞬ドキリとしたのは内緒です。
「勘違いしないでください。あくまで『投資』です」
「分かってる。……必ず、元を取らせてやるさ」
そう言って笑う彼の顔は、初めて見る「頼もしさ」を帯びていました。
しかし。
一件落着かと思いきや、ギルバートの体調に異変が現れ始めます。
ライバル出現によるストレスか、それとも恋の病か?
リズナ商会に、謎の「胸のざわつき」パンデミックが発生します。
リズナ商会……改め、『リズナ臨時政府』の執務室。
煤(すす)と埃にまみれたギルバートが、元気よく飛び込んできました。
その手には、泥だらけのリストが握られています。
「おや、予定より2時間早いですね。手抜きですか?」
「失敬な! 『効率化』だ! ゴードン直伝の『荷物放り投げリレー』を採用し、搬出時間を短縮した!」
「ほう。……リストを見せなさい」
私はリストを受け取りました。
そこには、埃を被っていた国宝級の魔道具や、歴代王妃の宝石コレクション、そして『初代国王が使った伝説の剣(錆びている)』などが詳細に記録されていました。
「……素晴らしい。鑑定眼も磨かれてきたようですね。これらをオークションにかければ、当面の運転資金と、騎士団へのボーナスは確保できそうです」
「だろう!? 俺もやればできるんだ!」
ギルバートは白い歯を見せてニカっと笑いました。
その笑顔は、かつての作り笑いではなく、達成感に満ちた男の顔でした。
不思議なことに、顔についた煤さえも、今の彼には勲章のように見えます。
「……ふん。まあ、合格点です。ご褒美に、今日の昼食は『具入りのシチュー』にグレードアップしてあげましょう」
「具入り……! 肉か!? ジャガイモか!?」
「ニンジンです」
「ニンジンか……悪くない!」
彼が喜んでいるのを見て、私は小さく溜息をつきました。
随分と安上がりな男になったものです。
しかし、その単純さが今の激務には助かっています。
その時でした。
セオドアがノックもなしに部屋に入ってきました。
いつになく険しい表情です。
「お嬢様、緊急事態です」
「何? またミアがトイレを爆破したの?」
「いえ、もっと厄介な『大型案件』が到着しました。……正面玄関をご覧ください」
私が窓から見下ろすと、そこには目を疑う光景が広がっていました。
王城の前庭を埋め尽くす、豪華絢爛な馬車の列。
その数、50台以上。
馬車のボディは純金でメッキされ、太陽の光を反射して目がくらむほど輝いています。
そして、先頭の馬車から降り立ったのは、紫色の派手なスーツを着込み、バラの花束を抱えた一人の青年でした。
「やあ! 愛しのリズナ嬢! 君を迎えに来たよ!」
その声には聞き覚えがありました。
隣国でのビジネス展開中、私の商会に多額の投資をしてきた大口スポンサー。
そして、隣国の第二王子である、レオナルド殿下です。
「……ゲッ。変人が来たわ」
「知り合いか、リズナ?」
「ええ。隣国の『浪費王子』よ。ただし、ギルバートとは違って『センスのある浪費』をするタイプですが」
私が眉をひそめている間に、レオナルド殿下はズカズカと城内へ入ってきました。
衛兵たちが止めようとしますが、彼は「チップだ」と言って金貨をばら撒き、道を開けさせています。
金に弱い我が軍の弱点を熟知しています。
バンッ!!
執務室の扉が開かれました。
バラの香りと共に、レオナルド殿下がポーズを決めて立っています。
「お久しぶりだね、僕の女神(ミューズ)! 君が祖国に戻ったと聞いて、居ても立っても居られず飛んできたよ!」
「お引き取りください、レオナルド殿下。私は今、仕事中です」
「つれないなぁ! そこが痺(しび)れるけど!」
レオナルド殿下は私の机に花束を置き、ウインクしました。
そして、私の隣に立っていた薄汚れた男(ギルバート)を一瞥し、鼻で笑いました。
「おや? 掃除夫かな? 悪いけど席を外してくれる? ここからは王族同士の会話だからね」
「……何だと?」
ギルバートのこめかみに青筋が浮かびました。
しかし、今の彼の身なりでは掃除夫に見られても仕方がありません。
「私は……リズナCEOの補佐官だ」
「へぇ、補佐官ねぇ。随分と汚い補佐官だこと」
レオナルド殿下は興味なさそうにギルバートから視線を外し、私に向き直りました。
「リズナ嬢。単刀直入に言おう。僕は君を『買い』に来た」
「買う?」
「そう! 君の商才、美貌、そして冷徹な性格! すべてが僕の好みにドンピシャだ! そこで提案だ。君の持つこの国の借金……全額、僕が肩代わりしてあげよう」
「「なっ……!?」」
私とギルバートの声が重なりました。
この国の借金を全額?
国家予算の数倍はある額ですよ?
「その代わり、条件は一つ。……僕と結婚して、隣国に来てほしい。君の頭脳があれば、僕の国はさらに発展する。どうだい? 悪い話じゃないだろう?」
レオナルド殿下はニヤリと笑いました。
それは、愛の告白というよりは、巨大企業のM&A(合併・買収)提案でした。
私は即座に電卓を叩きました。
(……借金の即時完済。それによる金利負担の消滅。さらに隣国の強固な経済基盤との連携……。経済合理性だけで言えば、これ以上の再建プランはないわね)
私の目が、計算機のように冷たく光りました。
ギルバートが、それに気づいて青ざめます。
「リ、リズナ……? ま、まさか……」
「……レオナルド殿下。そのご提案、非常に魅力的(ルクラティブ)です」
「だろう!? 君なら分かってくれると思っていたよ!」
「ちょっと待てェェェッ!!」
ギルバートが叫びました。
彼は私とレオナルドの間に割って入りました。
「な、何を考えているんだリズナ! こいつは隣国の王子だぞ! 結婚して向こうに行ったら、この国はどうなる!」
「借金がなくなるので、健全化します」
「そ、そうだけど! そうじゃなくて!」
ギルバートは必死に言葉を探しました。
「くっ……! 金か! やはり金なのか! 俺には金がないから、こいつに乗り換えるのか!」
「事実として、貴方には金がありません」
「ぐうっ……!」
ギルバートは言葉に詰まりました。
レオナルド殿下が勝ち誇ったように笑います。
「はっはっは! 諦めなよ、掃除夫くん。愛で腹は膨れないって、彼女の持論だろう? 僕には金がある。権力がある。君には何があるんだい?」
「俺には……!」
ギルバートは拳を握りしめました。
震えています。
悔しさか、惨めさか。
しかし、彼は顔を上げました。
その瞳には、今までにない強い光が宿っていました。
「俺には……『伸びしろ』がある!」
「……は?」
レオナルド殿下がキョトンとしました。
私も計算の手を止めました。
「伸びしろ?」
「そうだ! 俺は今、底辺だ! 無一文で、泥だらけで、ニンジンのシチューで喜ぶレベルだ! だが、だからこそ、これからは上がるしかない!」
ギルバートは私に向かって熱弁を振るいました。
「リズナ! こいつ(レオナルド)は完成された物件だ。投資してもリターンは安定的だが、爆発力はない! だが俺はどうだ? 今はゴミ同然だが、君の手腕で磨けば、価値が100倍、いや1000倍になる可能性を秘めている!」
「……」
「これを『ハイリスク・ハイリターン』と言うんだろう!? ベンチャー企業への投資だと思えばいい! 俺に賭けろ! 絶対に、こいつの提示額以上の利益を、俺自身の力で叩き出してみせる!」
執務室が静まり返りました。
セオドアが「ぶっ」と吹き出しました。
自分を「ハイリスク物件」と認め、それを売り文句にするとは。
なんという開き直り。なんというポジティブ思考。
「……ふっ、ふふふ」
私は笑いがこみ上げてきました。
肩が震えるのを止められません。
「あーっはっは! 最高だわ、ギルバート!」
「リ、リズナ?」
「自分を『不良債権』から『ベンチャー株』に言い換えるなんて、その厚かましさ、嫌いじゃないわ」
私は涙を拭い、レオナルド殿下に向き直りました。
「申し訳ありません、レオナルド殿下。今回のM&Aはお断りします」
「な、なぜだい!? 条件は完璧なはずだ!」
「ええ。ですが、私はギャンブラー気質でしてね。安定した国債よりも、化けるか紙くずになるか分からない『ボロ株』を育てる方が、性に合っているようです」
私はギルバートの背中をバンと叩きました。
埃が舞い上がります。
「聞きましたね、ギルバート。貴方は大口を叩きました。もし利益が出なければ、貴方を切り刻んでマグロの餌にしますから、そのつもりで」
「……上等だ! イエス・マイ・CEO!」
ギルバートが吠えました。
レオナルド殿下は、呆気にとられて口を開けていました。
「……変わった女だ。泥だらけの原石を選ぶなんて」
「磨くのが趣味なんです」
「フン。……まあいい。今日のところは引き下がろう」
レオナルド殿下はバラの花束を回収し、優雅にターンしました。
「だが、諦めたわけじゃないよ。君たちが失敗して、株価が暴落した時に、またTOB(敵対的買収)を仕掛けに来るからね。……精々、頑張りたまえ」
捨て台詞を残し、嵐のように去っていく隣国の王子。
残された執務室で、ギルバートはその場へへたり込みました。
「……死ぬかと思った」
「よく言いましたね。あそこまでハッタリをかませるとは、詐欺師の才能もありますよ」
「褒め言葉として受け取っておく……。だが、リズナ」
「何ですか?」
「……俺を選んでくれて、ありがとう」
ギルバートは、真っ直ぐな瞳で私を見つめました。
その瞳に、一瞬ドキリとしたのは内緒です。
「勘違いしないでください。あくまで『投資』です」
「分かってる。……必ず、元を取らせてやるさ」
そう言って笑う彼の顔は、初めて見る「頼もしさ」を帯びていました。
しかし。
一件落着かと思いきや、ギルバートの体調に異変が現れ始めます。
ライバル出現によるストレスか、それとも恋の病か?
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